今年3月に兵庫県加古川市に登場したコッペパンサンド専門のキッチンカー「母とむすめ」がいま大きな話題を呼んでいます。自家製コッペパンサンドを販売するのは、その名のとおり、母の山本千代香さんと3人の娘たち。週末だけの営業ながら、キッチンカーの前には長蛇の列ができ、わずか40分ほどで完売することもある人気ぶりです。
評判のコッペパンサンドのパンは、地元のパン屋さん特製の「母とむすめ」オリジナル。超ふわふわなコッペパンに肉や野菜、卵など地元で仕入れた食材を挟む具だくさんのサンドウィッチです。なかでも、味付けソースは「よそでは絶対にこの味は出せない」というお母さん自慢の味。看護師になるために勉強する大学生の次女や栄養士の勉強をする三女のアイデアを取り入れ、バリエーションも豊富です。サンドウィッチ300本、揚げパン100本がまたたく間に売れてしまう理由は美味しさもさることながら、長女の濱尻世莉果さんが駆使するSNSの効果もありました。
コッペパンサンドが生まれたのは山々に囲まれた自然豊かな加古川市志方町。この町は靴下の産地であり、山本さんも平日は靴下工場で仕事をしています。そもそも、こちらが本職で、創業60年の靴下工場に嫁ぎ、働いてきた山本さん。しかし、コロナ禍で仕事が激減。倒産を免れるために大きな借金をしたものの、先は見えません。悩んでいた山本さんに長女の世莉果さんが「お母さんの得意なコッペパンサンドを販売したら?」と提案。娘に背中を押されて料理上手な山本さんは心を決め、露天営業の許可を取得して、キッチンカーで街へ出て行ったのです。
地元のフレッシュな食材をふんだんに使う自家製コッペパンサンドは飛ぶように売れ、あっという間に売り切れになることも少なくありません。そこで、山本一家は店舗を構えることを決意します。志方町にある廃店舗のセルフリノベーションを進めながら、開店記念の新作コッペパンサンド作りに大忙し。新店舗のオープンに奮闘する山本さん一家に密着します!