[プレスリリース]妊娠中のパートナーや家族からの家事・育児の支援不足は産後うつ病疑いの出現リスクを高める

酪農学園大学

研究成果のポイント ・妊娠中にパートナーや家族による家事や育児の支援が十分ではないと答えた妊婦は、支援が十分にあると答えた妊婦と比較して、産後うつ病疑いが出現する割合が高かった。 ・世帯年収が高位(600万円以上)でも、支援が少ない妊婦では、世帯年収が低位(400万円未満)の群と同様に、産後うつ病疑いが出現する割合が高かった。 研究成果の概要 妊産婦の精神的健康に関する研究に取り組んでいる、本学の食と健康学類の小林道教授らは、妊娠中のパートナーや家族の支援が、産後うつ病疑いと関連することを明らかにしました。 妊産婦のうつ病(周産期うつ病)は、妊産婦の7人に1人が患うと推計されています。産後うつ病は産後4週間以内に発生する可能性があり、女性における重要な健康課題となっています。世帯年収が低いことは、物質的な制限や医療サービスなどの制限の原因となるため、精神的健康のリスクとなることが知られています。しかし、パートナーや家族の支援などを含めた研究は実施されていませんでした。 本研究は、2019年7月~2022年7月に江別市在住の妊婦645名を研究対象として自記式質問紙調査を実施し、妊娠中のパートナーや家族の支援状況と、産婦健診での産後うつ病疑いを評価しました。 結果として、世帯年収の低位群で産後うつ病疑いの割合が高くなるだけでなく、妊娠中の支援が少ない群では、世帯年収の高位群であっても、産後うつ病疑いの割合が高くなることが明らかになりました(調整オッズ比と95%信頼区間:3.08, 1.18–8.06)。妊娠中に抑うつ症状が認められた人を除いた解析でも同様の結果でした(調整オッズ比と95%信頼区間:3.64, 1.22–10.90)。 妊娠中のパートナーや家族からの支援は、経済的な要因に関係なく、産後うつ病の改善に役立つ可能性があります。論文は3月17日に国際学術雑誌Psychology, Health & Medicine電子版に掲載されました。 研究の意義 国立社会保障・人口問題研究所「第7回全国家庭動向調査」によると、妻の1日の平均家事時間は、夫の約5倍と報告されています(平日:夫47分、妻247分、休日:夫81分、妻276分)。世帯年収の高い世帯は、夫婦共働きが多いと考えられるため、働いている女性の家事や育児の負担が大きいことが本研究の結果を裏付けている可能性があります。 産後うつ病は、出産後の子どもとの関係にも悪影響を及ぼすことが報告されており、母親の健康と子どもの健やかな成長のためにも、妊娠女性の精神的健康を保つためのケアは重要です。本研究の結果から、妊娠中には、パートナーや家族が家事や育児の支援をしやすくする仕組みづくりを推進する必要があると考えます。 以前、我々はパートナーや家族の支援が妊娠中の抑うつ症状に関連することを報告しており、今回の研究では、産後うつ病との経時的な関連を明らかにすることができました。一方で、パートナーや家族の支援の評価は、研究参加者の主観に基づくものであり、パートナーや家族の雇用状況など、支援に関わる情報は取得できていません。今後の研究では、パートナーや家族の支援の状況を客観的に評価し、産後うつ病との関連を検討する必要があると考えます。 発表論文 Kobayashi, T., Kojima, R. & Okada, E. Association between household income and postpartum depression among pregnant women with adequate or inadequate family support: a prospective cohort study. Psychology, Health & Medicine. http://dx.doi.org/10.1080/13548506.2026.2645955 謝辞 本研究の実施にご協力いただきました、江別市保健センターの職員の皆様並びに研究参加者の皆様に心より深く感謝申し上げます。本研究はJSPS科研費(19K19465)の助成を受けて実施しました。 ▼本件に関する問い合わせ先 【問い合わせ先】 〒069-8501 北海道江別市文京台緑町582番地 酪農学園大学 農食環境学群 食と健康学類 教授 小林 道 電 話:011-388-4728 FAX:011-388-4728 E-mail: tkoba@rakuno.ac.jp 【リリース発信元】 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/

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