NExT-e Solutionsとの資本業務提携について
~リユース蓄電池を活用した系統用蓄電池の事業化を目指して~
再生可能エネルギーの導入が加速する中、再エネの不安定性を補完できる蓄電池の重要性が大きくなっています。蓄電池を電力系統に接続すると、系統の電力が余った時には蓄電し、不足した時には放電できるため、電力系統の安定化が可能となります。その中でも、近年、電力の新市場や関連制度の整備が進んでいることから、系統用蓄電池が注目されています。
蓄電池の普及に向けて、電動モビリティの使用済み蓄電池を回収し、リユース蓄電池として活用することで、蓄電池のさらなる低コスト化が期待されています。しかしながら、リユース蓄電池の活用にあたっては、劣化状態が異なることに起因する利用可能量の低下などの技術的課題が存在します。NExT-eSは、本課題を解決する蓄電池の制御技術を保有しているため、リユース蓄電池を最大限活用することを可能とします。
本実証では、自社敷地内(大阪市此花区)にて、EVとフォークリフトから回収したリユース蓄電池と新品の蓄電池を用いて、蓄電池システムを構築します。NExT-eSの制御技術に加え、大阪ガス100%子会社であるKRIの劣化診断技術*2も駆使し、劣化状況が異なる蓄電池を組み合わせて運転した際のリユース蓄電池の有効性を検証します。さらに、当社がこれまで培ってきた電力トレーディング知見を活かして、3つの電力市場(卸電力市場*3・需給調整市場*4・容量市場*5)との取引を想定し、経済性を最大化する運用検証を行います。今後は、本実証で得られた知見を基に、規模を拡大した形での事業化を目指します。
大阪ガスとNExT-eSは、本実証にとどまらず、モビリティ用から定置用蓄電池へ活用する、持続可能なサプライチェーンを構築することにより、再エネの普及拡大と電力系統の安定化に貢献してまいります。
Daigasグループは、今後もお客さま課題を解決するとともに、社会課題である脱炭素社会の実現に取り組んでまいります。
*1:電力系統の電力が余った時には蓄電し、不足した時には放電すること等で系統を安定化することを目的に送電網に直接つなぐ蓄電池
*2:リチウムイオン電池の寿命を表すSOH(State of Health)等を予測する技術
*3:一般社団法人日本卸電力取引所が運営する電力量(kWh)を取引する市場
*4:一般送配電事業者が周波数調整や需給調整を行うための調整力(ΔkW)を、市場を通じて、効率的に調達・運用する市場
*5:将来にわたる日本全体の供給力(kW)を効率的に確保する市場
系統用蓄電池の将来事業スキーム