赤十字防災セミナー新規カリキュラム「大雨・台風の避難スイッチ」を開発

日本赤十字社

気象庁「新たな防災気象情報」が運用開始になる今、“情報から避難行動につなげる学び”を

 日本赤十字社(本社:東京都港区、社長:清家篤、以下「日赤」)は、「赤十字防災セミナー(以下、「防災セミナー」、【参考】参照)」の新規カリキュラムとして「大雨・台風の避難スイッチ」を開発しました。令和8年4月以降、全国の支部で順次展開しています。

 近年、全国各地で水害・土砂災害が発生しており、どの地域においても他人事ではいられない状況です。【図1】一方で、日赤が2021年に行った意識調査によると、避難勧告や指示を認識していた災害経験者のうち、実際には避難しなかった人は約8割にのぼり、情報が届くことと行動に移すことの間には大きなギャップが存在することが課題として浮き彫りとなりました。【図2】
 
 
【図1】
 
【図2】

 ハザードマップや避難情報が整ってきた一方で、それでも避難が実行されない状況があります。新たなカリキュラムは、「知っていても、行動に移せない」場面に着目し、判断の迷いや先送りを減らすことを目的に開発しました。

 本カリキュラムの核となるのが、「避難スイッチ」です。大雨や台風については、危険が高まる前から気象情報などを手がかりに準備を進められる“リードタイム”が存在します。本カリキュラムでは、受講者が日頃からの準備の大切さを理解し、“判断の迷いや先送り”を減らすことで、いざという時、早めに避難の準備を始める「避難スイッチ」を入れ、自ら命を守る行動につなげられることを目指すとともに、講座の受講で終わることなく、自治体などの防災施策や地域の取り組みへの橋渡しとなることも併せて狙います。

 5月29日には、気象庁による「新たな防災気象情報」の運用が開始され、河川氾濫や大雨、土砂災害、高潮に関する情報に5段階の警戒レベルの数字をつけて発表することで、市町村などが発令する避難情報や住民がとるべき避難行動との対応が分かりやすくなります。

 これらの情報を生かしていくためにも、本カリキュラムを通じて「迷いを減らす」「判断して動ける」「声かけが増える」という主に3つの変化を促すことで、避難行動の実効性を高めてまいります。
 
「大雨・台風の避難スイッチ」概要
名  称:大雨・台風の避難スイッチ(「防災セミナー」の1カリキュラム)
所要時間:標準60分
講  師:防災教育事業指導者(職員・赤十字ボランティアなど)
展開想定:自治会・町内会などからの依頼に応じて、各都道府県支部から講師を派遣して実施。
申込方法:日赤各都道府県支部にお問い合わせください。
申込開始:令和8年4月以降、全国の支部で順次展開。
 
 
「大雨・台風の避難スイッチ」内容

 大雨・台風時のキケンを「自分ごと」としてとらえ、自分と家族の避難行動について考えるためのカリキュラムです。
 ①地域のリスク確認、②避難行動のイメージ、③避難を迷わせるこころの働きへの気づきの3つを柱に展開し、早めの備えと命を守る行動につなげます。
 
 
①「大雨・台風のキケン」を知る
 風水害で何がおこるのかを知る。そして、ハザードマップや避難情報などが整ってきた一方で、なぜ避難が進まないのか。どんなところで判断が止まってしまうのかを考える時間を持ちます。

②自宅・地域のキケンを見つける
 ハザードマップなどを使いながら、自宅や地域で起こりうる災害を確認します。
 ワークシートで確認しながら、周りの人と意見交換をします。

③どこへ・どう動くかを考える
 水害の状況に応じて安全な場所(避難先)はどこか考え、自宅にとどまることも選択肢に入れながら、適切な避難行動(避難先や移動方法など)を確認します。自宅以外の場合には避難先や所要時間など詳細に記載します。

④避難スイッチと最初の一手を決める
 警戒モードに切り替える合図と、最初に行う準備を具体化するため、周りの人と意見交換をします。
自分の避難スイッチを考える時間を持ち、具体的にワークシートへ記載します。

⑤避難を迷わせる心の働きに気づく
 避難した方が良いとわかっていても、 「自分は大丈夫」「周りも避難していない」といった避難を迷う気持ちに気づき、誰もがその思い込みに関係するということを考える時間を持ちます。

⑥防災アクション宣言
 セミナーの学びを「宣言」の形で落とし込み、セミナー後の行動変容を後押しします。
 
目指す3つの行動変容

 日赤が行った意識調査によると、発災時に避難しなかった理由としては、近隣の人や知人が避難していなかったこと、過去の災害でも大丈夫だったという経験が挙げられています。そこで本カリキュラムでは、3つの行動変容を促し避難行動の実効性を高めてまいります。
 
避難スイッチ+最初の一手で、行動が変わる
① 迷いが減る
 「自分は大丈夫」「周りも避難していない」に流されにくくなる。
② 判断して動ける
 地域の危険に合わせて、屋内安全確保/立退き避難を選びやすくなる。
③ 声かけが増える
 対話から、見守り・情報共有が生まれ、共助につながる。
 
 
 
開発に際してのコメント
 
■気象庁 「新たな防災気象情報」広報担当 和田 豊 氏
新たな防災気象情報は、避難が必要な状況であることを分かりやすく伝えます。
しかし、災害時に情報を入手できたとしても、普段からどう行動するか考えておかなければ、実際に行動することは難しいと考えます。新たな防災気象情報を周知に加え、防災セミナーの新規カリキュラムなどで「自分ごと化」することで、情報が活かされ、地域の住民の安全に役立つものになると期待しています。

■日本赤十字社 事業局 救護・福祉部 防災業務課 山地 智仁
防災は特別なことではありません。暮らしの延長線上にある小さな行動の積み重ねです。「大雨・台風の避難スイッチ」は、避難の答えを作る場ではなく、迷いを減らし、避難行動について、考え始める入り口となるカリキュラムです。
カリキュラムの受講を通じて、防災の「もしも」の話が日常の習慣として根付くよう、社会全体の行動変容を後押しする役割を果たし続けていきたいと思います。

【参考】「赤十字防災セミナー」とは
 「赤十字防災セミナー」は、東日本大震災をはじめとした過去の災害での教訓を踏まえて開発されたもので、地域コミュニティにおける「自助」と「共助」の力を高めることを目的に実施しています。「楽しく分かりやすい防災教育」のテーマのもと、小さな子どもから大人まで防災・減災について「自分ごと化」し、学んだ知識を行動に移すことができるよう、参加者同士の会話を大切にするカリキュラムとしています。令和7年度は、約1800回、80,000人を超える方に受講いただいています。(令和8年3月末現在・速報値)

■主なカリキュラム
 
(防災セミナー詳細)https://www.jrc.or.jp/saigai/about/seminar/ 

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