西友、日本初の養殖漁業改善プロジェクト「宮城女川銀鮭AIP」への支援実施を決定
株式会社マルキン、一般社団法人フィッシャーマン・ジャパン、国際環境非営利機関オーシャン・アウトカムズが立ち上げた日本初の養殖漁業改善プロジェクト『宮城女川銀鮭AIP』に、株式会社シーフードレガシーの紹介を得て、合同会社西友の参画が決定しました。助成金の拠出、そして同プロジェクトにより生産される銀鮭を西友店舗にて販売いたします。
養殖漁業改善プロジェクト(AIP/Aquaculture Improvement Project)とは、生産者、流通企業、NGOなど利害関係者が協力し、持続可能な養殖漁業を目指す取り組みです。生産者である株式会社マルキンは、オーシャン・アウトカムズやフィッシャーマン・ジャパンのアドバイスを受けながら、第三者審査機関の審査で特定された銀鮭養殖における課題を解決するための計画を作成し公表、改善内容の実施と定期的なモニタリングを通じて計画の見直しと調整を実行します。西友はその必要経費を助成し、さらに旬の時期には店舗にてAIPの対象となる宮城女川銀鮭を販売いたします。
太平洋クロマグロなどの代表種だけでなく、サンマやサバ、イワシ、スケトウダラなど日本の食卓に馴染み深い魚も不漁が続き、資源量の減少が重大な問題となっています。さらに東京オリンピック・パラリンピック競技大会の2020年開催を控え、日本の水産物のサステナビリティへの関心が国内外で高まっており、生産者の努力に対して支援・評価を行う漁業改善プロジェクト(FIP)及び養殖漁業改善プロジェクト(AIP)の国内展開に、期待と注目が集まっています。
女川町で30年以上銀鮭養殖業を営むマルキンは、東日本大震災により養殖施設に大打撃を受けましたが、その後、創造的な地域経済の復興と持続可能な養殖業を視野に、世界に誇れる持続可能な銀鮭養殖業を目指し、本養殖漁業改善プロジェクト(AIP)を開始しました。
今回のプロジェクトに際しての各社コメントは以下の通りです。
和間久美恵(合同会社西友/企業コミュニケーション部 バイス・プレジデント)
「西友の親会社であるウォルマートは、人や地球に優しい環境を整えるため、様々な取り組みを全世界で積極的に展開しており、『持続可能な漁業』もその注力分野の一つです。西友では、日本の漁業や養殖資源の状況改善の一助となるよう、今回の養殖漁業改善プロジェクトを通じて、パートナー企業やNPO、漁業者の方々と協働し、助成金の拠出に加えて、小売業としての特徴を生かし販売面に関しても支援していきます 」
花岡和佳男(株式会社シーフードレガシー/代表取締役社長)
「NGOや専門組織と連携体制を構築し、助成を通じて生産者の現場での活動を支援するだけでなく、商品を積極的に調達・販売することで消費者がその輪の中に入る機会を創出する西友の取り組みは、マーケット・イニシアチブの理想形であり、SDGs達成を目指した東京オリンピックレガシー構築の具体的一歩。これを機に日本と世界の水産経済・社会・環境のサステナビリティを追求する動きがますます活性化されていくことを願っています」
鈴木真悟(株式会社マルキン常務/一般社団法人フィッシャーマン・ジャパン理事)
「弊社では30年以上前から銀鮭の養殖を続けてきました。天然資源の減少、後継者の不足など日本の漁業は様々な課題がある中、この産業を後世に残していくためには、生産者自身が率先して自然環境に配慮した責任ある漁業に取り組むことが必要不可欠と考えています。生産者だけでなく、加工・流通・小売と、消費者の方々に届くまでには、あらゆるステークホルダーの協力が必要となるため、今回このようなご協力いただけることは我々生産者にとっても生産現場の課題解決に専念することができ、大変ありがたく思っております。 銀鮭養殖発祥の地である宮城県から、国内のみならず世界に向けて発信していきたいと考えています」
村上春二(オーシャン・アウトカムズ/日本プログラムディレクター)
「世界における養殖漁業の著しい成長が見受けられる今日、環境に優しい責任ある養殖漁業を目指し活動する本プロジェクトは、今後の養殖漁業のあり方などに寄与する大変有意義な活動だと考えます。同時に本プロジェクトを通じて東日本大震災によって多大な被害を被った女川町の未来のために、西友、地域生産者、そしてNGOなどが連携することは、世界に自信を持って発信できるプロジェクトに欠かすことのできない協力体制であり、市場からの支援も、特に生産者や地域にとって大変意味のある取り組みだと考えます」
■参画企業概要
合同会社西友
http://www.seiyu.co.jp/
親会社であるウォルマートが掲げる「Global Responsibility」というグローバルな取り組みのもと、社会課題や環境問題の解決に向けて、「機会創出(Opportunity)」「環境(Sustainability)」「地域社会(Community)」の3つを注力分野と定め、お客様やお取引先様、NGOや自治体の皆様と協力して、多面的にサステナビリティ・社会貢献活動を推進しています。「環境(Sustainability)」に関しては、「人々の暮らしと環境を持続させる商品を販売すること」を最終目標の一つとしており、『宮城女川銀鮭AIP』への支援の他にも、「持続可能なパーム油のための円卓会議(RSPO)」に加入し、「みなさまのお墨付き」をはじめとするプライベートブランド商品に使用するパーム油を100%持続可能なものに切り替えるなど、各活動を推進しています。
株式会社シーフードレガシー
http://seafoodlegacy.com/ja/
海と人をつなぐ象徴である水産物(シーフード)を、豊かな状態で未来世代に継いでいきたい(レガシー)という想いのもと、社会・経済・環境におけるサステナビリティの実現のため、国内外の水産関連企業やNGOをサポートし、両者を戦略的にネットワークし、日本のビジネスに適した解決策を形にする、コンサルティング/プラットフォーム組織。10月27日には日経エコロジーと共に日本最大級のサステナブル・シーフード・イベント「東京サステナブル・シーフード・シンポジウム:魚から考える日本の挑戦2017」を開催する。http://ac.nikkeibp.co.jp/eco/1710seafood/
株式会社マルキン
http://www.kaki-marukin.com/
宮城県女川町にある銀鮭・カキ・ホタテなど地元養殖海産物を中心に扱う水産加工会社です。 現代表取締役鈴木欣一郎が1977 年に銀鮭養殖の事業化に初めて成功したのを起源に、当時より生産から加工まで一貫体制をとり、6次産業化を確立、2007年に法人化しました。2011年3月に発生した東日本大震災で加工場・養殖施設・船舶すべて流失しましたが、翌年には1工場と養殖施設を復旧し、再開。自社銀鮭「銀王」のブランド化を進め、創業当初からの「生産者の顔の見える流通」を具現化し、その取り組みは復興庁の被災企業による復興事業事例集でも紹介されています。日本の漁業をとりまく資源管理問題や漁業者の減少・高齢化といった環境の中で、持続可能性のある産業とすべく国際水準での改善に取り組んでいます。
フィッシャーマン・ジャパン
http://fishermanjapan.com/
宮城県内の漁師・水産加工会社が中心となり結成した漁業団体です。 漁業を、「カッコよくて、稼げて、革新的」の「新3K」に変え、次世代へと続く未来の水産業の形を提案する、若手漁師集団です。2024年までに三陸に多様な能力をもつ新しい職種「FISHERMAN」を1, 000人増やすというビジョンを掲げ、新しい働き方の提案や業種を超えた関わりによって水産業に変革を起こすことを目指しています。
オーシャン・アウトカムズ
http://www.oceanoutcomes.org/jp/
地域コミュニティや漁業者、そして水産関連企業と協働し、次世代につながる豊富な水産資源と地域社会の繁栄を目標に活動します。漁業者が直面する課題やニーズを深く理解し、組織内の専門性の高い科学チームやその他利害関係者と連携し持続可能な漁業に一歩ずつ近づけるよう科学的な道筋を漁業関係者に提供し、各漁業が持続可能で環境に優しい漁業に近づけるようサポートします。そして地域経済性の向上も視野に流通や市場と連携体制を構築支援し、有益で地域に根付く解決策に尽力しています。