シンポジウムのご案内 「グローバルヘルスの潮流:三大感染症、エボラ出血熱、そして顧みられない熱帯病(NTDs)」
第30回日本国際保健医療学会学術大会2015 ミニシンポジウム のご案内
グローバルヘルスにおいて、今なぜ三大感染症(HIV/エイズ、結核、マラリア)、エボラ出血熱、顧みられない熱帯病(NTDs)の対策に注力する必要があるのか。各演者の視点や経験を踏まえて議論します。
エボラ出血熱やMERSは、国境を越えて感染拡大する恐怖と有効な治療法のない現状を世間に示しましたが、発展途上国において三大感染症は主な死亡原因となっています。また、感染症は急性症状や死をもたらすのみならず、慢性的な障害による患者の社会経済的な損失やクォリティーオブライフ(QOL)の低下をもたらします。とりわけ、顧みられない熱帯病(NTDs)や三大感染症は、貧困と密接に関わる疾患です。
NTDsは熱帯地域の貧困層に多く見られる疾患の総称であり、ウイルスや原虫、蠕虫、細菌が引き起こす感染症です。NTDsの中でもWHOが重きを置く17の疾患は、149カ国の14億人以上が感染していると推計され、制圧が進んでいる疾患のある一方で、未だ有効かつ安全で費用対効果の高い治療法が確立されていない疾患もあります。
演者の國井修氏は世界基金(The Global Fund)で三大感染症への支援戦略の策定や支援の効果検証を行っている戦略・投資・効果局の責任者として、クララ ファン・ヒューリック(Clara Van Gulik)氏は国境なき医師団(MSF)で人道問題担当の責任者として、バイロン アラナ(Byron Arana)氏はDrugs for Neglected Diseases initiative (顧みられない病気の新薬開発イニシアティブ‐DNDi)で「皮膚リーシュマニア症」の研究開発プロジェクトの責任者として、昨今のグローバルヘルスの潮流に対する思いや、疾患対策に関わるモチベーションや、日本の貢献の可能性について、多岐にわたる議論を繰り広げます。
● 日時:2015年11月21日 (土) 17:00~18:00
● 場所:金沢大学角間キャンパス自然科学本館 第4会場大講義室B http://jaih30.umin.jp/program/index.html
<シンポジウムプログラム>
座長 北 潔(東京大学大学院医学系研究科、長崎大学大学院熱帯医学・グローバルヘルス研究科)
平林 史子(特定非営利活動法人DNDi Japan)
演者 1. クララ ファン・ヒューリック(MSF)
「疾患の流行を防ぐ:エボラ出血熱・髄膜炎・HIVの挑戦より」
Challenges in responding to Epidemics: Ebola, Meningitis and HIV
2. バイロン アラナ(DNDi)
「皮膚リーシュマニア症:グローバルな課題と治療薬開発の挑戦」
Cutaneous leishmaniasis: Global burden and treatment’s challenges
3. 國井 修(世界基金)
「2030年までにHIV・結核・マラリアを制圧する-本当にできるの?」
End epidemics of HIV, tuberculosis and malaria by 2030 – ambitious or attainable?
【DNDi顧みられない病気の新薬開発イニシャティブ)について】
1990年代後半、発展途上国の現場で医療活動に従事していた国境なき医師団のチームは、顧みられない病気に苦しむ患者を治療できないことに苛立ちを募らせていました。患者の治療に使用する医薬品の効果がなかったり、強い副作用があったり、あるいは製造中止になって使用ができないなどの問題があったためです。そこで、国境なき医師団は、1999年に受賞したノーベル平和賞の賞金の一部を、患者のニーズを重視して、顧みられない病気に対する治療薬の研究開発(R&D)に取り組むための革新的な組織の設立に充てることに決定し、スイス・ジュネーブに本部を置く非営利財団として2003年7月に正式に発足しました。DNDiはヨーロッパを中心とした多くの政府機関および私設財団から資金援助を受けて活動しています。2013年度からは日本政府も参画する公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)による資金援助も受けています。また、WHOの熱帯病医学特別研究訓練プログラム(WHO-TDR)が常任オブザーバーとして参加しています。www.dndi.org/
- 本件に関するお問合わせ先
- 特定非営利活動法人 DNDi Japan
- DNDi Japan広報担当 松本眞理
- 1600023:東京都新宿区西新宿8-14-24西新宿KFビル704
- TEL:03-4550-1195 FAX:03-5937-6977
- E-mail:mmatsumoto@dndi.org