SAS、VCU Masseyがんセンター、社会的弱者のがん罹患率と死亡率の格差研究を開始
全米のがんセンター向けに、データ環境の構築を目指す
米国バージニア・コモンウェルス大学(VCU)Masseyがんセンター(以下、Massey)は、SAS® Healthのヘルス・アナリティクス(英語)(https://www.sas.com/en_us/software/health.html)を活用し、低所得者や社会的に弱い立場に置かれた人々のがん罹患率ならびに死亡率の高さに関する重要な研究を進めています。がん研究におけるMasseyの画期的な取り組みには、コミュニティと連携して新たなデータの発掘を行い、社会的弱者とされる集団に生じるがん格差とその影響を図ることも含まれています。その過程で生じる困難なデータ課題について、十分な体制を備えているアナリティクスのリーディング・カンパニーであるSASがサポートします。Masseyは、バージニア州にあるがん研究センターで、米国国立がん研究所(NCI)が指定する全米71か所のがん研究センターに含まれています。Masseyのディレクター兼腫瘍学のリップマン議長であるRobert A. Winn博士(M.D.)は、すべての人が適切なレベルの医療が受けられるようにするには、データ活用と分析が重要になることを理解しているとし、次のように述べています。「がんの種類により、なぜ特定のグループの罹患率が高くなっているのかを理解するためには、そうした人々の代表的なデータと、その意味を理解する手段が必要です。この情報は、十分な治療を提供されていない患者の方々を勇気づけ、医療提供の改善と治療への平等なアクセスを確保するために不可欠です」
低所得または無収入、教育水準が低い、その他に社会的に不利な立場にある人は、一般的な水準の人よりも、疾病の負担が大きくなる可能性があります。またこのような人は、健康保険に加入していないため、効果的な医療へのアクセスが限定的または医療を受けられず、がんの早期発見につながる定期的な健診も受けていない可能性が高くなります。
地域コミュニティのデータ活用によるがん研究の進展
MasseyのHealth Equity and Disparities Research(健康の公平性と格差研究)チームは、社会的に弱い立場にある人や低所得者層におけるがんの罹患状況をより詳細に把握するため、地域のパートナーや市民と連携してデータ収集を行いました。コミュニティに関する調査を実施するのではなく、コミュニティ向けのシステムを患者と一緒に構築することで、そのシステムは新たなエビデンスを生み出し活用の機会を創出します。
SAS for healthおよび学術研究(英語)(https://www.sas.com/en_us/industry/education/solution/higher-ed/academic-research.html)の支援のもと、このデータを他のデータソースと統合し、がんの影響についてより総合的で有意義な視点を生み出します。当該データには以下が含まれます。
- がんのリスク因子:加齢、体重、喫煙、飲酒、日焼け、大気中・水中汚染物質、家族歴、食生活、身体的活動など
- 医療施設およびサービスの場所(Massey周辺)
- がんに関わる統計:症例数、罹患率、死亡率、治療後のQOL、検診率、診断時のステージなど
- 格差:地域(都市部と農村部)、人種および民族、収入など
ヘルス・アナリティクスを導入し、新たな研究や全米ネットワークを実現
SASとMasseyは、さまざまなソースやシステムから収集した大量の定量・定性データの可視化を容易にするSAS® Viya® on Azure(英語)(https://www.sas.com/en_us/solutions/cloud/microsoft-azure/viya-integration.html)を活用したセキュアなクラウドベースのプラットフォームとして、Masseyリサーチ分析ハブを構築します。研究者はこの「ワンストップ・ショップ」によって、課題の新たな突破口の発見とデータ共有を実現し、がん研究エコシステム全体を通じたコラボレーションを促進させる健康上の成果(https://www.sas.com/ja_jp/solutions/cloud/microsoft-azure/solution/transforming-health-outcomes-through-analytics.html)をもたらせるようになります。
これまで手作業で時間のかかっていたデータ管理、分析、データ可視化(https://www.sas.com/ja_jp/insights/big-data/data-visualization.html)のプロセスを、SASが自動化させることで、研究の進行を加速させます。この分析ハブにより、研究者はデータ変換や発見のやり取りが行えるようになり、リスク因子や格差のエビデンス、効果的な治療法や介入法について、すべての関係者が等しくアクセスでき理解することで活用が可能になります。このハブには間もなく、AIや機械学習を搭載した分析機能も追加され、がん関連のデータから、より深くさらに優れたインサイトが得られるようになります。
Masseyはこの先、NCIの全ての指定がんセンターが利用できる共有ネットワークを構築し、がん格差に関する研究の範囲をバージニア州以外へと拡張させ、共同研究を進めていくという意欲的な目標を掲げています。
SASのメディカル・ディレクターであるスティーブ・カーニー(Steve Kearney)は次のように述べています。「SASは、Masseyが掲げるビジョンの規模を拡大して運用できるように支援し、創薬やがん治療、健康格差の分野で全米のリーダーとなるよう尽力して参ります」
医療研究におけるレガシーとパートナーシップ
ヘルス・アナリティクス市場におけるリーダーであるSASは、デジタルヘルス時代における公衆衛生(英語)(https://www.sas.com/en_us/industry/health-care/solution/population-health.html)の改善や患者のアウトカム向上のためのソリューションを提供しています。SASは、非営利団体「CEO Roundtable on Cancer」の「Project Data Sphere®」等を通じて、がん研究の進展を支援するほか、新型コロナウイルス感染症(COVID)研究でも抗ウイルス剤、試験および健康上の不平等などの分野を牽引しています。
SASは世界49カ国でヘルスケア企業を支援すると共に、Fortune Global 500 のヘルス&ライフサイエンス企業のすべてがSASを採用しています。また、多数の大学の医療センターを含め3,000以上の教育機関でもSASが利用されています。
バージニア・コモンウェルス大学(VCU) Masseyがんセンターについて
VCU Masseyがんセンターは、がんが存在しない未来に向けて、発見、有効な治療法、救命のすべてに取り組んでいます。米国のがん研究を牽引する国立がん研究所(NCI)が研究の発展を担うがんセンターとして指定した上位4%のうちの1つであるMasseyは、がんの予防、発見、治療のための効果的な方法を発見、開発、提供、指導することで人々の命を救い、生活を改善し、そうした進歩を誰もが平等に享受できるように取り組んでいます。がんの研究と治療のための公平な21世紀型モデルの確立で全米をリードしているMasseyは、研究目的で地域コミュニティから情報の提供を受けることで、Masseyと連携してがんセンターを利用する人々が、がんの負担やがん格差に対し最善の方法で対応できるよう支援しています。Masseyは、基礎研究からトランスレーショナル、臨床、集団研究に至るまで、幅広い研究を行い、全米のコミュニティに臨床試験を提供するネットワーク、腫瘍学分野の教育・指導・研修、がん予防の推進など、最先端のがん治療や臨床試験を提供しています。Masseyでは、専門分野を持つ腫瘍学の専門家が学際的なチーム連携によって、バージニア州の複数の施設で包括的ながん治療を提供することに加え、業界賞を獲得しています。
Masseyの詳細について:https://www.masseycancercenter.org/
SASについて
SASは、アナリティクスのリーディング・カンパニーです。SASは、革新的なソフトウェアとサービスを通じて、世界中の顧客に対し、データをインテリジェンスに変換するためのパワーとインスピレーションを届けています。SASは「The Power to Know®(知る力)」をお届けします。
*SASとその他の製品は米国とその他の国における米国SAS Institute Inc.の商標または登録商標です。その他の会社名ならびに製品名は、各社の商標または登録商標です。
*2022年1月24日に米国SAS Institute Inc.より発表されたプレスリリースの抄訳です。https://www.sas.com/en_us/news/press-releases/2022/january/sas-and-vcu-massey-cancer-center-to-explore-disparities-in-cance.html
本原稿はSAS本社プレスリリースの原稿を抄訳したものです。本記事の正式言語は英語であり、その内容および解釈については英語を優先します。