京都府福知山市にある「まころパン」は店舗を持たないパン工房。旬の野菜をたっぷり使った「野菜のせパン」が評判を呼んでいます。自然栽培で野菜を育てるのは岩切啓太郎さんで、パンを焼くのは妻の康子さん。イベント出店のときにしか販売されない「野菜のせパン」は売り切れ必至の人気商品です。
その美味しさの秘密はとれたての野菜。地元の福知山で啓太郎さんが営む農園「８６ファーム」は、自然に近い環境で肥料を一切使用しない自然栽培のため、野菜本来の力強い味を引き出します。年間およそ１５０種類の野菜を栽培。カラフルな野菜が多いのも特徴です。

  　パン工房では、京都府産の京小麦と厳選した素材を使い、「野菜のせパン」をはじめ、看板商品の「塩バターパン」や子どもたちに人気の「動物パン」など、様々な“農家パン”を康子さんが焼きあげます。
　学生時代から食の世界を目指していた康子さんは、管理栄養士や調理師の資格を取得。飲食店などで経験を積むなかで、パンづくりの魅力にハマり、自分で焼いたパンを販売するようになりました。片や、福知山市で生まれ育った啓太郎さんは農業大学に進学。プロゴルファーを目指した時期もありましたが、その後、有機農業の仕事に従事。そんな２人が世界一周の船旅で出会い、２０１８年に結婚。翌年には啓太郎さんの故郷で畑を耕し、野菜づくりをスタートします。
  耕作放棄地が増加する現状を目の当たりにし、啓太郎さんは福知山の農業を守りたいと、農園「８６ファーム」を起ち上げたのです。２０１９年には康子さんが「まころパン」をオープン。啓太郎さんは農作業、康子さんはパンづくりを中心に１日を過ごすようになりました。

　 福知山の農業を守りたいと、様々な活動に乗り出す岩切さん夫妻。農業体験の企画のため、プロモーションビデオの撮影に臨みます。「８６ファーム」で小麦の収穫時期を迎えた６月、子どもたちが小麦と野菜を収穫し、野菜パンづくりを体験しました。今後は様々な農業体験を企画し、多くの人に農業に興味をもってもらい、未来を担う農業者を増やしたいと意気込みます。


　思いを同じくするのが福知山や綾部の農業女子グループ「ゆらジェンヌ」。康子さんもメンバーのひとりで、新たなマルシェイベントを計画。そこで、「ゆらジェンヌ」とコラボした新商品開発に挑みます。どんな農家パンが誕生するのでしょうか？　岩切さん夫妻の奮闘に密着します！