北海道大学との共同研究で、心不全患者におけるフレイル自動判定AIアプリを開発
欧州心臓病学会誌に論文が掲載
インフォコム株式会社(東京都港区、代表取締役社長:黒田 淳) と北海道大学は、両者の共同研究「高齢心不全患者におけるフレイル自動診断を支援する新医療機器プログラムに関する研究開発」において、心不全患者の歩行様式を撮影した動画からフレイル(虚弱)を自動計測できる人工知能(AI)アプリを開発しました。なお、本研究は、日本医療研究開発機構(AMED)「医療機器等研究成果展開事業」の研究費を用いて実施されました。
【背景】
心不全は、心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気です。心不全患者の約15-50%が「フレイル(虚弱)」と呼ばれる筋力や心身の活力の低下を合併していると言われています。適切な治療には患者のフレイル段階を正しく評価することが重要ですが、医師によってフレイルの程度判定に差が出てしまうという課題がありました。
北海道大学大学院医学研究院循環病態内科学教室(永井 利幸准教授)は、2018年から心不全患者のフレイル段階を客観的に評価するための研究を進めてきました。インフォコムは、2019年より本研究に参画し、自社の有する機械学習技術・ノウハウを同大学に提供しています。
(参考)2022年6月8日付リリース 「AIを活用した歩行動画分析で心不全患者のフレイル診断を支援 北海道大学との共同研究がAMEDに採択」 (https://www.infocom.co.jp/ja/news/news2022060801.html)
【概要】
本研究において開発したフレイル判定人工知能(AI)アプリは, 歩行様式を撮影した動画(図1)を、深層学習により解析し、フレイルの定量評価指標を出力するものです。当社は、北海道大学からフレイル評価のための撮影プロトコルに基づいた歩行動画と教師データの提供を受け、AIアプリの開発を行いました。心不全患者417名を対象に精度検証を行った結果、極めて高精度な結果が得られ、フレイルを客観的かつ簡便に自動判定する極めて有用なAIアプリであることが確認されました。
(図1)歩行様式の撮影プロトコル
この研究成果は、日本時間2023年12月20日に、循環器デジタルヘルス領域の基幹学術誌の一つ、欧州心臓病学会誌European Heart Journal – Digital Health誌にオンライン掲載されました。
論文名 Machine Leaning-based Gait Analysis to Predict Clinical Frailty Scale in Elderly Patients with Heart Failure.(AIを用いて高齢心不全患者歩行様式からClinical Frailty Scaleを自動予測する)
(https://academic.oup.com/ehjdh/advance-article/doi/10.1093/ehjdh/ztad082/7485720)
詳細は、本日北海道大学より公開されているプレスリリースをご覧ください。
(https://www.huhp.hokudai.ac.jp/wp-content/uploads/2024/01/20240104_press.pdf)
【今後の展開】
今後は、フレイル判定人工知能(AI)アプリのプログラムを医療機器に実装することにより、心不全患者におけるフレイルの早期診断、治療選択、そしてリハビリテーションの効果判定など、様々な臨床応用が期待されます。当社は今後も継続して機械学習を応用したコンテンツ開発を進め、医療におけるDX推進に貢献してまいります。
【インフォコムグループについて】https://www.infocom.co.jp/
インフォコムグループは、医療機関や一般企業向けに情報システムを提供するITサービス事業と、一般消費者向けに電子コミック配信サービス「めちゃコミック」を提供するネットビジネス事業を展開しています。
[インフォコム株式会社]代表取締役社長 黒 田 淳、1983年設立、東証プライム
連結売上高703億円、連結従業員数1,281名(2023年3月期)
以上