国際標準化機関 ITU-T CxO Roundtable において、IOWNを活用したワット・ビット連携技術の標準化に向けた検討を開始することに合意
- NTTは2025年11月3日開催のITU-T※1主催CxO Roundtable※2に参加
- AI需要の高まりに伴うデータセンター・電力需要に対応するため、超低遅延などの特徴を持つネットワーク『IOWN』を活用した発電エリア近傍へのデータセンター拡張、さらには電力需要に柔軟に対応するため、ワット・ビット連携※3をベースにした通信と電力の連携・最適化について検討を開始することを提案
- 世界各国のCxOおよびITU-T幹部の賛意を得て、国際標準策定などの必要性を合意
1. ITU-T CxO Roundtableの概要
ITU-T CxO Roundtableは、ITU-T(局長:尾上誠蔵氏)主催で、情報通信業界のCxOやITU-T幹部が集い、優先課題や標準化活動の方向性を議論する場です。今年度は2025年11月3日、ドイツ・ミュンヘンにて開催され、NTTは昨年に引き続きの参加となりました。
2. 背景
近年、世界的なAIの発展と利用拡大によりデータセンター拡張の需要が急激に高まり、特に都市部でのデータセンターの用地不足、電力不足が懸念されています。そこで、日本ではワット・ビット連携官民懇談会が設立され、データセンターの地方分散や再生可能エネルギー利用拡大などの対応策が提言されています。
これらの実現のためには、ワークロードシフト※4に向けたICT・電力間のインタフェース定義などの新たな課題も想定されます。こうした課題の解決には、通信・電力業界の垣根を超えた連携・最適化(ワット・ビット連携)が不可欠であり、早急に実現させていくことが重要となってきています。
3. NTTからの提案
NTTは、都市部でのデータセンターの用地・電力不足を解決するため、超低遅延・超低消費電力・超広帯域などの特徴を持つ「IOWN」を活用した都市部から離れたエリアへのデータセンターの拡張による対応策について提示しました。また、電気通信業界の国際標準機関であるITU-T尾上局長のリーダーシップのもと、電力需要に柔軟に対応するために、ワット・ビット連携の考えに基づいた、解決課題の検討及び課題解決に必要な国際標準化、更には、電力業界の標準化組織(IEC※5など)との連携の促進について、その必要性を提案しました。
これらは世界各国のCxOおよびITU-T幹部からの賛意を受け、国際標準の策定を含む、AI電力需要増大への対応についての検討開始が合意され、CxO Roundtableの声明文書※6にも反映されています。
4. 今後の展開
NTTでは国内外の様々なステークホルダーとの連携のもと、ワット・ビット連携に関わる国際標準化活動へ参画するとともに、実現のキーテクノロジーと期待されているIOWNの研究開発・普及展開を図り、ITU-Tにおける国際標準化についても引き続き貢献して参ります。
【用語解説】
※1 ITU:ITU(International Telecommunication Union)は国連専門機関の1つであり、国連加盟国・地域により構成される国際標準化機関。ITU-TはITUにおいて情報通信の国際標準化を担当する組織
※2 CxO Roundtable:ITU-T参加企業・団体の幹部が集う会議であり、ITU-T局長(日本から選出された尾上氏)が主催
会議に関するURL: https://www.itu.int/en/ITU-T/tsbdir/CxO/Pages/CxO-Roundtable,-3-November-2025.aspx
※3 ワット・ビット連携:電力・通信インフラの効率的な整備に向け、電力・通信・データセンター事業者が一体となり電力と通信を効果的に連携 https://www.meti.go.jp/press/2025/06/20250612001/20250612001.html
※4 ワークロードシフト:計算資源やデータセンターにおける処理負荷を動的に移動させること
※5 IEC:国際電気標準会議(International Electrotechnical Commission) 電気及び電子技術分野の国際規格の作成を行う国際標準化機関で、各国の代表的標準化機関から構成
※6 https://www.itu.int/en/ITU-T/tsbdir/CxO/Pages/CxO-Roundtable%2c-3-November-2025.aspx
