5月の炎上分析データ公開!炎上件数、57件(調査対象期間:2025年5月1日~5月31日)
一般社団法人デジタル・クライシス総合研究所による最新の炎上事案分析
シエンプレ株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:佐々木 寿郎)は、一般社団法人 デジタル・クライシス総合研究所(住所:東京都渋谷区、所長:佐々木 寿郎)と共同で、調査対象期間に発生したネット炎上についての件数と、その内訳、分析結果を公開しました。https://www.siemple.co.jp/document/enjou_report_202505/
■調査背景
2025年1月28日、デジタル・クライシス総合研究所はソーシャルメディアを中心とした各種媒体とデジタル上のクライシスの特性、傾向と論調を把握するために「デジタル・クライシス白書2025」(調査対象期間:2024年1月1日~2024年12月31日)を公開しました。
継続調査の結果報告として、今回は2025年5月1日〜2025年5月31日の調査対象期間に発生した炎上事案について、新たに分析しています。
○「デジタル・クライシス白書2025」
https://www.siemple.co.jp/document/hakusyo2025/
■調査の概要
1. 炎上主体別 発生件数
1-1. 炎上主体別 発生件数と割合(前月比)
5月の炎上事案は57件でした。前月に比べ、2件減少しています。
炎上主体別の内訳では、「著名人」26件(45.6%)、「一般人」14件(24.6%)、「メディア以外の法人」13件(22.8%)、「メディア」4件(7%)という結果でした。
前年平均比では、炎上事案は45件減少しています。
炎上主体別の内訳では、「著名人」が12件の減少、「一般人」が15件の減少、「メディア以外の法人」が13件の減少、「メディア」が5件の減少という結果でした。
炎上主体別の内訳は、「著名人」が11件の減少、「一般人」が1件の増加、「メディア以外の法人」が18件の減少、「メディア」が1件の増加という結果でした。
炎上内容別の内訳では、「情報漏洩」が0件(0%)、「規範に反した行為」が7件(12.3%)、「サービス・商品不備」が4件(7%)、「特定の層を不快にさせる行為(※)」が46件(80.7%)という結果でした。
前月と比較すると、「情報漏洩」は1件の減少、「規範に反した行為」は4件の増加、「サービス・商品不備」は1件の減少、「特定の層を不快にさせる行為」は4件の減少という結果でした。
※特定の層を不快にさせる行為:法令や社会規範に反する行為ではないものの、他者を不快にさせる行為(問題行動、問題発言、差別、偏見、SNS運用関連など)
前年の平均発生件数と比較すると、「情報漏洩」が1件減少、 「規範に反した行為」が1件減少、「サービス・商品不備」が4件減少、「特定の層を不快にさせる行為」が39件減少しました。
前年同月の件数と比較すると、「情報漏洩」が1件減少、「規範に反した行為」が2件減少、「サービス・商品不備」が5件減少、「特定の層を不快にさせる行為」が19件減少しました。
炎上内容の詳細を分析したところ、「問題発言」に関する炎上事案が17件と最も多く、次いで「非常識な行動(モラルのなさ)」に関する炎上事案が15件でした。
4-1. 法人等の業界別発生件数と割合(炎上の内容別)
炎上主体のうち、「法人等」に該当する炎上17件について、業界ごとに分類しました。炎上事案が最も多かった業界は「娯楽・レジャー」業界で、5件(29.4%)という結果でした。
炎上の標的が「法人等」の場合について、上場企業か否か、また、それぞれの従業員数について調査しました。
なお「法人等」に該当する炎上事案は、日本国内に所在する企業のみを対象としています。
また、公共団体や政党、企業概要や従業員数等の情報が公開されていない団体は調査対象から除外しています。
調査対象の総数は10件です。
5-1. 炎上主体における上場企業・非上場企業の件数と割合(前月比)
上場区分に関して「上場企業」が主体となった事例が3件(30%)、「非上場企業」が主体となった事例が7件(70%)という結果でした。
前月と比較すると、「上場企業」の件数は1件減少、「非上場企業」の件数は7件減少しました。
前年平均と比較すると、「上場企業」の件数は3件減少、「非上場企業」の件数は11件減少しました。
5-3. 炎上主体における上場企業・非上場企業の件数と割合(前年同月比)
前年同月と比較すると、「上場企業」の件数は5件減少、「非上場企業」の件数は11件減少しました。
割合を比較すると、炎上した企業のうち、「上場企業」の割合は0.8ポイント減少しました。
5-4. 炎上の対象となった従業員数と売上高の散布図
また下図のグラフにはありませんが、従業員数約3千人、売上高約14000億円といった大企業の炎上事案も確認されました。
国際大学グローバル・コミュニケーション・センター 准教授 山口 真一氏
セブンイレブンが5月13日から打ち出した「お値段そのまま!人気商品増量祭」は、価格据え置きで内容量を微増させる施策として打ち出されたもので、他社で同様のキャンペーンは実施されています。しかし、SNSには「ショボい」「期待外れ」といった批判が相次ぎました。
まず、ファミリーマートが昨年8月に実施した「たぶん40%増量作戦」では、ファミチキやスイーツなどで見た目にも増量が一目瞭然でした。実際のサイズ感が大幅にアップし、「袋が閉まらないほど」「明らかに量が違う」といった好評を博し、インターネット上で話題になりました。同様に、ローソンの「盛りすぎチャレンジ」でも同程度の増量が達成され、消費者にインパクトのある体験を提供しています。これらの事例は、増量の訴求力を最大化するうえで、量的実感が不可欠であることを示しています。
一方、セブンイレブンのキャンペーンはチャーシュー1枚増量やタルタル2倍、コーン2倍といった“細かな調整”にとどまり、見た目や満足感の向上が伝わりにくいものでした。加えて、過去の「上げ底弁当」騒動によって、内容量と見た目のギャップに対する消費者の不信感が特にインターネット上で根強く残っていたことも、今回の評価を厳しくした一因でしょう。期待を煽る効果的なコピーやパッケージ演出だけでは、消費者の心を掴みきれず、むしろ「またセブンか」という逆効果を招いてしまいました。
本事例から企業に得られる示唆としては、以下の三点が挙げられます。
- 「実感」を伴う施策設計:量の微増や演出重視ではなく、消費者に手に取った瞬間のインパクトを提供することが重要です。パーセンテージで示せる増量幅や、見た目でわかる変化を追求すべきでしょう。
- 過去のブランドイメージとの整合性:以前のトラブルで築かれた消費者の不信感がある場合、その払拭を優先しなければ、新たな施策が逆風になる可能性があります。信頼回復に向けた取り組みとセットで実施することが望ましいです。
- コミュニケーションの透明性:キャンペーンの目的や増量の根拠を明示し、消費者が納得できる情報提供を行うことで、「企業の誠意」を伝えることができます。単なる販促ではなく、消費者の立場に立った丁寧な説明や中身が求められます。
■(参考)分類基準
1.分類基準(炎上の主体)
抽出したデータは以下の表1に基づき分類しました。
(表1)分類基準(炎上の主体)
『ネット炎上の研究「炎上の分類・事例と炎上参加者属性」』、 出版記念公開コロキウム用資料、2016
公に情報を発信する機会の多いメディア関連の法人については、炎上に至る経緯に違いがあるため、他業種の法人と分けて集計しています。
2.分類基準(炎上の内容)
抽出したデータは以下の表2に基づき分類しました。
(表2)分類基準(炎上の内容)
『ネット炎上の研究「炎上の分類・事例と炎上参加者属性」』、 出版記念公開コロキウム用資料、2016
3.分類基準(業界)
また、炎上の主体が「法人等」の場合、20の業界に分類しました。
なお、該当しない業界に関しては「その他」としてデータを処理しました。
■一般社団法人デジタル・クライシス総合研究所 概要
研究所名 :一般社団法人デジタル・クライシス総合研究所
設立 :2023年1月20日
代表理事 :佐々木 寿郎
アドバイザー:山口 真一(国際大学グローバル・コミュニケーション・センター准教授)
沼田 知之(西村あさひ法律事務所所属弁護士)
設立日 :2023年1月20日
公式HP :https://dcri-digitalcrisis.com/
関連会社 :シエンプレ株式会社"