20年を飾る20台:ロールス・ロイスの進化、2003~2023年
2023年1月26日、グッドウッド、ウエスト・サセックス
- ロールス・ロイスは、グッドウッド・マニュファクチャリング・センターでの生産開始から20周年を迎える
- 絶え間ない発展と進化を物語る、20種類のモデル
- それぞれが2003年以来、ホーム・オブ・ロールス・ロイスで創造され、ハンドメイドで製造されてきた
- 「EX」という1950年代のネーミングを復活させたエクスペリメンタル・モデルも含まれる
- 技術革新と変化するお客様の要求への対応のストーリーを語る
- ロールス・ロイス・スペクターが切り開くオール・エレクトリックの新時代へと向かう
「ロールス・ロイスは、いつの時代も革新と進歩の象徴として存在してきました。創業者であるヘンリー・ロイス卿が求めた完璧さを徹底的に追求し、常に技術的・創造的な境界を押し広げてきました。ホーム・オブ・ロールス・ロイスにおいて、最初の20年間で20種類のモデルを生み出したという素晴らしい記録は、そのたゆまぬ冒険心の賜物といえるでしょう。これらのモデルはどれも、それ自体が素晴らしい功績であり、時とともに変化するお客様のニーズ、好み、要望に対する私たち独自の理解と対応能力を示すものです。」
ロールス・ロイス・モーター・カーズ最高経営責任者 トルステン・ミュラー・エトヴェシュ
ロールス・ロイス・モーター・カーズがグッドウッドで本格的な生産を開始した当初、生産モデルは7代目となる「ファントム」1種類のみでした。2003年1月1日午前0時1分、完成した最初の車が新しいオーナーに引き渡される特別なセレモニーが行われました。
この歴史的な瞬間以来、グッドウッドでは20種類ものモデルやバリエーションが創造され、手作業で製造されてきました。これは毎年1モデルずつに相当します。今日のロールス・ロイスのモデル・ファミリーは、デザイン、テクノロジー、素材、手法における、20年にわたる絶え間ない革新と進歩を反映しています。これは、ロールス・ロイスが常に変化し続けるお客様のニーズ、好み、欲求を満たすことを追求してきた成果です。
ファントムと、その兄弟モデルのファントム・ドロップヘッド・クーペ、ファントム・クーペに続き、より親しみやすいゴーストは、ロールス・ロイスが1904年の創業以来、生産してきた車の中で最も販売台数の多いモデルとなっています。製品ファミリーは、ロールス・ロイスのポートフォリオの中で最もパワフルなモデルであるレイス(2013年)と、最も魅惑的なモデルであるドーン(2016年)を経てさらに成長し、2018年には「SUVのロールス・ロイス」カリナンが加わりました。カリナンは、現在、世界で最も魅力的で人気の高いラグジュアリー製品のひとつと見なされています。
ファントムを除く現行製品群の全モデルに、ブラック・バッジ仕様が用意されています。ロールス・ロイスというブランドをより破壊的、反抗的に表現したいという新しいタイプのお客様のために創られたこの常設のビスポーク・シリーズは、現在、ロールス・ロイスの総生産量の3分の1以上を占めています。
2003年以降、ホーム・オブ・ロールス・ロイスの設計チームとエンジニアリング・チームは、数々の実験的な車を生み出してきました。伝統に従い、こうしたエクスペリメンタル・モデルには、1950年代までロールス・ロイスの技術者が試験・開発時の機密保持のために使用していた「EX」という名称と、特徴的な赤地に銀色の「RR」バッジが与えられました。これらの車は市販を前提としたものではありませんが、ロールス・ロイスの歴史上、技術的にきわめて重要で商業的にも成功した製品を生み出すプロセスの基礎となってきました。
また、ロールス・ロイスのビスポーク技術の粋を集めたコーチビルドの傑作2台も、20台のリストを飾っています。お客様から個別に制作のご依頼を受け、完全な手作業で作られたこの2台は、ブランド創成期のコーチビルドの伝統を受け継ぐと同時に、デザイン、エンジニアリング、製造、工芸の最新技術を駆使して、真の芸術作品に仕上げられています。
グッドウッドでの最初の20年間は、スペクターの発表で最高潮に達しました。ロールス・ロイス史上初の完全電気自動車であるこの画期的なモデルは、2030年以降、ロールス・ロイスのすべての新型モデルが完全電気自動車となる、新しい技術時代の幕開けを告げるものでもあります。まだ正式な生産が始まっていないスペクターは、厳密には2003年から2023年の間に生産される20車種の中には含まれないため、後掲のリストには登場しません。しかし、スペクターはモデル・ファミリーの発展における次の進化のステップであり、将来的に続くすべての車を支えるテクノロジーとフィロソフィーの基礎となる車でもあります。
ブランドの歴史に刻まれる素晴らしい時代となったこの期間で、数え切れないほどの個性的で複雑かつ美しい車が生み出されてきました。20年間のベストセレクションをまとめ上げることは不可能に近いことですが、ここでは象徴的な例をいくつかご紹介します。
20年を飾る20台
1. ファントム(2003年)
初代「グッドウッド・ファントム」は、現在で自動車史上最も長い歴史を持つネームプレートの7代目モデルでした。テクノロジー、快適性、パフォーマンス、そして特徴的な「マジック・カーペット・ライド」を融合させたこのモデルは、その後のすべてのモデルに新しいスタンダードをもたらしました。
2. 100EX(2004年)
チャールズ・ロールズとヘンリー・ロイスとの初めての出会いから100周年を記念して作られたのが100EXで、これはBMWグループ傘下のロールス・ロイス・モーター・カーズが初めて製作したエクスペリメンタル・モデルでもありました。9リッターV16エンジンを搭載したこのモデルは、生産の予定はありませんでしたが、名高いファントム・ドロップヘッド・クーペの直接的な前身モデルとなりました。
3. ファントム・エクステンデッド(2005年)
2005年3月のジュネーブ・モーターショーで発表されたファントム・エクステンデッドは、「スタンダード」のファントムより250mm長くなりました。これにより、リア・キャビンのレッグルームが拡大され、特にショーファードリブン・カーを好まれるお客様に人気のモデルとなりました。
4. 101EX(2006年)
100EXと同様、この実験的なプロトタイプは、ファントムのアルミニウム製スペースフレームを短くしたものをベースに、カーボンファイバー複合材で作られたボディ・パネルが組み合わされていました。その後、6.75リッターV12エンジンを搭載した ファントム・クーペとして最終的に生産され、不朽の名声を得ることになります。
5. ファントム・ドロップヘッド・クーペ(2007年)
グッドウッドで生産されたモデルの中で最も人気の高いモデルのひとつであるファントム・ドロップヘッド・クーペは、デビューと同時に世界を驚かせました。100EXを踏襲した個性的なスタイリングに加え、キャビンを囲む内装のウッド・パネルが、レーシング・ヨットのデッキに着想を得たチーク材のトノカバーへと流れるように繋がっているのが特徴です。
6. ファントム・クーペ(2008年)
これはピラーレス構造の本格的なハードトップ2ドア・クーペで、このタイプのロールス・ロイスが生産されるのは20年以上ぶりのことでした。ドロップヘッドの兄弟車と同様に、このファントム・クーペにも、エクスペリメンタル・モデル101EXで開発されたデザインの特徴や構造技術が多く取り入れられています。
7. 200EX(2009年)
2009年3月のジュネーブ・モーターショーで発表された200EXは、より親しみやすく、ドライバー志向のロールス・ロイスを求めるお客様の声に応えたエクスペリメンタル・モデルです。
8. ゴースト(2010年)
ロールス・ロイスの新しい世代のお客様のためにデザインされたゴーストは、シンプルで現代的なデザインと、エフォートレスでダイナミックなパフォーマンスですぐに賞賛を浴びました。そして現在に至るまで、ロールス・ロイスの歴史上、最も商業的に成功したモデルとなっています。
9. 102EX(2011年)
ファントム・エクスペリメンタル・エレクトリック(EE)と呼ばれるこのワンオフの電気自動車プロトタイプは、ロールス・ロイスが次世代の自動車に適した技術を探求するきっかけとなりました。世界初のスーパー・ラグジュアリー・バッテリー電気自動車として、この車は世界中を巡り、お客様や愛好家、メディア、一般の方々の反応を測る役目を果たしました。
10. ゴースト・エクステンデッド(2011年)
ショーファードリブン・カーを好まれるお客様の声に応え、ロールス・ロイスはゴーストのエクステンデッド・バージョンを導入しました。ゴーストならではのスポーティな走行特性を維持しながら、後部座席の乗員にさらなるスペースと快適性を提供します。
11. レイス(2013年)
ファストバックのレイスは究極のグラン・ツーリスモとして、ロールス・ロイスの共同創設者、チャールズ・スチュワート・ロールズ卿にインスピレーションを与えた「大胆な開拓者精神、冒険心、スピードへの愛情」を体現しています。
12. ドーン(2016年)
ドーンは、4人乗りスーパー・ラグジュアリー・コンバーチブルの決定版として、大人4人が完全な快適性を享受しながら移動できるように設計されています。ドーンのルーフはデザインと技術の最高傑作です。「サイレント・バレエ」と名付けられたほど静かな動作で、わずか22秒で開閉し、50km/h以下であれば走行中も操作可能です。ルーフを閉じると、ロールス・ロイス・レイス並みの静粛性が実現します。
13. ブラック・バッジ・レイス&ブラック・バッジ・ゴースト(2016年)
ブラック・バッジ・ファミリーは、ロールス・ロイスのアンファン・テリブル(反逆児)を世の中に送り出し、当ブランドの「あるべき姿」に対する認識を覆しました。これらのモデルは、よりパワフルで、よりダイレクトで魅力的なドライビング・エクスペリエンスをご提供するために特別に設計されており、さらに、ビスポーク・パーソナライゼーションの機会をほぼ無限に提供します。ブラック・バッジ仕様のレイスとゴーストには、トルクの増強、独自のエアサスペンション設定とドライブシャフト、インテュイティブ・スロットル・レスポンス、より歯切れが良く迅速な8速オートマチック・トランスミッションが採用されています。その結果、ロールス・ロイスの「マジック・カーペット・ライド」の本質的な要素を損なうことなく、より機敏で スポーティなドライビングを体験できるようになりました。
14. 103EX(2016年)
おそらくグッドウッドで生産された最も過激なエクスペリメンタル・モデルが、ロールス・ロイス・ビジョン・ネクスト100(コードネーム103EX)でしょう。この車は、ラグジュアリー・モビリティの未来についてのロールス・ロイスの妥協のない見解を示すものでした。完全な電気駆動で、完全な自律走行能力と強化された 人工知能を備えたこの車は、電動化とエフォートレスで高度にパーソナライズされた移動の両方の観点から、ロールス・ロイスの将来の方向性を明確に表明していました。
15. 「スウェプテイル」(2017年)
ロールス・ロイスは、「自動車のオートクチュール」と評された壮麗な「スウェプテイル」でコーチビルドの芸術的な技を復活させました。1920〜30年代のコーチビルド・ロールス・ロイスやレーシング・ヨットに着想を得て創られたこの特徴的な 2シーター・クーペは、パノラミック・ガラス・ルーフやコーチドアの後ろに隠されたアタッシュケースを備えています。
16. 8代目ファントム(2017年)
名車やラグジュアリー製品の殿堂において、ファントムほど尊敬を集めているネームプレートはほかにありません。そのため、新しい時代に向けてファントムを大胆に生まれ変わらせるという課題は、細心の注意を払って取り組む必要がありました。その結果、新世代の感性の変化に対応しながらも、「世界最高の車」としての地位を確かなものにする象徴的な存在感を維持するファントムが誕生しました。
17. カリナン(2018年)
カリナンは、まさに「SUVのロールス・ロイス」であり、若く成功した富裕層を地球の果てまで究極の快適さで運ぶために設計・製造された車です。「Effortless, Everywhere(どこにでも、エフォートレスに)」のケイパビリティ、無限のビスポークの可能性、レクリエーション・モジュールを含むユニークなライフスタイルを提供する装備により、地球上で最も魅力的なラグジュアリー製品のひとつになっています。
18. ブラック・バッジ・カリナン(2019年)
カリナンに、よりパワフルな6.7リッターV12エンジン、ブラックの22インチ鍛造アロイ・ホイール、パンテオン・グリル、スピリット・オブ・エクスタシーのマスコット、ロールス・ロイスの工場出荷車としては初のペイント・ブレーキ・キャリパーなど、新しいダークな個性が与えられました。
19. 新型ゴースト(2020年)
ロールス・ロイスは、新型ゴーストを発表するにあたり、成功した新興世代が、新しいラグジュアリーの作法を体現した車を求めていることに対応しました。その結果、ミニマルなデザインを優先し、素材本来の魅力を大切にする美学が生まれました。また、この車は、魅力的でダイナミックなキャラクターを持ちながら、リア・スイートの静粛性と快適性を損なわないように設計されています。
20. ボート・テイル(2021年)
ボート・テイルは、ロールス・ロイス・コーチビルドの複雑さと大胆さの新たな領域を開拓し、技術と創造性の点で非常に要求度の高いプロジェクトとして、約4年の歳月をかけ完成しました。この完全ハンドメイドの車は、ロールス・ロイスの将来の方向性と戦略の中心をなすコーチビルドへのコミットメントを示す、まさに「objet d'art(芸術品)」と呼ぶにふさわしいものでした。
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