兵庫県西宮市にある地元で人気のカフェ「W BROTHERS」は、その名のとおり、渡邉浩さんと俊治さん兄弟が営む“麹”にこだわったカフェ。バリエーション豊富なメニューの数々に“麹”が使われており、美味しくてヘルシーだと評判を呼んでいます。
「W BROTHERS」では、料理人の浩さんが料理を作り、弟の俊治さんは麹からオリジナル調味料を醸しています。麹とは、蒸した米や麦、大豆などに麹菌を付着して培養した発酵食品。味噌や醤油、みりんなどの伝統調味料は麹の発酵力によって生み出されており、日本の食文化には欠かせないものなのです。そして、その最大の魅力は、素材を美味しくすること。
なかでも浩さんが魅了されたのは、新潟県魚沼地区にある蔵元「八海山」で作られる生麹。日本酒を作るためのもので、雑味がなく、すっきりとした味で、自然な甘味を感じるとか。浩さんがかつて勤めていた和食バルで出会い、美味しさに衝撃を受けたそう。この運命の出会いが、後にお店を開くきっかけになったのです。
そして、「八海山」の生麹を原料にオリジナル調味料を醸すのが弟の俊治さん。原材料もすべて国産にこだわり、加熱処理は一切せず、丁寧に低温発酵しています。麹を使った調味料は素材も工程もシンプルですが、他の菌が入らないような環境作りから定期的な攪拌作業、温度管理などの細かい作業が必要で、俊治さんによれば、まさに生き物を育てているような感覚なのです。
大阪の寝屋川市に生まれた渡邉さん兄弟。浩さんは高校卒業後に調理師専門学校へ進み、料理人の道へ。日本の発酵文化に興味を持ち、和食バルに勤め、「八海山」の生麹と出会います。一方、俊治さんは大学を卒業後、東京のダイニング&ドリンクバーに就職。兄弟揃って飲食に携わる仕事をしていました。ところが、コロナの影響で和食バルが閉店。どん底の状況のなか、浩さんは麹カフェの立ち上げを決心します。弟の協力を得て、2020年9月、渡邉兄弟は「W BROTHERS」をオープンしたのです。
常々、麹の魅力を伝えたいと考えている2人は、麹カフェ誕生のきっかけともいえる生麹の故郷、新潟県魚沼地区にある「八海山」へ。念願だった蔵元を訪ね、麹について学び、その土地の郷土料理にふれた2人。ヒントを得て、新作メニューに挑む渡邉兄弟に密着します!
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