【すみだ水族館】マゼランペンギンの繁殖地アルゼンチンへ飼育スタッフが渡航 野生ペンギンの行動調査を実施

オリックス株式会社

飼育環境向上と自然環境保全の発信に生かす

すみだ水族館(所在地:東京都墨田区、館長:川角 類)は、2025年11月27日(木)~29日(土)の3日間、マゼランペンギンの世界最大の繁殖地※1であるアルゼンチンに渡航し、飼育スタッフがマゼランペンギンの行動調査を行いますのでお知らせします。
アルゼンチンでマゼランペンギンを視察するようす(2024年)

当館は、水族館から未来の地球にバトンをつなぐサステナブルな活動「AQTION!(アクション)※2」を推進しています。いきものの展示だけでなく、生物多様性やいのちの大切さ、自然環境への関心・興味を高める展示や体験プログラムを通じて、水族館だからこそ見える地球や社会の課題を、未来を担うこどもたちに楽しくわかりやすくお伝えしています。また、絶滅危惧種の保全のほか、自然環境を守るための調査・研究や、飼育下での繁殖も積極的に取り組んでいます。

今回、AQTION!の一環として、マゼランペンギンの繁殖地であるアルゼンチンに飼育スタッフが渡航し、繁殖期を迎えたペンギンの行動調査を行います。調査は、アルゼンチンでの調査、研究を進めている麻布大学獣医学部動物応用科学科の山本 誉士准教授と、アルゼンチン国立科学技術研究評議会(CONICET)のFlavio Quintana博士とともに行い、小型カメラを装着したペンギンの水中における採食行動を映像で記録します。

本調査により、野生のペンギンの行動から生態を把握し、当館で暮らす58羽のマゼランペンギンの飼育に生かすとともに、飼育環境の向上や、飼育下での繁殖に反映します。また、調査のようすや結果は、ペンギンアカデミーでのパネル掲示や特別ワークショップを通じて、お客さまにお届けする予定です。渡航期間中の現地のようすは、公式SNSで投稿します。

すみだ水族館は今後も、いきものの生態をお伝えしながら、いきものの暮らす環境やいのちの尊さを知る機会を提供してまいります。

※1 International Union for Conservation of Nature and Natural Resources.(https://www.iucnredlist.org/species/22697822/157428850#population
2 2021年12月20日付リリース:未来の地球にバトンをつなぐ、サステナビリティ推進プロジェクト「AQTION!(アクション)」(https://www.sumida-aquarium.com/news/details/3469.html


1. 調査概要
マゼランペンギンの繁殖地であるアルゼンチンにて、繁殖期を迎えたマゼランペンギンの親個体の採食行動を調査します。調査は、麻布大学獣医学部動物応用科学科の山本 誉士准教授と、アルゼンチン国立科学技術研究評議会(CONICET)のFlavio Quintana博士と共同で実施し、小型カメラを装着したペンギンの水中行動を映像で記録します。この調査により、子育て中のマゼランペンギンの採食行動を明らかにし、野生下の生態における負荷や環境変動の影響などを多角的に考察します。

現地調査期間:2025年11月27日(木)~11月29日(土)
調査場所:アルゼンチン チュブ州バルデス半島

<調査協力>
・麻布大学 獣医学部 動物応用科学科 山本 誉士(やまもと たかし)准教授
日本国内のみならず、世界各国で鳥類や哺乳類の生態を研究。環境と関連した動物たちの生き方(適応)に興味を持ち、環境変動や温暖化、人為活動との関連について調べている。専門は動物行動生態学。近年はアルゼンチンにあるマゼランペンギンの繁殖地にて調査を実施。また、国内の水族館や動物園の飼育動物にデータロガー※3を装着し、行動モニタリングや環境エンリッチメント※4に関する研究にも取り組んでいる。

※3 カメラやセンサーを内蔵し、位置情報や速度などのさまざまなデータを記録できる機器。いきものの生態や周囲の環境情報などの記録をするために用いられる。
※4 飼育されているいきものの福祉を向上させるため、野生のいきものの生息環境や行動に基づいて、飼育環境に工夫を凝らすこと。


・アルゼンチン国立科学技術研究評議会 Flavio Quintana(フラビオ キンタナ)博士
アルゼンチンのパタゴニア地域を代表する海洋保護生物学者の1人。アルゼンチン国立科学技術研究評議会(CONICET)の科学研究者としてのキャリアにおいて、最高学位(Investigador Superior)を取得。海洋生物研究所(IBIOMAR-CONICET)の海洋最上位捕食者生態学研究室を率いている。研究内容は、主にパタゴニア沿岸の海洋哺乳類および海鳥の遠洋生態学と移動生態学に関するもの。150本以上の査読付き科学論文、書籍の章などを発表し、数十人の大学院生および学部生の指導と監督に携わっている。沿岸の岬から大陸棚の縁までの範囲における生態系の科学的研究を行っており、沿岸や沖合の人間活動の影響を受ける生態系の保全に関する重要な指針を提供している。

■マゼランペンギンについて
野生下では主にアルゼンチンやチリをはじめとする南米に生息しており、温かい岩や低木の多い海岸をすみかとしています。胸に2本の黒い帯があることが特徴です。現在、日本では、当館含む14施設の動物園・水族館で飼育されています。(日本動物園水族館協会公式サイトより)
すみだ水族館で暮らすマゼランペンギン 左:つむぎ 右:わっしょい

2. 当館におけるマゼランペンギン飼育の取り組みについて
2012年の開業から繁殖に取り組み、今年までに29羽が誕生※5、現在は合計58羽のマゼランペンギンを飼育しています。飼育スタッフによる日々の観察記録をお客さま向けにまとめた「すみだペンギン相関図」は2018年から毎年更新し※6、多くのお客さまにペンギンたちの個性や社会性などをお伝えしています。

2022年からは、麻布大学獣医学部動物応用科学科の山本 誉士准教授とデジタルデータロガーを使用し、館内で暮らすペンギンたちの行動調査を行っています※7。ペンギンたちの行動傾向から、ペアや個体間の社会性などが一部明らかになり、ペアの形成や繁殖に関する有用な指標になり得ることを国際誌にて共同発表しました※8。2024年には、これまでの飼育の経験から、野生地との関連性を再認識し、野生のマゼランペンギンの暮らしと生息域の視察を目的に、同年12月に初めて、飼育スタッフがアルゼンチンを訪れました※9。今後も飼育スタッフの日々の観察に加えてデータを使用した行動調査を行うことで、ペンギンたちの行動を正確に記録し、健康的で豊かな暮らしを実現してまいります。
デジタルデータロガー装着イメージ

※5 2025年4月23日付リリース:2年ぶりにペンギンの赤ちゃんが仲間入りマゼランペンギンの赤ちゃん「あられ」、「つづみ」誕生(https://www.sumida-aquarium.com/news/details/5203.html
※6 2024年12月2日付リリース:ペンギンたちの関係性を最新版にアップデート!「すみだペンギン相関図2025」を公開(https://www.sumida-aquarium.com/news/details/4895.html
※7 2022年8月19日付コラム:マゼランペンギンについてもっと知りたい!~データロガーを用いた行動調査について~(https://www.sumida-aquarium.com/column/details/3766.html
※8 Applied Animal Behaviour Science Volume 286, May 2025(https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0168159125001315?via%3Dihub
※9 2025年1月29日付コラム:【現地視察レポート】アルゼンチンでのマゼランペンギンの暮らしを体験してきました(https://www.sumida-aquarium.com/column/details/4998.html


3. 未来の地球をつくっていく活動「AQTION!(アクション)」
すみだ水族館・京都水族館から発信する、未来の地球をつくる活動です。水族館のアクションであり、みんなのアクションにつなげたいとの思いを込めて、「AQUARIUMからはじまるACTION」という意味で、「AQTION!」と称しています。

多彩ないきものの生活に触れ、間近に感じることができる水族館が、地球環境やいのちの大切さを思うきっかけとなり、未来を創造する子どもたちのチカラを育むことを目指しています。今回のアルゼンチンでの調査も未来につなぐ「AQTION!」の一環として取り組みます。
AQTION!ロゴ

■すみだ水族館「AQTION!」公式ウェブサイト:https://www.sumida-aquarium.com/aqtion/

※すみだ水族館はオリックスグループです。

その他のリリース

話題のリリース

機能と特徴

お知らせ