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医師主導治験「感染初期のCOVID-19患者に対するEFEの有効性及び安全性を検討する探索的試験」は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業(研究開発課題名「感染初期のCOVID-19患者の重症化を防止する新規生薬エキス製剤の開発」)として、研究開発代表者及び治験調整医師である小田口 浩(北里大学東洋医学総合研究所所長)の主導のもとで実施します。
本研究事業は、北里大学、国立医薬品食品衛生研究所、及び株式会社ツムラの共同研究です。また、開発業務受託機関 (CRO)としてシミック株式会社、治験施設支援機関 (SMO)としてシミックスヘルスケア・インスティテュート株式会社が、治験業務をサポートします。
本治験は、EFEのCOVID-19患者に対する安全性を検証するために入院管理下で実施するPart1と、有効性及び安全性を検証するために、主に自宅療養者を対象として実施するPart2の2部構成となっています。まず6月から、Part1を開始します。治験実施機関は、国立国際医療研究センター病院(治験責任医師 大曲 貴夫)、藤田医科大学病院(治験責任医師 土井洋平)、及び北里大学病院(治験責任医師 山岡 邦宏)です。
■背景
日本ではウイルス性感染症の初期の治療に麻黄配合漢方薬(麻黄湯、葛根湯、麻杏甘石湯など)が用いられ、これらの漢方薬の主薬である麻黄は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)と同じRNAウイルスであるインフルエンザウイルスやRespiratory Syncytial(RS)ウイルスの感染阻害作用を有することが報告されています(Mantani N, et al., Antiviral Res, 44, 193-200, 1999, and Hou, S., etal., J. Biosci., 2020, 45:46)。一方、麻黄に含まれるエフェドリンアルカロイドは副作用(興奮、動悸、血圧上昇、排尿困難、不眠等)を惹起することから、循環器系障害、高血圧症、及び腎障害のある患者や、体力の衰えている者、高齢者に対して使用上注意を要します。そこで、麻黄から副作用成分を除去した新規生薬エキス製剤であるEFE(Ephedrine alkaloids-free Ephedra Herb extract)を開発し(特許第6781881号)、麻黄と同程度の抗インフルエンザウイルス作用(Hyuga, S., et al., J. Nat. Med., 70, 571-583, 2016)や抗RSウイルス作用を有することを確認しました。さらに、EFEの健康成人に対する安全性も確認しました(Odaguchi, H., et al., eCAM, vol. 2018, Article ID 4625358, 2018)。
最近、EFEがSARS-CoV-2のVero細胞への感染を阻害することがわかり、SARS-CoV-2が宿主細胞へ侵入する経路を阻害する可能性が高いことが示唆され、EFEは感染初期のCOVID-19患者の治療に有効であることが予測されました。感染初期患者の重症化を阻止することは医療崩壊を防ぐ重要な鍵ですが、これらの患者のための安全で有効な治療薬はまだありません。さらにCOVID-19では、高齢者、及び高血圧や循環器系障害のある者は、重症化や死亡リスクが高いことが知られていますが、これらのハイリスク患者に対して、EFEは非常に有用であると考えられました。本研究事業では、EFEを感染初期のCOVID-19患者の治療薬として早期に医薬品化することを目指しています。
なお本治験は、以下の2つの理由から非常に重要で挑戦的な治験として注目されます。
(1)日本ではこれまでに、新規天然物エキス医薬品が開発されたことはありません。本研究事業は日本で初めての、医療用の新有効成分の承認申請を見据えた植物薬(天然物エキス医薬品)についての治験であり、その成果は今後の天然物エキス医薬品の開発の指針になると期待されます。
(2)本治験のPart2では、分散化臨床試験(Decentralized Clinical Trial:DCT)を取り入れた治験を行います。DCTとは、医療機関への来院に依存しない臨床試験のことで、リモート試験とも呼ばれています。Part2は、主に自宅療養中のCOVID-19患者を対象としているため、SARS-CoV-2陽性期間中は治験実施機関を受診せず、オンライン診療や治験実施機関の看護師の訪問による採血・採尿により検査を実施いたします。また被験者の安全性を担保するため、下着型ウエアラブルデバイスで被験者の心拍数や行動量を24時間モニタリングし、異常があれば、受診して頂きます。受診の際は、被験者移動サポートとして専用のタクシーで被験者を送迎します。このDCTのプロトコールは、シミック株式会社とシミックスヘルスケア・インスティテュート株式会社の協力のもと、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)の助言を得て確立しました。被験者の安全性を確保しつつ、SARS-CoV-2の感染リスクを低減させるために、DCTは非常に有用な方法であると言えます。DCTは、海外での実施は進んでいますが、日本ではほとんど実施されておりません。本治験は、日本での本格的なDCTの先駆けとして注目されます。
治験計画の情報は厚生労働省 臨床研究実施計画・研究概要公開システム(jRCT:
https://jrct.niph.go.jp/latest-detail/jRCT2031210063 )で公開されています。
▼問い合わせ先
≪研究に関すること≫
北里大学 東洋医学総合研究所
所長 小田口 浩
〒108-8641 東京都港区白金5-9-1
北里大学 東洋医学総合研究所
臨床研究部 部長補佐 日向 須美子
〒108-8641 東京都港区白金5-9-1
TEL:03-5791-6171
E-mail:hyuga-s@insti.kitasato-u.ac.jp
国立医薬品食品衛生研究所
所長 合田 幸広
〒210-9501 川崎市川崎区殿町3-25-26
連絡先:所長秘書 若林 由紀子
TEL:044-270-6601
E-mail:ywakabayashi@nihs.go.jp
≪報道に関すること≫
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【リリース発信元】 大学プレスセンター
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