JAXAの新型宇宙ステーション補給機1号機(HTV-X1)に、リコーのペロブスカイト太陽電池が搭載
~太陽電池の性能を宇宙実証で検証~
株式会社リコー(社長執行役員:大山 晃、以下、リコー)は、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(理事長:山川 宏、以下、JAXA)が開発した新型宇宙ステーション補給機1号機(HTV-X1)(以下、HTV-X1)に搭載されたSDX(Space solar cell Demonstration system on HTV-X:次世代宇宙用太陽電池実証装置)に、リコーが開発するペロブスカイト太陽電池が搭載されたことをお知らせします。HTV-X1は、2025年10月26日に打ち上げられ、物資輸送後に、軌道上での実証実験が行われます。リコーは、脱炭素社会の実現に向けた取り組みの一環として、ペロブスカイト太陽電池の実用化に向け技術開発に取り組んでいます。2017年からは、JAXA宇宙探査イノベーションハブとの共同研究に参画し、宇宙でも高い耐久性を発揮するペロブスカイト太陽電池の開発に取り組んできました。JAXAは、今回の宇宙実証で、HTV-X1が国際宇宙ステーション(ISS)へ物資を輸送した後、宇宙空間にリコーのペロブスカイト太陽電池を約2か月間晒し、電流‐電圧(I-V)特性の取得や、発電性能・耐久性などの評価を行うことを計画しています。従来の衛星用太陽電池は、重量が重く打上げにコストがかかり、宇宙線(宇宙空間を飛び交う放射線)による劣化や、十分に太陽光が当たらないと発電ができないといった課題があります。ペロブスカイト太陽電池は、低照度での高い発電量と、宇宙線に対する高い耐久性、また将来的にはフレキシブル化や軽量化も可能な素材であることから、宇宙空間での活用も期待されています。
リコーは現在、複合機の開発で培った有機感光体技術と、インクジェットヘッド技術、インク・サプライ技術、プリンティングシステム技術、ロールtoロール搬送技術を掛け合わせることにより、ペロブスカイト太陽電池の高変換効率化・高耐久化に加え、高生産性・低コスト化の実現を目指しています。インクジェット印刷は、高精度パターニングにより任意の位置に全機能層を積層できるため、意匠性の付与やサイズのカスタマイズも可能であり、太陽電池のさらなる普及拡大を後押しするものと考えています。
今回実施される宇宙実証の成果を活用し、ペロブスカイト太陽電池の性能向上と、高耐久化の開発をさらに進め、ペロブスカイト太陽電池の早期事業化を目指します。
