栄えある第1回目の受賞者が決定
SAS Institute Japan株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:吉田 仁志、以下 SAS)と、独立行政法人科学技術振興機構(本部:埼玉県川口市、理事長:中村 道治、以下 JST)は、ビッグデータ、オープンデータおよびそれらを分析・活用するアナリティクスのさらなる普及に向けてデータサイエンティストを育成する機会を提供するため、分析アイデアや分析スキルを競い合うコンテスト「データサイエンス・アドベンチャー杯」を開催しました。
本コンテストでは、JSTがもつ複雑・多様な科学技術分野のデータをどのように扱うかをテーマに、全国の民間企業、大学、高等学校等に所属する方々が柔軟かつ斬新な発想による分析アイデアや分析スキルを競いました。今後もこのような機会を継続して提供することは、科学技術分野のデータからの新たな価値の創造とともに高度ICT利活用人材の育成を通じた日本のイノベーション促進への貢献につながるものと考えます。
エントリー総数86チームから最終的に応募のあった34作品のうち、栄えある金賞は、チーム゛UNAGI゛の作品「未来のデータサイエンティストを探せ! ~研究分野遷移から見た人材マッチング~」が受賞しました。また、一般部門と18歳以下を対象とするU-18部門の2部門統一で審査されたアイデア賞は、チーム゛北海道札幌旭丘高等学校 生物部゛の作品「「生物多様性を探るために」~トンボの統計解析からわかったノシメトンボと生物多様性について~」が、U-18賞は、チーム゛埼玉県立熊谷女子高等学校゛の作品「大学のそこんところ ~おカネと人と論文と~」が受賞しました(その他の受賞者一覧は下記に掲載)。
金賞、アイデア賞、U-18賞を受賞したチームは、それぞれ次のように喜びのコメントを述べています。
金賞を受賞したチーム゛UNAGI゛(東京ガス株式会社 技術開発本部 技術戦略部 戦略研究グループ 釋宏介さん、笹谷俊徳さん、中井洋平さん、藤本剛志さん): 「普段は、社内の業務効率化や組織改善のためにデータ分析に取り組んでいます。社外に出て力試しがしてみたいという思いから、このコンテストに参加しました。密度の濃いビッグデータの扱いは難しく、チャレンジのし甲斐がありました。アイデアに沿ってただ分析をするのではなく、ストーリー性を重視し、分析結果をどう実社会で活用できるレベルまで落とし込むかというところに特に苦心しました。このコンテストで金賞をいただき、結果が認められたことは、これからの大きな自信につながります」
アイデア賞を受賞したチーム゛北海道札幌旭丘高等学校 生物部゛(顧問 綿路昌史さん、宇久村三世さん): 「生物部で継続してきたトンボの研究に統計処理を加える必要性を感じていた時に、ちょうどこのコンテストのことを知り、参加しました。ビッグデータの重さと格闘しながらも、なんとか限られた期間で分析結果をまとめ、応募することができました。今回の受賞は、これまでの苦労が報われる思いで、大変嬉しいです。学んだ分析スキルや今回の分析結果と課題を、今後の活動に活かしていきたいです」
U-18賞を受賞したチーム゛埼玉県立熊谷女子高等学校゛(大塚茜里さん、徳田衣莉さん、袋井祐佳さん、山本絢子さん): 「実際にビッグデータを分析するにあたり、そのデータをどう活用していくかということを考えるのが難しかったです。4月からは大学の理系学部への進学を予定しており、今後も統計やデータ分析を用いた研究や発表の機会もあると思います。今回の経験を今後活かしていくことができるので、このコンテストに参加して本当によかったと思います」
また、本コンテストの審査委員長である長尾 真 氏(JST科学技術情報特別主監、京都大学名誉教授)は、「データサイエンス・アドベンチャー杯の作品を募集したところ、全国34のチームから、JSTが提供した科学技術関係のデータとSASのソフトウェアを利用した分析結果が提出されました。その中に高校生からの応募が8チームあったのは大変嬉しいことでした。審査委員会で慎重審議し、一般部門から6件、高校生など18歳以下の部から2件を優秀作品として選考し、本日の本選における各チームのプレゼンテーションを受けて、最終的な各賞を決定しました。いずれも興味ある分析で、ビッグデータ分析のための人材育成と科学技術振興機構の今後の活動にとっても有意義なコンテストであったと考えています」と総評しています。
<データサイエンス・アドベンチャー杯 受賞者一覧> ※括弧内はチーム代表者の組織名
【金賞】(一般部門の1チームが受賞)
●チーム名:UNAGI (東京ガス株式会社)
●作品名:未来のデータサイエンティストを探せ!~研究分野遷移から見た人材マッチング~
●賞金・副賞:15万円、賞状・トロフィー、記念品
●審査員による選評:「学生時代の論文と企業就職後の論文を比較し、その間の専門分野の移動からデータサイエンティストの候補を発掘しようというアイデアは卓抜である。今各方面で求められているデータサイエンティストのなり手を、高い確率で見つける一つの手段として説得力がある。データサイエンティストに限らず、他の専門職人材を探すためにも適用できる方法である。JSTのデータベースの特徴を活かしている点でも出色である。」
【銀賞】(一般部門の1チームが受賞)
●チーム名:技術動向観測隊 (株式会社金融エンジニアリング・グループ)
●作品名:「企業に着目した共同研究ネットワーク構造の解析と非連続的成長の予測」
●賞金・副賞:10万円、賞状・トロフィー、記念品
●審査員による選評:「論文の共著関係から企業の共同研究を抽出し、それを企業の非連続成長として捉えてJST科学技術データと産業との関係を結びつけた着眼点は現実的かつ説得力がある。分析という観点では基礎集計、解析によるFACTの抽出に留まる作品が多い中、モデル化と予測まで踏み込んでおり、活用方法を具体的に示すことでデータの価値をさらに高めている。また予測結果の検証までの分析プロセスを完了して、プレゼンテーション資料として纏め上げている点も評価でき、他と比べて完成度の高い作品である。」
【銅賞】(一般部門の1チームが受賞)
●チーム名:HSE研開部 (株式会社日立ソリューションズ東日本)
●作品名:「研究力の向上と実社会の発展の関係分析」
●賞金・副賞:8万円、賞状・トロフィー、記念品
●審査員による選評:「実社会の発展において各研究がどのような成果をあげているかを社会還元力として潜在変数化し観測変数間などとの因果関係を仮定したモデルを構築した点や、テーマ選定/分析手法(共分散構造解析分析)の選定/仮説の設定/データ収集/モデリング/分析結果/仮説の修正とモデル改良/再分析・評価/考察による適切な分析プロセスを用いて分析と検証をしていた点が評価される。」
【アイデア賞】(一般部門/U-18部門のいずれか1チームが受賞)
●チーム名:北海道札幌旭丘高等学校生物部 (北海道札幌旭丘高等学校生物部)
●作品名:「生物多様性を探るために」~トンボの統計解析からわかったノシメトンボと生物多様性について~」
●賞金・副賞:5万円、賞状・トロフィー、記念品
●審査員による選評:「普段の活動で作られているデータと、JSTのデータを組み合わせているユニークな提案です。また、予備的な分析によってターゲットを絞ったうえで、実際の分析につなげる流れは研究のプロセスそのものであると言えます。すべての応募を見てもこのような形で提案されている例はほとんどなく、その点を高く評価します。今後、試行錯誤を重ねることでよりよい成果につながるだろうとの期待からアイデア賞に選定したいと思います。」
【U-18賞】(U-18部門の1チームが受賞)
●チーム名:埼玉県立熊谷女子高等学校 (埼玉県立熊谷女子高等学校)
●作品名:「大学のそこんところ ~おカネと人と論文と~」
●賞金・副賞:5万円、賞状・トロフィー、記念品
●審査員による選評:「埼玉県立熊谷女子高等学校(大学のそこんところ おカネと人と論文と)U-18賞おめでとうございます。データ数が多いので分析は大変だったと思いますが、よくまとめられていると思います。データを解析することで、新たな価値を創造し、新たなモデルを考える力を育成してください。STAP細胞の発見もまた女性でした。理系女子として是非とも今後活躍されることを期待しています。女性が活躍する日本社会は本当に素敵な世界です。データサイエンスの世界から女性の活躍の場を広げてください。U-18賞、本当におめでとうございます。」
【入賞】(予選通過者のうち3チームが受賞)
●チーム名:Terano Lab. (東京工業大学)
●作品名:「論文の共著関係ネットワークの中心性分析」
●賞金・副賞:5万円、賞状・トロフィー、記念品
●審査員による選評:「研究者間のつながりを見出すという取り組みは、提供データの特性を活かしたものであると同時に、異分野横断の可能性などを示す有用な分析だ。ネットワーク分析から得られた「コア人材」結果が妥当であるのか、当該分野の人にインタビューするなど、深堀り分析に期待したい。」
●チーム名:広島市立大学 (広島市立大学)
●作品名:「ニュース記事と特許を利用した科学技術の重要性の評価」
●賞金・副賞:5万円、賞状・トロフィー、記念品
●審査員による選評:「プロの仕事を感じさせる分析ツールの活用をこれまでと違う領域のテーマに適用している点は興味深い。今回はツール先行であるが、ニーズ側からの探索をしつつ、最適な適用領域の検討を期待する。」
●チーム名:健マネ (慶應義塾大学大学院 健康マネジメント研究科)
●作品名:「研究活動の年次推移および人々の生活実感への影響に関する分析」
●賞金・副賞:5万円、賞状・トロフィー、記念品
●審査員による選評:「「環境関連の研究はマーケットイン」という分析は、意外性とともに納得感のある結果で膝を叩いた。社会全体の高齢化・縮小化が進む中で、「我々にとっての健康で幸福な状態とはなにか」を問う有望なテーマであると考える。今後の野心的な分析、社会提言を期待したい。」
<データサイエンス・アドベンチャー杯 開催概要>
名 称: All Analytics Championship Powered by SAS(R) ~データサイエンス・アドベンチャー杯~
主 催: SAS Institute Japan株式会社、 独立行政法人科学技術振興機構
後 援: KDDI株式会社、株式会社ジー・サーチ、情報処理学会、日本計算機統計学会、
日本統計学会、ネイチャーインサイト株式会社、株式会社マイナビ (50音順)
課 題: JST科学技術データを使用して※、柔軟な発想でテーマを自由に設定し、統計・データ分析を行う ※JST科学技術データを使用していれば他のオープンデータ等を組み合わせた分析も歓迎
応募作品: 分析テーマ、分析手法および分析結果について、分析概要(400字程度)とプレゼンテーション資料(PowerPoint形式)を提出
日 程:
<エントリー開始> 2013年10月8日(火)
<応募作品締切> 2014年1月31日(金)
<予選(非公開)> 2014年2月17日(月)
<本選(公開)> 2014年3月8日(土)
本選会場: JST東京本部別館 (K’s五番町)(東京都千代田区五番町7)
参加費: 無料
審査方法: 予選および本選の2段階審査
<予選> 非公開での書類選考により本選に進出する8作品を選出
<本選> 応募者によるプレゼンテーションを公開審査し各賞を決定
予選・本選ともに各界の有識者により構成された審査委員会にて厳正な審査を実施
審査委員会:
審査委員長 長尾 真 氏 (JST科学技術情報特別主監、京都大学名誉教授)
審査委員 (50音順)
大向 一輝 氏 (国立情報学研究所 コンテンツ科学研究系 准教授)
小野寺 夏生 氏 (一般社団法人情報科学技術協会 (INFOSTA) 会長)
鈴木 良介 氏 (株式会社野村総合研究所 主任コンサルタント)
林 雅之 氏 (NTTコミュニケーションズ株式会社 主査、国際大学GLOCOM 客員研究員)
南川 敦宣 氏 (KDDI株式会社 新規ビジネス推進本部 課長補佐)
森川 富昭 氏 (慶應義塾大学 大学院政策・メディア研究科/環境情報学部 准教授)
アドバイザー
国友 直人 氏 (日本統計学会 会長、東京大学 経済学部 教授)
吉田 靖 氏 (東京経済大学 経営学部 教授)
<公式Webサイト>
URL: www.sascom.jp/AAC/
<SAS Institute Inc.について>
SASは、ビジネス・アナリティクス・ソフトウェアとサービスのリーディング・カンパニーであり、ビジネス・インテリジェンス市場においても最大の独立系ベンダーです。SASは、高度な分析と将来予測を実現するフレームワークにもとづき、顧客企業の70、000以上のサイトに革新的なソリューションを提供しています。複雑な経営課題を解決するビジネス・ソリューションによって迅速で正確な意思決定を実現することで、顧客のパフォーマンス向上と価値の創出を支援します。1976年の設立以来、「The Power to Know(R)(知る力)」を世界各地の顧客に提供し続けています。本社:米国ノースカロライナ州キャリー、社員数:Worldwide約1万3千名、日本法人約250名(
http://www.sas.com/)
*SASとその他の製品は米国とその他の国における米国SAS Institute Inc.の商標または登録商標です。その他の会社名ならびに製品名は、各社の商標または登録商標です。
<独立行政法人科学技術振興機構(JST)について>
JSTは、科学技術イノベーションの創出に向けた国の科学技術基本計画の中核的な実施機関として、我が国のイノベーション創出の源泉となる知識の創出から研究成果の社会・国民への還元までを総合的に推進するとともに、その基盤となる科学技術情報の提供、科学技術に関する理解増進、戦略的国際活動等に取り組んでいます。またビジョンの一つとして科学技術イノベーションの加速に向けた我が国の科学技術基盤の整備を掲げ、イノベーションの創出に必要な科学技術データを体系的に収集、使いやすいよう整備し、インターネット上で公開する取組みを推進しています。
(
http://www.jst.go.jp/)