4月の炎上分析データ公開!炎上件数、59件(調査対象期間:2025年4月1日~4月30日)
一般社団法人デジタル・クライシス総合研究所による最新の炎上事案分析
シエンプレ株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:佐々木 寿郎)は、一般社団法人 デジタル・クライシス総合研究所(住所:東京都渋谷区、所長:佐々木 寿郎)と共同で、調査対象期間に発生したネット炎上についての件数と、その内訳、分析結果を公開しました。https://www.siemple.co.jp/document/enjou_report_202504/
■調査背景
2025年1月28日、デジタル・クライシス総合研究所はソーシャルメディアを中心とした各種媒体とデジタル上のクライシスの特性、傾向と論調を把握するために「デジタル・クライシス白書2025」(調査対象期間:2024年1月1日~2024年12月31日)を公開しました。
継続調査の結果報告として、今回は2025年4月1日〜2025年4月30日の調査対象期間に発生した炎上事案について、新たに分析しています。
○「デジタル・クライシス白書2025」
https://www.siemple.co.jp/document/hakusyo2025/
■調査の概要
1. 炎上主体別 発生件数
1-1. 炎上主体別 発生件数と割合(前月比)
4月の炎上事案は59件でした。前月に比べ、8件増加しています。
炎上主体別の内訳では、「著名人」24件(40.7%)、「一般人」12件(20.3%)、「メディア以外の法人」18件(30.5%)、「メディア」5件(8.5%)という結果でした。
前年平均比では、炎上事案は43件減少しています。
炎上主体別の内訳では、「著名人」が14件の減少、「一般人」が17件の減少、「メディア以外の法人」が8件の減少、「メディア」が4件の減少という結果でした。
炎上主体別の内訳は、「著名人」が26件の減少、「一般人」が39件の減少、「メディア以外の法人」が18件の減少、「メディア」が1件の増加という結果でした。
炎上内容別の内訳では、「情報漏洩」が1件(1.7%)、「規範に反した行為」が3件(5.1%)、「サービス・商品不備」が5件(8.5%)、「特定の層を不快にさせる行為(※)」が50件(84.7%)という結果でした。
前月と比較すると、「情報漏洩」は1件の増加、「規範に反した行為」は5件の減少、「サービス・商品不備」は2件の増加、「特定の層を不快にさせる行為」は10件の増加という結果でした。
※特定の層を不快にさせる行為:法令や社会規範に反する行為ではないものの、他者を不快にさせる行為(問題行動、問題発言、差別、偏見、SNS運用関連など)
前年の平均発生件数と比較すると、「情報漏洩」が変動なし、 「規範に反した行為」が5件減少、「サービス・商品不備」が3件減少、「特定の層を不快にさせる行為」が35件減少しました。
前年同月の件数と比較すると、「情報漏洩」が1件増加、「規範に反した行為」が9件減少、「サービス・商品不備」が2件減少、「特定の層を不快にさせる行為」が72件減少しました。
炎上内容の詳細を分析したところ、「非常識な行動(モラルのなさ)」に関する炎上事案が17件と最も多く、次いで「問題発言」に関する炎上事案が15件でした。
4-1. 法人等の業界別発生件数と割合(炎上の内容別)
炎上主体のうち、「法人等」に該当する炎上23件について、業界ごとに分類しました。炎上事案が最も多かった業界は「娯楽・レジャー」業界で、11件(47.8%)という結果でした。
炎上の標的が「法人等」の場合について、上場企業か否か、また、それぞれの従業員数について調査しました。
なお「法人等」に該当する炎上事案は、日本国内に所在する企業のみを対象としています。
また、公共団体や政党、企業概要や従業員数等の情報が公開されていない団体は調査対象から除外しています。
調査対象の総数は18件です。
5-1. 炎上主体における上場企業・非上場企業の件数と割合(前月比)
上場区分に関して「上場企業」が主体となった事例が4件(22.2%)、「非上場企業」が主体となった事例が14件(77.8%)という結果でした。
前月と比較すると、「上場企業」の件数は2件減少、「非上場企業」の件数は4件増加しました。
前年平均と比較すると、「上場企業」の件数は2件減少、「非上場企業」の件数は4件減少しました。
5-3. 炎上主体における上場企業・非上場企業の件数と割合(前年同月比)
前年同月と比較すると、「上場企業」の件数は6件減少、「非上場企業」の件数は3件減少しました。
割合を比較すると、炎上した企業のうち、「上場企業」の割合は14.8ポイント減少しました。
5-4. 炎上の対象となった従業員数と売上高の散布図
また、従業員数約1千人、売上高約3000億円といった大企業の炎上事案も確認されました。
ブロガー 徳力基彦 氏
2025年4月の炎上件数は59件と、3月に比べると8件増加にはなりましたが、昨年の2024年4月の141件や2023年4月の131件に比べると半分以下の件数です。
昨年からの大手芸能事務所等による炎上インフルエンサーへの法的措置警告や誹謗中傷に対する警鐘が効果を出しているように見えます。
無益な炎上が減っていること自体は良い傾向と言えるでしょう。
一方で炎上件数の減少は、特に「一般人」のカテゴリが大きく減っており、相対的に「メディア以外の法人」、つまり通常の企業における炎上は、全体の中で比率を増している点は注意が必要です。
炎上件数が減っている一方で、ネットメディアは炎上ネタはPVが稼げるため引き続き炎上ネタを求めています。
そのため、ほっかほっか亭によるライス販売停止のエイプリルフール投稿のように、SNS担当者によるバズ狙いの投稿が批判を受けて炎上すると、悪意がない投稿でも大きくメディアに取り上げられやすい構造になっていると言えます。
■(参考)分類基準
1.分類基準(炎上の主体)
抽出したデータは以下の表1に基づき分類しました。
(表1)分類基準(炎上の主体)
『ネット炎上の研究「炎上の分類・事例と炎上参加者属性」』、 出版記念公開コロキウム用資料、2016
公に情報を発信する機会の多いメディア関連の法人については、炎上に至る経緯に違いがあるため、他業種の法人と分けて集計しています。
2.分類基準(炎上の内容)
抽出したデータは以下の表2に基づき分類しました。
(表2)分類基準(炎上の内容)
『ネット炎上の研究「炎上の分類・事例と炎上参加者属性」』、 出版記念公開コロキウム用資料、2016
3.分類基準(業界)
また、炎上の主体が「法人等」の場合、20の業界に分類しました。
なお、該当しない業界に関しては「その他」としてデータを処理しました。
■一般社団法人デジタル・クライシス総合研究所 概要
研究所名 :一般社団法人デジタル・クライシス総合研究所
設立 :2023年1月20日
代表理事 :佐々木 寿郎
アドバイザー:山口 真一(国際大学グローバル・コミュニケーション・センター准教授)
沼田 知之(西村あさひ法律事務所所属弁護士)
設立日 :2023年1月20日
公式HP :https://dcri-digitalcrisis.com/
関連会社 :シエンプレ株式会社"