Z世代に拡がる「音声メディア」、音楽配信は6割が利用 ~耳をマルチタスクに使い分け、テキストより通話、女性は“人の声”で寂しさ解消~
この研究から、Z世代は他世代に比べ「音楽」への接触機会が多く、「音楽配信サービス」の利用率が高いことがわかりました。また、デジタル配信ラジオやポッドキャストなどの音声サービスも3割近くが利用。“耳”を有効活用して他メディアとうまく使い分けたり、特に女性では、コロナ禍で気軽に人に会うことができなくなったこともあり、音声メディアや音声でのコミュニケーションによって寂しさを紛らわせたり、ストレスを発散したり、勇気づけられている様子が多くみられました。
本研究では、当社の「ACR/ex」データによって若年層における音声メディアの浸透状況を把握し、くわえてWEB調査とインタビュー調査を組み合わせ、音声メディアユーザーの意識・実態を深堀しました。
音声メディアにフォーカスした分析を行うため、音楽や音声コンテンツを意識的に接触し始めたであろう“多感な年代”において、中心的に利用していたと考えられる音楽デバイスによって、世代を分類しています。本稿における「Z世代」は、サブスクリプションの音楽配信サービスが登場した頃、音楽や音声コンテンツに意識的に接触し始めた世代=2020年時点で15~23歳を指しています。(本研究の生活者分類の定義は下記をご参照ください)
なお、本研究結果は6月29日(火)に開催するスポティファイジャパン主催のビジネスオーディエンス向けウェビナー「loveAudio June 2021」でも発表いたします。詳細は下記をご参照ください。
<主なポイント>
- Z世代は「音楽」への接触機会が多い。「定期的に音楽を聴く」7割、「音楽配信サービス利用」6割。
- Z世代の“耳”はマルチタスク。半数以上が、音の出るメディアを2つ同時に利用する『W音声』を体験。
- Z世代の半数が「テキストチャットやメールより通話の方が楽」。
- 特に女性は“人の話し声”(ラジオ・ポッドキャスト等)で寂しさを紛らわす、音楽を流しながら通話して会話のネタとしてシェアするなど、コロナ禍による対面コミュニケーションへの飢餓感も音声メディアの需要を後押し。
■Z世代は「音楽」への接触機会が多い。
「定期的に音楽を聴く」7割、「音楽配信サービス利用」6割。
<図1>「音楽」「音声サービス」の接触状況
<図2>音楽配信・デジタル配信ラジオプラットフォーム利用状況
Z世代は、「定期的に音楽を聴く」が7割、「音楽配信サービス利用」は6割と、音楽に触れる機会が他世代より多いことがわかりました。サブスクリプション、無料、問わず音楽配信プラットフォームの利用率は年々増加。特に2019年から20年にかけては2割強から4割強と伸長しました(図2)。
また、デジタル配信ラジオやポッドキャスト、音声アシスタントサービスなど「音声サービス」のZ世代の利用率は約3割(図1)。ラジオユーザーの多い他世代には及ばないものの、Z世代のラジオのデジタル配信聴取も伸びています(図2)。
音声メディアがよりシームレスに使いやすくなってきていることに加え、コロナ禍で在宅時間が増えたことも、Z世代の接触チャンス創出につながったと考えられます。
■Z世代の“耳”はマルチタスク。半数以上が、音の出るメディアを2つ同時に利用する『W音声』を体験。
<図3>『W音声』の種類別経験率
他世代でも音楽はBGMとして流しながら、他の音声サービスの利用や生活行動をするということはありますが、Z世代に特徴的だったのは、音楽を共有しながらの通話、音声をダブルで流す場合も、その時々でより聞きたい方に耳を傾けるといった、音声ならではの特性やニーズに合わせて上手に使い分ける、耳をマルチタスクに使いこなす様子が多くみられたことでした。今までにはない新しい音声メディアの楽しみ方が生まれてきているようです。
■Z世代の半数が「チャットやメールより通話の方が楽」。
特に、女性は「“読む”より“聞く”ほうが頭に入る」「“人の話し声”で寂しさを紛らわす」など音声の受容性が高い。
<図4> 音声情報・コミュニケーションに関する意識
Z世代は、「通話の方が文字での会話より楽」という回答が男女とも約半数です。また、女性Z世代の45%が「読む」より「聞く」ほうが頭に入りやすいと答え、他世代より10pt以上高くなっていました。テレビの操作やタブレット、スマホなどの音声入力機能の進化とともに育ち、キーボードよりも先に音声入力を覚えた人も少なくないため、音声でのコミュニケーションや情報収集に親和性が高く、好意的な世代であることがうかがえます。
また、インタビュー調査を通じて、気軽に人と会えないコロナ禍で、音声メディアによって気が紛れたり勇気づけられたりした、というZ世代の声も多く聞かれました。特に女性にその傾向が強く、「(深夜ラジオを聴いていると)世の中はまだ人が動いているんだ、と寂しさを紛らわすことができた(20歳大学生)」「雑談配信を聴くと寂しさがやわらいだりするし、暇な時間が暇じゃなくなる(19歳大学生)」など、ラジオコンテンツやポッドキャスト、音声SNSに対する受容性がみられました。
Z世代にみられる特徴的な傾向の分析や、今後も彼ら彼女らに音声メディアは受け入れられていくのか、などの考察はスポティファイジャパン主催のビジネスオーディエンス向けウェビナー「loveAudio June 2021」でも紹介する予定です。
【「loveAudio June 2021 ~音声広告の今~」開催概要】
loveAudioは、Spotifyがグローバルで展開している「音声」をテーマにしたビジネスオーディエンス向けのイベントです。
第4回目となる今回は「音声広告の今」と題して、ローンチから5年を迎えるSpotifyが、デジタル音声広告プラットフォームとして事例やインサイトデータをもとに、ブランドの最適な音声コミュニケーションについてご紹介します。
日 時 : 2021年6月29日(火) 15:00~17:00 Zoomウェビナーにて開催
定 員 : 1000名
参 加 費 : 無料
お申込URL:https://loveaudio-japan-6-2021.splashthat.com/
【本研究の生活者分類の定義】
音楽や音声に意識的に接触し始めた“多感な年代”は、主に以下のデバイスが登場した際の年齢上限18歳までと捉え、分類しています。
【本研究の調査概要】
●ACR/ex調査概要 (ビデオリサーチによる調査)
調査手法 訪問による調査協力依頼、回答専用タブレットを用いた電子調査票による調査
対象者抽出方法 ARS(エリア・ランダム・サンプリング) ※調査対象者の無作為抽出
調査地区 全国7地区(東京50Km圏、関西地区、名古屋地区、北部九州地区、札幌地区、仙台地区、広島地区)
調査対象者 12~69歳男女(※本研究では対象を15~69歳に絞って分析)
サンプル数 計11,328サンプル(※本研究では対象を15~69歳の10,906サンプルに絞って分析)
調査期間 2020年4-6月
●「音声メディア」に関するWEB調査概要 (ビデオリサーチ&スポティファイジャパンによる調査)
調査対象者 全国の15~49歳男女(構成比はデジタル音声メディアユーザー6割:非ユーザー4割)
サンプル数 743サンプル
調査期間 2021年3月
●「音声メディア」に関するオンラインデプスインタビュー
(ビデオリサーチ&スポティファイジャパンによる調査)
調査手法 1on1のオンラインインタビュー
調査対象者 デジタル音声メディアのヘビーユーザー(1日1時間以上の音声コンテンツ、または2時間以上の音楽PFユーザー)の全国の18~34歳男女
サンプル数 10サンプル
調査期間 2021年4月
株式会社ビデオリサーチについて
株式会社ビデオリサーチは、日本国内で唯一テレビ視聴率データを提供する調査機関として1962年に設立されました。以来、日本国内におけるテレビ視聴率調査やラジオ聴取率調査をはじめとする各種メディアデータやマーケティングデータなど最先端のデータを提供し、企業のマーケティング課題に対するトータルサポートを行っています。
スポティファイジャパン株式会社について
Spotifyは2008年のサービス開始以来、音楽の聴き方を進化させてきました。 Spotifyでは7,000万曲以上の音楽や260万番組以上のポッドキャストを無料でも発見・管理・共有いただけますが、有料のプレミアムプランである「Spotify Premium」にアップグレードいただくと、広告が入らず、より良い音質で、ダウンロードすればオフラインでもお楽しみいただけます。
Spotifyは世界で最も人気のあるオーディオ ストリーミングサービスであり、世界178の国と地域で1億5,800万人以上のSpotify Premium会員を含む 3億5,600万人以上のユーザーが利用しています。
【本件に関するお問い合わせ】
■ACR/exおよびWEB調査、デプスインタビューの調査企画・概要に関するお問い合わせ
株式会社ビデオリサーチ コーポレートコミュニケーション部 info@videor.co.jp
■本研究における分析データ詳細および「loveAudio June 2021」開催に関するお問い合わせ
スポティファイジャパン株式会社 広報部門 spotifyadvertising-jp@spotify.com