尼崎の鉄工所「ヒロセエンジニアリング」から誕生した鉄雑貨のブランド「HIBANAS(ヒバナス)」は、鉄の端材から生み出すアウトドアグッズが人気のブランド。鉄工所を継いだ2代目夫婦の中塩屋祥子さんと社長の宜弘さんが手がけています。
2018年に誕生した「HIBANAS」は、鉄の端材を利用し、テントを固定する金具のペグや一般的な鉄板の2倍もの厚みがある調理用鉄板、イスとテーブル、BBQコンロや焚火台など、アウトドア用のオシャレでかわいい鉄製品を次々と生み出しています。なかでも、ユーモラスなデザインのペグや、厚みがあることで美味しく焼ける調理用鉄板は人気商品。これらすべてに職人の技術が活かされているのです。
町工場が建ち並ぶ工場地帯の一角にある「ヒロセエンジニアリング」は、1970年から工業用品を造り続けている鉄工所。おもに船舶のタンクや生コンクリート工場の設備設計などを手がけてきました。現在、社長を務める2代目の宜弘さんと奥さんの祥子さんに、熟練職人の社員が7人。鉄雑貨のブランド「HIBANAS」は祥子さんが立ち上げました。祥子さんがデザインし、宜弘さんや職人さんが加工を担当。では、なぜ、工業用品を造る町工場が一般家庭向けグッズを作り始めたのでしょうか?
ブランド誕生のきっかけは2017年にプラズマ加工機を導入したこと。それまでは材料業者に必要な鉄板を切断して納品してもらい、自社で製造していました。しかし、発注から納品までに時間がかかるため、自社で鉄板を裁断し、加工のできるプラズマ加工機を導入。これにより、取引先への納期短縮をはじめ、取引先を増やすことにもつながりました。自社で鉄材を加工することで端材が生まれるようになり、祥子さんがオリジナルグッズ製作を思いついたのです。オリジナル雑貨作りのほか、今ではオーダーも舞い込むようになり、会社の雰囲気も変化。社内が明るくなりました。
大阪の万博記念公園で、毎年3月に開催される日本最大級の「アウトドアフェス」。中塩屋さん夫婦も出店に向け、新作作りに取りかかります。さらに、祥子さんの中学時代の恩師から、子どもたちの体験学習のため、野外で楽しめるモノを依頼された祥子さん。夫婦の奮闘に密着します!
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