茶殻肥料による地域循環とバイオ炭の農地施用を埼玉県入間地区で開始
~「茶殻」と「バイオ炭」の活用による「みどりの食料システム戦略」を推進~
株式会社伊藤園(社長:本庄 大介、本社:東京都渋谷区)は、「お~いお茶」などの茶系飲料生産時に排出される副産物「茶殻」を活用した循環型農業の推進と、バイオ炭の農地施用実証試験を、埼玉県入間地区にあるりそなグループの首都圏アグリファーム(代表:水本達也、本社:埼玉県入間市)で、2025年10月より本格的に開始しました。これにより、地域内での資源循環とGHG排出量削減を同時に実現する先進的でサステナブルなビジネスモデルを構築します。近年、農林水産省では食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現するため「みどりの食料システム戦略」を推進し、環境負荷の低減策を掲げています。
伊藤園においても、かねてより限りある資源の有効活用と環境負荷低減のため、事業活動を通じた脱炭素化や資源循環などの環境課題解決に取組んできました。この度、「お~いお茶」などの茶系飲料生産時に排出される副産物「茶殻」を活用した循環型農業の推進と、バイオ炭の農地施用実証試験を、りそなグループである埼玉県入間地区の契約農家「首都圏アグリファーム」にて本格的に開始しました。本取組みでは、茶系飲料生産時に排出される茶殻を堆肥・肥料として活用することで化学肥料の削減を目指すとともに、地域の未利用バイオマスから生成したバイオ炭を農地に施用することで、GHG排出量の削減とカーボンクレジット化を推進します。
また、首都圏アグリファームが所有する伊藤園専用の「荒茶工場(※1)」は、国内で最もCO2排出量の少ない荒茶工場の一つで、一般的な荒茶工場と比べて生産量当たりのCO2排出量を57%削減しています(※2)。上述の取組みを統合することで、首都圏アグリファームは「茶殻肥料活用による化学肥料削減」、「バイオ炭によるカーボンオフセット」、「環境配慮型工場によるGHG削減」の3つを兼ね備えた、国内でも極めて先進的な事例となります。
当社は今後、本取組みを通じて「みどりの食料システム戦略」の推進に貢献するとともに、協業する各社ともに本業を通じた環境保全・社会貢献活動の輪をより一層広げてまいります。
〇「茶殻」を活用した埼玉・群馬エリアでの地域循環型農業を推進
本取組みでは、ジェーシーボトリング株式会社(代表:中津隆一、本社:東京都中央区)の渋川工場から排出される茶殻を、茂木牧場(群馬県前橋市)にて堆肥化し、この堆肥を朝日アグリア株式会社(代表:中村紀之、本社:東京都豊島区)にて肥料へと加工します。完成した茶殻肥料は、当社の契約茶園である首都圏アグリファームの茶畑で活用し、化学肥料の削減を目指します。茶殻の排出元と活用先が近隣であるため、輸送にかかる環境負荷も低減できる効率的な地域循環モデルです。なお、朝日アグリアは国内有機肥料メーカーの先駆け的存在であり、国内資源循環や堆肥活用をテーマに各種取組みを行っています。生産者が使いやすい粒状肥料化のスペシャリストであり高品質な肥料が作製可能となりました。
- ジェーシーボトリング渋川工場から排出される茶殻を、茂木牧場で堆肥化
- 朝日アグリア株式会社で肥料へ加工
- 完成した茶殻肥料を首都圏アグリファームの茶畑で活用し、化学肥料の削減を目指す
〇バイオ炭の農地施用実証試験とカーボンクレジット化
バイオ炭の農地施用は、農林水産省が策定した「みどりの食料システム戦略」において、地球温暖化対策の手法の一つとして位置付けられており、農地への投入技術の開発・普及が推進されています。本取組みでは、いるま野農業協同組合(代表理事組合長:亀田康好 以下JAいるま野)、株式会社フェイガー(代表:石崎貴紘、本社:東京都千代田区)、首都圏アグリファームの三者が、埼玉県入間市の茶畑でバイオ炭の散布実証試験について連携していきます。実証試験を通じて得られた炭素の固定化効果は、カーボンクレジット化までを一貫して進めます。
- 地域の未利用バイオマスを活用し、農林水産省「みどりの食料システム戦略」に沿った地球温暖化対策としてGHG削減効果が期待されるバイオ炭の農地施用を実証
- JAいるま野が所有するバイオマスを有効活用
- 実証試験で得られた炭素貯留効果はフェイガーによりカーボンクレジット化・収益還元を一貫して進める
ご参考:みどりの食料システム戦略について
近年、気候変動や生物多様性の損失、SDGsなど環境への意識の高まりを背景に、社会全体の持続可能性が求められています。こうした中、農林水産省は、食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現する「みどりの食料システム戦略」を推進し、温室効果ガス(GHG)排出や化学肥料使用量の低減など、環境負荷の低減策を掲げています。
ご参考:伊藤園が取組む茶殻を使用した減農薬・有機栽培に向けた技術開発について
伊藤園では、海外市場での需要拡大を見込み、減農薬や有機栽培の技術開発に取組んでいます。飲料製品の製造過程で委託先工場から排出された茶殻を堆肥化・肥料化し、契約産地で使用することで循環型農業を推進するほか、農薬を使わず蒸気で防除や除草ができる蒸気防除機の開発も進めており、持続可能な環境配慮型の茶農業の推進と日本茶の海外輸出拡大に貢献します。
詳細はこちら 茶畑から茶殻まで持続可能なビジネスモデルについて
https://www.itoen.co.jp/ochagara_recycle/about/sdgs.html
(※1)茶畑で摘んだ生葉を新鮮なうちに「蒸す・揉む・乾燥させる」という一次加工を施す工場
(※2)一般的な荒茶工場と比べて生産量当たりのCO2排出量が57%削減(㈱寺田製作所調べ)
