Secarna Pharmaceuticals、「The Journal of Immunology」誌に新たな前臨床データを発表
衰弱の激しい自己炎症性疾患におけるNLRP3を標的とするLNAplus™ ASOの強力な治療活性を実証
- Secarnaの LNAplus™ASOは、インフラマソーム経路の中心的な構成要素で、多くの炎症性疾患で過度に活性化するNLRP3の発現を抑制
- クリオピリン関連周期熱症候群(CAPS)はまれに見られる遺伝性自己炎症性疾患の一群で、NLRP3の過度の活性化によって引き起こされ、全身性の炎症を引き起こす
- NLRP3の特異的ASOによって、免疫細胞の炎症下流作用を阻害し、CAPS疾患モデルにおける強い症状緩和と生存期間の有意な延長を達成
ドイツ・ミュンヘン / マルティンスリート - EQS Newswire - 2023年7月11日 - 次世代アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)療法の発見と開発に注力し、独自のLNAplus™プラットフォームを通じて治療が困難、または不可能であった標的に取り組むSecarna Pharmaceuticals GmbH & Co. KG (以下、「Secarna」)は、本日、炎症性疾患の治療におけるASOの使用を支持する有力な前臨床データが、査読付き医学誌「The Journal of Immunology」に新たに掲載されたことを発表しました。「Antisense oligonucleotide therapy decreases IL-1β expression and prolongs survival in mutant Nlrp3 mice(アンチセンス・オリゴヌクレオチド療法による変異NLRP3マウスにおけるIL-1β発現の減少と生存期間の延長)」と題する記事は、NLRP3が介在する炎症とCAPSの分野で世界をリードする専門家である米国カリフォルニア大学サンディエゴ校のAriel Feldstein教授およびHal Hoffman教授のグループとSecarna共同研究によるもので、こちら(https://journals.aai.org/jimmunol/article-abstract/doi/10.4049/jimmunol.2200550/263844/Antisense-Oligonucleotide-Therapy-Decreases-IL-1?redirectedFrom=fulltext )からご覧いただけます。
Secarnaは独自のバイオインフォマティクスシステムであるOligofyer™を用いてインフラマソーム経路の中心的な構成要素で、多くの炎症性疾患で過度に活性化するNLRP3 (NLR family pyrin domain containing 3)の発現を抑制するLNAplus™ ASOを設計しました。インフラマソームの活性化はIL-1βなどの炎症性サイトカインを放出させます。この経路の過度の活性化は、関節炎、炎症性腸疾患、急性および慢性腎臓病、非アルコール性脂肪性肝炎、喘息など炎症を伴う多くの疾患を惹起するほか、パーキンソン病やアルツハイマー病などの中枢神経系疾患などにおいても病理学的役割を果たします。今回の試験結果から、NLRP3を標的とするASO療法は、CAPS疾患モデルにおいてNLRP3の発現とIL-1βの放出を減少させ、ASO療法のCAPSをはじめNLRP3が介在する疾患の治療法としての可能性を示唆しています。
CAPSはNLRP3遺伝子の活性化変異によって引き起こされる自己炎症性疾患の総称です。変異の種類によって、症状や重症度は異なり、新生児発症多臓器炎症性疾患(NOMID)、マックル‐ウェルズ症候群(MWS)、家族性寒冷蕁麻疹(FCAS)に分けられます。症状は均質ではなく、発熱や蕁麻疹様皮疹を伴う場合もあり、複数の神経学的兆候が現れて身体を消耗させ、生活の質に深刻な影響を及ぼす可能性があります。現在の治療法は、IL-1β経路を阻害するように設計されており、臨床において、患者さんの症状の改善が示されてきました。しかし、十分な効果が得られない患者さんに対するニーズには応えられておらず、治療法を改善する必要性が指摘されています。
Secarna Pharmaceuticalsの最高科学責任者(CSO)であるFrank Jaschinskiは次のように述べています。「こうした前臨床試験結果を発表することで、私たちはCAPSのすべての領域を通じてNLRP3の特異的ASOがこうした遺伝子を効果的に標的にすることができ、炎症カスケードの過度の活性化を阻止できることを実証しました。CAPSの中でも特に攻撃性の強いモデルにおいて、関連する臓器のさまざまな測定値で明らかな治療効果が得られたことを大変うれしく思います。さらに、このデータはこうしたASOがNLRP3インフラマソーム経路の過度の活性化によって引き起こされる、炎症性腸疾患や急性および慢性腎臓病、中枢神経系疾患など、他の疾患の治療の道を切り開くものです。今後、これまで承認されたASO療法のなかった分野である炎症を標的にしたASOが開発されることを、大いに期待しています。」
カリフォルニア大学サンディエゴ校のグループは、CAPSの治療法としてのNLRP3-ASOの可能性についての試験をIn VivoとIn Vitroのモデルで行いました。細胞培養において、NLRP3-ASOは遺伝子の発現を強力に抑制することを実証しました。さらに、CAPSの3種のモデルすべてのin vivoモデル由来の免疫細胞培養で、炎症性サイトカインIL-1βの分泌の強い低下がありました。NLRP3-ASOの活動はin vivo のNOMID疾患モデルで試験が行われました。NOMIDはCAPSの一連の疾患群の中では最も重症の病型です。ASOの全身療法後、体重の増加と皮膚病変の重症度の低下で生存期間は大幅に延長し、全身性炎症の全般的な減少が見られました。
Secarna独自の創薬および開発プラットフォームLNAplus™について
カスタマイズされたSecarna独自のLNAplus™プラットフォームは、前臨床および臨床開発用のアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)の発見、試験、選択に応用されています。LNAplus™は創薬や前臨床開発のあらゆる側面を網羅した、迅速で信頼性や拡張性、効率性に優れていることが証明されたプラットフォームであり、非常に困難、あるいはこれまで治療不可能だった標的のためのアンチセンスベースの新規治療法の発見を可能にしています。プラットフォームには標的ごとの機能アッセイに加えて、Secarna独自の強力なバイオインフォマティクスのパイプランOligofyer™のほか、独自の安全性テストシステムLNA-Vit(r)ox™をはじめとする合理化された高効率のスクリーニング・プロセスが搭載されています。SecarnaのプラットフォームとASO候補は、多数の社内プロジェクトと複数の産学連携による複数のプロジェクトによって検証されています。
Secarna Pharmaceuticals GmbH & Co. KGについて
Secarna Pharmaceuticalsは、次世代のアンチセンス医薬品の発見と開発を行う欧州の有力な独立系製薬企業で、免疫腫瘍学や免疫学、ウイルス性疾患、神経変性疾患、心代謝性疾患など、アンメット・メディカル・ニーズの高い分野に取り組んでいます。Secarnaは、独自のアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)発見プラットフォームであるLNAplus™のパフォーマンスと成果を最大化すると同時に、特異性や安全性、有効性の極めて高いクラス最高のアンチセンス療法を開発することをミッションとしています。Secarnaは独自のパイプラインプロジェクトとパートナープログラムを合わせて20以上の発見および開発プログラムを有しており、他の療法に比べてアンチセンスをベースとしたアプローチに明らかな利点がある可能性のある適応症を標的とする取り組みに焦点を当てています。詳細についてはhttps://www.secarna.com/ をご覧ください。