【調査レポート】SSBJ基準への対応に向けたSASBスタンダード活用の現状と課題

PwC Japan有限責任監査法人

2025年7月10日
PwC Japan有限責任監査法人

【調査レポート】
SSBJ基準への対応に向けたSASBスタンダード活用の現状と課題
TOPIX100企業のSASBスタンダードの適用と開示状況に対する調査

2025年3月、日本ではサステナビリティ基準委員会(Sustainability Standards Board of Japan:SSBJ)が、IFRSサステナビリティ開示基準の内容と整合性のある「サステナビリティ開示基準の適用」「一般開示基準」「気候関連開示基準」の3つの基準(SSBJ基準)を公表しました。

SSBJ基準においては、IFRSサステナビリティ開示基準と同様に、SASBスタンダードは「参照し、その適用可能性を考慮しなければならない」情報源とされています。具体的には「サステナビリティ関連のリスクおよび機会の識別」および「識別したリスクおよび機会に関する重要性がある情報の識別」において、SASBスタンダードの開示トピックおよび指標の参照と適用可能性の考慮が要求されています。

本調査は、TOPIX100企業の開示情報が、SASBスタンダードにどの程度適合しているかを調査することで、日本企業のサステナビリティ情報開示の現状と課題を明らかにすることを目的にしています。

調査結果を通じて、SASBスタンダードの観点から、現時点で日本企業がうまく対応できている領域と、さらなる改善の余地がある領域を明らかにし、日本企業や投資家のサステナビリティ開示基準へのさらなる適応の一助となる情報を提供します。

主な調査結果

・SSBJ基準の適用義務化が検討される中、SASBスタンダードの活用企業の増加は緩やか
2024年は64社の企業がSASBスタンダードの活用を公表しており、そのうち40社がSASB対照表を開示しています。公表していないものの実際には活用している企業が存在する可能性を念頭に置く必要はありますが、2022年から2023年の間に比べ、2023年から2024年の間では、SASBスタンダードの活用率と対照表を公開する企業数の増加ペースが緩やかになっています。

日本では、2027年3月期からSSBJ基準の段階的な適用義務化が検討されています。この義務化に伴い、TOPIX100企業のほとんどがSASBスタンダードを活用する必要があると予想されます。これは、SSBJ基準がSASBスタンダードを考慮すべき情報源として規定しているためです。調査結果から、企業が法規制の強化に適合していくためには、SASBスタンダードのさらなる活用が課題と考えられます。

・開示トピックと指標で昨年と同等の活用状況、特定課題カテゴリーでさらなる活用の余地
TOPIX100企業のマテリアリティ分析では、SASBスタンダードの開示トピックの80%が重要課題として識別されていました。開示トピックと企業の重要課題は2024年も高い一致率を示しています。ただし、重要課題と識別されていない開示トピックが、特定の課題カテゴリーに集中していることも明らかになっています。

企業のSASBスタンダード指標の開示状況では、全面的に開示されているのが11%、部分的に開示されているのが45%です。部分的に開示されている指標は2023年より1ポイント増加しましたが、全面的に開示されている指標の割合は変わりませんでした。同時に、開示が不十分または部分的にとどまっている指標が特定の課題カテゴリーで多い状況も確認されています。

・SSBJ基準の適用義務化を見据えたSASBスタンダード活用方策の検討
今後のSSBJ基準の適用義務化を見据えて、日本企業によるSASBスタンダード活用の方策を検討しました。第1章では、SASBスタンダードの活用率の増加が緩やかになっていることを確認し、第2章では、80%の開示トピックが重要課題として識別されているものの、特定の課題カテゴリーのSASBスタンダード活用が十分でないことを把握しました。これらを踏まえ、「製品設計とライフサイクル管理」や「製品の品質と安全性」など6つのカテゴリーについて、課題と活用の方策を整理しました。SASBスタンダードの活用は、企業が法規制に適応し、サステナビリティ開示を強化することに貢献すると私たちは考えます。

本レポート詳細につきましては、以下URLよりご覧ください。
SSBJ基準への対応に向けた SASBスタンダード 活用の現状と課題
https://www.pwc.com/jp/ja/knowledge/thoughtleadership/sasb2025.html
以上

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