成城大学 文芸学部英文学科 英語学習者の「予測力」の仕組みを解明 ―動詞の意味・談話構造・照応処理の統合理論―

成城大学

 成城大学(東京都世田谷区 学長:杉本 義行)文芸学部英文学科の細田雅也准教授は、英語学習者が英文を理解する際、動詞の意味を手がかりに、「次に続く内容をどのように予測しているのか」を実験的に明らかにしました。  研究成果は、第二言語習得研究分野の国際学術誌「Second Language Research」(SJR Q1、採択率10.3%) に掲載されました。  Hosoda, M. (2026). Mechanism of implicit causality in L2 comprehension: Testing the empty-slot theory through coreference and coherence biases. Second Language Research. Online First. https://doi.org/10.1177/02676583261438627 【本研究の背景】  人は文章を読むとき、目の前の単語を理解するだけでなく、「次に何が書かれるか」を予測しています。"Mary annoyed Bob."(メアリーはボブをいらだたせた) という文を読むと、多くの人は、この出来事の説明が続くことを期待します。例えば、"Because Mary spoke loudly." (メアリーが大きな声で話していたからだ。) といった説明です。また、この続きが「誰についての説明か」という予測も、動詞の意味に基づいて形成されます (この場合、ボブではなくメアリーに関する説明)。このように、動詞の意味によって文章の続きや人物を予測する傾向は、「潜在的因果性バイアス (implicit causality bias)」と呼ばれています。  これまで母語話者においては、この現象が広く研究されてきました。しかし、第二言語や外国語として英語を学ぶ学習者が、同様の意味的手がかりをどの程度利用しているのか、またその仕組みは十分に明らかにされていませんでした。 【本研究の概要】  本研究では、日本人英語学習者45名と、英語母語話者57名を対象に実験を実施しました。実験では、潜在的因果性バイアスを持つ動詞を含む英文を提示し、「説明が続くか(説明予測)」および「どの人物が言及されるか(人物予測)」という2つの予測について検証しました。実験協力者は、提示された英文の続きを自由に書く課題に取り組み、動詞の潜在的因果性バイアスがどのような談話展開や人物の予測を導くかが分析されました。  その結果、英語学習者も母語話者と同様に、潜在的因果性バイアスによる予測を行う傾向が見られました。一方で、動詞の意味に対する知識が十分に深くない場合には、まず「説明が続くか」という説明予測が不安定になり、その結果、「誰について述べられるか」という人物予測も起こりにくくなることが明らかになりました。 【本研究の意義】  本研究は、語の意味性質・談話構造・照応処理を統合する理論的枠組みを第二言語研究へ拡張すると同時に、英語学習者による「予測しながら英文を理解する力」の仕組みを実証的に解明する成果です。さらに、英語教育の観点からは、英語学習者が予測の手がかりを十分に活用できない状況を明らかにすることで、語彙の導入やリーディング、リスニング指導への示唆を与えます。 【今後の展望】  今後は、動詞の潜在的因果性バイアスを「確率モデル」として捉え直すことで、言語理解における予測処理の仕組みを、より精密に説明する理論の確立を目指します。 研究者・細田 雅也 (ほそだ まさや) プロフィール:  成城大学文芸学部英文学科 准教授。専門は応用言語学・英語教育学。英語学習者による文処理や文理解を中心に研究を行っている。2025年に『英文読解を科学する―テキスト理解の認知メカニズムに基づく読解指導 (大修館書店)』を出版。 ▼本件に関する問い合わせ先 成城学園企画広報部 企画広報課 住所:東京都世田谷区成城6-1-20 TEL:03-3482-1092 メール:kikaku@seijo.jp 【リリース発信元】 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/

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