デロイト トーマツ、量子特化型ベンチャーキャピタルのQuantonationと日本での量子スタートアップエコシステムの創出を目指す協業を開始
日本市場における量子ユニコーン企業輩出へ向け、量子技術の研究開発推進、スタートアップ支援、エコシステム構築を加速
デロイト トーマツ グループ(東京都千代田区、グループCEO:木村 研一、以下「デロイト トーマツ」)は、世界最大規模の量子技術領域特化型ベンチャーキャピタルQuantonation Ventures(フランス パリ、マネージングパートナー:Christophe Jurczak、以下「Quantonation」)と、日本発の量子ユニコーン企業輩出へ向け、日本における量子スタートアップエコシステムの創出を目指す協業を開始します。Quantonationは、量子技術領域において業界をリードするアーリーステージ向けのベンチャーキャピタルです。2018年に設立され、フランスとアメリカに拠点を持っています。量子技術、量子産業に精通し同領域への投資運用実績が豊富なベンチャーキャピタリストが在籍し、量子技術の動向調査や有望な量子スタートアップへ投資するほか、これまでにカナダ、フランス、イタリアでの量子スタートアップ向けインキュベーション施設の運用などを通じて、技術革新と市場の成長を支援しています。設立以降、「Quantonation Ⅰ」と「Quantonation Ⅱ」の2つのファンドを運用しており、スタートアップ計35社へ出資し、総額約2億3千万ユーロ以上の運用実績を持っています。
デロイト トーマツは、デロイト トーマツ ベンチャーサポート株式会社を中心に、新規事業創出支援にむけたアクセラレーションプログラム運営などスタートアップ支援に関する豊富な知見を持ち、同社が運営するベンチャー企業のピッチイベント「Morning Pitch」では、過去2回に渡り日本発の量子スタートアップが計7社登壇する量子コンピューティング特集回を開催し、合計参加者数が700名を超えるなど大きな反響を得ています。量子分野では2024年1月より“Quantum Harbor”プロジェクトを推進しており、デロイトのグローバルネットワークや国内外の産官学プレーヤーと連携しながら、自ら研究開発を進めるほか、創薬・素材化学など量子コンピュータの活用が期待される産業領域でのユースケース企画を含む事業創出、エコシステム形成、量子人材育成などに取り組んでいます。また、東京・丸の内のデロイト トーマツ イノベーションパークを、量子スタートアップの拠点および量子関連の国際会議の開催など様々な企業とのコラボレーションの場として提供しており、量子技術やビジネスの集積拠点として活用していくことを目指しています。
デロイト トーマツとQuantonationは世界の量子産業をリードする日本企業の創出を目指し、今後の活動として以下を検討しています。
1.量子スタートアップのアクセラレーション・インキュベーションプログラムの共同運営
Quantonationの持つグローバルの最新動向・知見と、デロイト トーマツの持つ国内でのスタートアッププログラムの実績をもとに効果的なアクセラレーション・インキュベーションプログラムの組成と運営を目指します。
2.日本の量子スタートアップの海外市場進出支援
Quantonationが持つグローバルの企業・国とのネットワークとマーケットニーズの最新動向を活用し、日本の量子スタートアップの海外市場進出を支援し、国内量子スタートアップの国際的なプレゼンス向上を目指します。
3.量子産業に関わる海外プレイヤーの日本量子エコシステムへの参入支援
日本企業との共創や日本の量子スタートアップへの出資、協業を検討する海外企業と日本の量子プレイヤーを結びつけ、日本国内での量子技術の社会実装を加速させます。
4.量子技術の社会実装による地方創生
Quantonationが各国で地域の学術機関と連携しながら実施している地域密着型のスタートアップインキュベーション施設の運用知見などを基に、量子技術による地方創生の実現を目指します。日本でも意欲のある自治体を募り、地場の企業やアカデミアなどと共同で量子技術を社会実装することで企業や地域の付加価値向上につなげます。
幅広い分野で革新をもたらすと期待されている量子コンピュータ市場の世界は、ビッグテック企業だけでなく高い技術と専門性を持つスタートアップ企業も参入し、大変な盛り上がりを見せています。量子スタートアップの中には、政府や民間からの巨額の投資を受け、企業価値が10億米ドルを超えるユニコーン企業も登場しています。
日本でも、量子コンピュータの有望なユースケースが期待される製造、金融、自動車、製薬などの分野の企業が多数存在することを背景の一つとして、量子技術への関心が急速に高まっています。また、世界的に見ても先進的な量子技術を持つ学術機関や、それを基盤とした量子スタートアップが数多く存在し、量子コンピュータのハードウェア、ソフトウェア、部品、そして冷却装置などの周辺機器まで幅広く開発・商業化する動きが進んでいます。一方で技術開発や収益化までの時間が長期に及ぶことや、海外を含む投資家ネットワークとの接点が乏しいことから、日本の量子スタートアップに対してベンチャーキャピタル等による積極的な投資が十分に行われていない点が課題となっています。これらスタートアップが海外投資家を含む海外市場への参入を目指すことは、日本発の量子ユニコーン企業を生み出すための重要な鍵となります。
日本政府も2030 年に向けて「国内の量子技術の利用者を 1,000 万人」、「量子技術による生産額を 50 兆円規模」、「量子ユニコーンベンチャー企業を創出」といった目標を設定しています。また、2025年5月には今年を「量子産業化元年」と位置づけており、量子技術の社会実装と産業化を一層加速させる取り組みが期待されています。