各分野でインパクトの高い研究者を選出。3,200余名のうち、日本からは北川進氏、審良静男氏など約100名
世界的な情報サービス企業であるトムソン・ロイター(本社:米国ニューヨーク、日本オフィス:東京都港区)は、同社の論文動向分析データベースInCites(TM) Essential Science Indicators(TM)(以下ESI)および論文検索・引用索引データベースWeb of Science(R) Core Collectionを用いた独自の分析により、『世界で影響力を持つ科学者(The World’s Most Influential Scientific Minds)』リポートを発表しました。
今回の分析は、顕著に高い被引用数をもつ論文データから、各分野を牽引する科学者を特定し、リポートおよびオンラインでひろく公開するものです。選出は、ノーベル賞予測と目される「トムソン・ロイター引用栄誉賞」を毎年手掛ける同社の引用アナリスト、デービッド・ペンドルベリー(David Pendlebury)らが手掛けました。なお、今回選出されたHighly Cited Researchers(高被引用論文著者)の皆様には、トムソン・ロイターから正式な証書が授与されます。
本リポートは、2つの独立した評価軸により構成されています。
1.Highly Cited Researchers(高被引用論文著者):
http://highlycited.com/
2002年1月から2012年12月の11年間にデータベース登録された論文を基にした、世界で影響力を持つ研究者のデータベースです。
過去トムソン・ロイターが提供していたHighly Cited Researchers.comの更新版となります。
【選出方法】
1. ESIの研究カテゴリ21分野(自然科学分野、社会科学分野含む)において、トップ1%の被引用数を持つ論文(高被引用論文:Highly Cited Papers)(注1) を抽出し、その中でさらに、一定数以上の高被引用論文を持つ著者リストを作成しました。
2. このリストは上海交通大学に送られ、各研究者の所属機関などをより精査した後、トムソン・ロイターに戻り、リポートおよびオンラインに公開されました。上海交通大学は、同学が主催する世界大学学術ランキング(Academic Ranking of World Universities: ARWU)のソースデータにトムソン・ロイターの高品質な論文情報を使用するなど、弊社の重要なパートナーです。
3. 結果、今回選出された科学者は3,200名余。うち、日本の研究機関に所属している研究者は約100名でした。
Highly Cited Researchersの選定基準など、より詳しい情報は
http://highlycited.com/info.htm#details をご参照ください。
2.2013年にもっとも注目を集めた研究者(Hottest Researchers):
毎年発表している恒例のノミネートです。今回は、2012年1月から2013年10月にデータベースに収録された論文を基に、2013年に顕著な被引用数を持つ論文(ホットペーパー)(注2) を発表している研究者を選出しました。近年特に注目を集めた研究論文に焦点を絞ることで、科学コミュニティが生みだす新しい動向とその背後の革新的研究者にスポットライトを当てることができます。今回、日本の研究機関に所属する研究者の選出はありませんでした。
上記の情報は、『世界で影響力を持つ科学者(The World’s Most Influential Scientific Minds)』リポートをダウンロードしてご覧下さい。
https://secure.ip-science.thomsonreuters.com/JP-HCR2014
【日本の研究者の選出について】
今回選出された研究者は世界中で3,200人余り、そのうち日本の研究機関・大学所属の研究者は約100名です。その中には、過去トムソン・ロイター引用栄誉賞(ノーベル賞予測)にノミネートされた京都大学の北川進教授、東京工業大学の細野秀雄教授、大阪大学の審良静男教授、東京大学の水島昇教授など、既に各分野で世界的な権威であり、研究を牽引している研究者が数多く入っています。
各科学者の所属機関名は、分析対象年(2012年12月)当時のデータをベースに上海交通大学で精査されていますが、更なる変更が必要な場合は弊社コンタクトまでお知らせいただければ、順次アップデートいたします。
【今回の分析に関する考察と注意点】
今回の分析は、ESIの分野別に分析・抽出を実施しております。そのため、著名な研究者でも、その研究内容が融合的でありかつ分野が複数に渡っている場合などは、各分野で設定された閾値に高被引用論文数が達せず、選出から漏れていることがあります。京都大学の山中伸弥氏などはこのケースに当たりますが、これはあくまで今回の選出基準の定義によるものであり、今回の選出に名前が入っていないことが、研究者の評価を損ねるものではありません。引用分析は、研究の一部分を切り取る鏡とお考えください。
【引用分析についての考察】
論文の引用には様々な理由や背景がありますが、多くは同業研究者の先行研究に対する敬意の表れです。引用は、自身の研究に重要なつながりを持つ過去の研究について研究者が証明を行う手段であり、引用数が顕著に高い論文は、意義深く有益であると科学コミュニティが判断したひとつの目安となります。そのつながりを分析することで、影響力の強い研究者個人、研究機関、国・地域、ジャーナルなど、切り口を変えて抽出することができます。
科学と革新技術は未来を創造する強力な推進力であり、その未来に力を与えようとしているのが今回選出された方々を筆頭とする科学者です。科学の最先端を拓く研究者や研究機関、ひいては国が世界的な技術革新を進めるため、トムソン・ロイターも学術コミュニティへの積極的な支援を続けて参ります。
(注1) 高被引用論文(Highly Cited Papers)の定義
ESI の22研究分野において被引用数が上位1%の論文を高被引用論文(Highly Cited Papers)と定義しています。
引用は分野によって動向が異なること、一般的に論文発表から時間を経るほど多くなることを踏まえ、各年・分野別の高被引用論文を特定し、集計しています。
(注2) ホットペーパーの定義
トムソン・ロイターが選ぶホットペーパーは、弊社の学術論文情報データベース Web of Science Core Collectionに収録されたデータをベースにしています。該当期間からみた過去2年間に収録された論文が、直近2カ月間にどれだけ多く引用されたかを基準に選考されます。分析は分野ごとに行われ、上位のトップ 0.1 パーセントにあたる論文がその分野のホットペーパーとして選出されます。
選出に使用したデータベースは2か月ごとに更新されるため、今回は、2013年1-2月、3-4月、5-6月、7-8月、9-10月の5回分のホットペーパーデータの合計数を使用しました。
【InCites Essential Science Indicators(ESI)とは】
ESIは、学術論文の引用動向データを提供する統計データベースです。学術文献・引用索引データベース「Web of Science Core Collection」の収録レコードをもとに、論文の被引用数から、世界のトップ1パーセントにランクされる研究者と研究機関の情報をそれぞれ収録しています。収録データは2か月ごとに更新されます。詳しくは以下のサイトをご参照ください。
http://ip-science.thomsonreuters.jp/products/esi/
【Web of Science Core Collectionとは】
世界中の影響力の高い学術雑誌12,000以上(2014年4月現在)を厳選し、包括的なアクセスを提供するオンライン学術文献データベースです。引用文献情報も収載しているので、文献の引用回数を調べたり、引用文献をたどって研究の発展や経過を調べたりすることができます。詳しくは下記サイトをご覧ください。
http://ip-science.thomsonreuters.jp/products/wos/
トムソン・ロイターについて
トムソン・ロイターは企業と専門家のために「インテリジェント情報」を提供する企業グループです。業界の専門知識に革新的テクノロジーを結びつけ、世界で最も信頼の置かれている報道部門をもち、ファイナンシャル・リスク、法律、税務・会計、知財・医薬・学術情報、メディア市場の主要な意思決定機関に重要情報を提供しています。トムソン・ロイターの株式は、トロント証券取引所およびニューヨーク証券取引所に上場されています。詳しい情報は
http://thomsonreuters.com をご覧ください。
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