アキュリスファーマがてんかん発作に対する抗けいれん薬ジアゼパム経鼻投与スプレー製剤の国内第3相臨床試験開始
本試験は、てんかん重積状態もしくはそのリスクを有する日本人小児患者を対象とした、多施設共同、非盲検試験で、本剤の有効性及び安全性を検証することを目的としています。本試験の詳細は、以下をご参照ください。
https://jrct.niph.go.jp/latest-detail/jRCT2031220265
本剤は米国Neurelis社が開発し、当社が日本およびアジア太平洋地域*での独占的開発・商業化に関するライセンスを有し、現在、日本における本剤の開発を進めています。同社は2020年にジアゼパム経鼻スプレー(米国商品名:VALTOCO®)について「6歳以上のてんかん患者における通常の発作パターンとは異なる間欠性の典型的な発作頻発(すなわち、群発発作、急性群発発作)のエピソード」を効果・効能として米国食品医薬品局(FDA)の承認を得ています。
てんかんの原因、症状、重症度は患者さん個々人によって大きく異なり、同様にてんかん発作も患者さんごとに多様な性質をもっています。その中でも、1日に何度も繰り返される発作や一定時間が経過しても停止しない発作(てんかん重積状態)を抱える患者さんにおいては、脳へのダメージ、生命予後への影響が懸念され、速やかな治療介入が必要とされますが1、従来は、救急車で医療機関に搬送し、医療関係者による投薬治療を受けることが中心で、救急車を呼んで医療機関に到着するまで平均約40分を要することから、時間の障壁がありました1。患者さんとそのご家族、医師を対象とした海外の大規模調査では、繰り返すてんかん発作が患者さんご本人はもとより、ご家族における精神的、社会的、経済的な負担についても報告されています2。
アキュリスファーマは、繰り返すてんかん発作を抱える患者さん、そのご家族・介護者がより安心して、自分らしく生活できる社会を実現するため、てんかん発作に対して医療機関の外でご家族・介護者が発作に対応する手段を届けるべく、本製剤を日本の患者さんへ一日も早く届けることを目指し、事業を推進して参ります。
当社は同時に、外部パートナーと協業し、日本におけるてんかん発作の実態や課題について明らかにし、その研究結果を今後のてんかん発作の医療提供体制の整備等に役立てていくことを目指すとともに、てんかん発作に地域社会全体で対応するエコシステムの構築を推進しています。引き続き医療に関わる課題を社会的視点から特定し、その解決のために最新のデジタル技術を駆使し、外部とのパートナーシップを積極的に活用することで新しい医療手段の提供を目指し、日本社会に貢献して参ります。
(*アジア太平洋地域:オーストラリア、ブルネイ、カンボジア、インドネシア、韓国、ラオス、マレーシア、ミャンマー、ニュージーランド、フィリピン、タイ、ベトナム)
■ジアゼパム経鼻投与スプレー製剤について
ジアゼパムは注射剤などの剤形でてんかん発作時の治療薬として60年以上日本の医療現場で使用されています。また、医療機関外においても患者さんや介護者などの医療関係者以外の方が坐剤として使用してきた薬剤です。経鼻投与スプレー製剤としては、2020年1月に米国において「6歳以上のてんかん患者における通常の発作パターンとは異なる間欠性の典型的な発作頻発(すなわち、群発発作、急性群発発作)のエピソード」を効果・効能として米国Neurelis社が米国食品医薬品局(FDA)の承認を得ています。
■てんかんについて
てんかんは、脳の神経細胞の過剰な電気的興奮に伴って、意識障害やけいれんなどの症状(てんかん発作)を引き起こす慢性的な脳の病気です。日本では約60万〜100万人、1,000人に5〜8人がてんかんに罹患していると言われています。医療の進歩により、多くのてんかん患者さんは適切な診断や抗てんかん薬などによる治療を受けることでてんかん発作を抑えることができ、通常の社会生活を送っていますが、約3割の患者さんやそのご家族・介護者は繰り返す発作に対応することが求められています3,4。
■Neurelisについて
Neurelis, Inc.(Neurelis社)は神経疾患領域でアンメットメディカルニーズを抱えているてんかんや希少神経疾患の治療のために独自の医薬品を創製することに注力している製薬企業です。2020年に同社はジアゼパム経鼻スプレー(米国商品名:VALTOCO®)についてFDAの承認を得ています。加えて、同社では急性パニック発作、てんかん重積状態、統合失調症や双極性障害(1型)に伴う急性興奮状態などの領域で新たな治療剤を開発しています。Neurelis社の詳細についてはwww.neurelis.comをご覧下さい。
■アキュリスファーマ株式会社について
アキュリスファーマ株式会社は“Catalyst to Access”(革新的な医療への橋渡しを担う)という理念から創られたAculysを社名とする日本発の製薬ベンチャー企業です。神経・精神疾患領域において革新的な医療手段への橋渡し役となり、患者さんとご家族、医療関係者、社会により良い医療を届けるため、欧米諸国から革新的で優れた医薬品を導入し、開発・販売を担い、さらに疾患を取り巻くさまざまな課題に対するソリューションを提供します。
会社名:アキュリスファーマ株式会社 [英語名:Aculys Pharma, Inc. ]
所在地:東京都港区北青山2 -14 - 4
代表者:綱場 一成
設立日:2021年1月
URL:https://aculys.com
<注意事項>
本リリースに記載されている医薬品に関する情報は当社の経営情報の開示を目的としており、当該医薬品の宣伝・広告を目的とするものではありません。
出典:
1 小児けいれん重積治療ガイドライン 2017(日本小児神経学会)
2 Penovich PE, Buelow J, Steinberg, et al. Burden of seizure clusters on patients with epilepsy and caregivers survey of patient, caregiver, and clinician perspectives. The Neurologist. 2017;22:207–214.
3 てんかんの有病率等に関する疫学研究及び診療実態の分析と治療体制の整備に関する研究_2013年
4 Kwan P, MJ Brodie. Early identification of refractory epilepsy. N Engl J Med. 2000 Feb 3;342(5):314–9.