ボッシュ、2022年売上高は前年比15%増

ボッシュ株式会社

2023年 ボッシュ・グループ年次記者会見

  • 日本国内における第三者連結売上高は3,400億円(約24.6億ユーロ)
  • ボッシュの最新技術で未来のモビリティ開発を推進
  • モビリティ ソリューションズ事業の再編成により、市場の変化に柔軟に対応
  • 選ばれる会社になるために、持続可能な働き方を推進
 
(左:ボッシュ株式会社代表取締役社長 クラウス・メーダー、右:取締役副社長 クリスチャン・メッカー)

 
東京 — グローバル規模で革新のテクノロジーとサービスを提供するリーディングカンパニーであるボッシュの2022年度の日本国内における第三者連結売上高は、3,400億円(約24.6億ユーロ)でした。2022年は新型コロナウイルスによるパンデミックに加え、ウクライナ情勢や、エネルギーコストの上昇、インフレ、円安など、多くの課題に直面しましたが、売り上げは前年度比15%増となりました。

2023年の第1四半期も前年度を上回っており、2023年の売上高は前年度比2桁成長を達成する見込みです。

ボッシュ株式会社代表取締役社長のクラウス・メーダーは年次記者会見において、「ボッシュは、常に変化し、多様化する市場環境ならびにお客様のニーズに応えるべく、最新技術の開発に力を入れています。さらに、グローバルでのモビリティソリューションズ事業の体制変更に加え、2024年に横浜市都筑区に竣工予定の新本社兼研究開発施設の開設により、ボッシュは日本における開発体制をさらに強化し、日本のお客様からのご要望にこれまで以上に迅速かつ的確に対応していきます」と述べました。

日本におけるボッシュ・グループの従業員数は、2022年12月31日現在、約6,250名となっています。

ボッシュの最新技術で未来のモビリティ開発を推進
自動車業界は昨今、技術や社会の進化にともない市場の要求が急激に変化しています。なかでも、脱炭素社会の実現に向けたソリューションのひとつとして、自動車の電動化とそれに対応する技術開発は乗用車のみならず、商用車でも進んでいます。さらに、ソフトウェアを主軸とした自動車開発も加速しています。車載ソフトウェアの重要性は急激な高まりを見せ、2030年の車載ソフトウェア市場は2,500億ユーロを超えると見込まれています。ボッシュは、車の快適な走りをサポートするソフトウェアの開発や、ソフトウエア・ディファインド・ビークルの開発を促進する先進的な取り組みも進めています。ボッシュでは、乗用車から商用車、オフハイウェイ車両まで、あらゆる自動車の電動化向け製品やソフトウェア開発を進めており、自動車メーカーのニーズに応じたあらゆるソリューションを提供しています。

ソフトウェア開発の一例として、次世代横滑り防止装置ESCの中核制御システムとして機能するビークルダイナミクスコントロール2.0を開発中です。ボッシュでは1995年より量産しているESCを継続的に改善しており、2023年後半には次世代ESCの量産を開始する予定です。車両のシステムは通常、インプットに対して反応するだけなのに対し、ビークルダイナミクスコントロール2.0 は、加速度、ヨーレート、操舵角、車輪速などの車両ダイナミクスセンサーからの信号に基づいて、事前に作動します。フィードフォワード制御の原理により、ドライバーの操作に応じて車両の望ましい挙動を予測し、ブレーキ、シャシー、ステアリング、パワートレインなどの各アクチュエーターを狙い通りに作動させることができます。これによりドライバーは、自分の意思に沿った自然なクルマの挙動を感じることができるため、日常だけでなく危機的な状況下の運転操作においても、ドライバーの安心感を高めます。ボッシュは、複数の日本の自動車メーカーと、ビークルダイナミクスコントロール 2.0を搭載した次世代ESCの開発に取り組んでいます。

また現在、自動車業界ではソフトウェアによって車の機能や特徴を決めるソフトウエア・ディファインド・ビークル(SDV)の開発が進んでいます。SDVの実現には、ソフトウェアとハードウェアの分離、およびクラウドとのシームレスな連携が重要となっています。しかしながら現在、各自動車メーカーや、サプライヤー、ソフトウェアメーカーなどが独自の規格やルールでアプリケーションソフトウェアの開発を進めており、膨大な開発コストや再利用性の低さが課題となっています。そこでボッシュは、SDV実現に向けて、従来の自動車内部のアーキテクチャであるE/Eアーキテクチャをクラウド側も含めて拡張した、モビリティ・システム・アーキテクチャ(MSA:Mobility System Architecture)を提唱しています。SDVに向けてさまざまなアプリケーションソフトウェアが開発される中、ボッシュはSDVにおけるクラウドも含めたシステム構造、データフローモデルなどをMSAで定義します。これにより、設計方法や実装方法のオープン標準化の取り組みが促進され、自動車メーカーやサプライヤー、モビリティサービス提供企業にとって、再利用可能なアプリケーションソフトウェアの開発が容易になります。この結果、販売後の自動車の機能や特徴のアップデートを容易に行い、SDVを低コストで実現します。ボッシュはこのような先進的な取り組みを推進することで、未来のモビリティ開発の迅速化に貢献していきます。

電動化においてボッシュは、個々のセンサー、電気モーター、パワー・エレクトロニクス、制御ユニットから、eAxleのような統合ソリューション、さらには統合モジュールに至るまで、幅広い製品ポートフォリオをお客様に提供しています。2022年には、電動の小型商用車向けに電気モーターとインバーターを統合した新しいドライブユニットであるeDM(Electric Drive Module)の生産を開始しました。この統合ユニットは、商用車の軽量化・省スペース化に貢献します。さらにそのフレキシブルな構造から、より簡単にドライブモジュールと統合することができ、小型商用車の市場投入までの期間短縮に貢献します。ボッシュは、長年にわたり商用車の主要なパワートレインであるディーゼルエンジン技術の開発に貢献しており、現在では、お客様のニーズに合わせて、ディーゼル車のみならず、天然ガス車、バッテリーEV、あるいは燃料電池車など、それぞれにとって適切なパワートレインソリューションを提供しています。ボッシュは、長年培った商用車への理解と幅広いソリューションで、商用車の電動化を推進しています。なお、ボッシュのeDMは、2022年からすでに日本の自動車メーカーの商用車モデルに搭載されています。

ボッシュはまた、建設現場で使われるショベルカーのようなオフハイウェイ車両の電動化にも貢献しています。産業用油圧機器や電動駆動に関わる製品やソリューションを提供するボッシュ・レックスロスは今年、オフハイウェイ車両の電動化を支援するeLIONモーターを日本で販売開始する予定です。eLIONモーターは建設機械向け電動化製品として、建設業が目指す「ゼロエミッション」にも貢献するソリューションとなります。さらに、例えばeLIONモーターを、ショベルカーを駆動する電気制御化対応油圧機器と組み合わせると、ショベルカーのアーム部分などの微細な動きをソフトウェアにより設定できます。これにより、掘削や整地といった、通常、人間による熟練の技が必要な動きでも、電気の力で、自動で行うことが可能です。建設業では長年、長時間労働の常態化や、人手不足、就業者の高齢化および若手減少による後継者問題など、すでにさまざまな課題があります。それに加え2024年4月から建設業で労働基準法の改正による労働時間の上限規制が設けられる「2024年問題」が差し迫る中、eLIONのような電動化製品と、それを用いた油圧機器も含めた電気制御化製品群は、建設業が抱える長時間労働や後継者問題を解決するためのソリューションとなります。
 
      
(左から「次世代横滑り防止装置ESC」「ソフトウエア・ディファインド・ビークルのイメージ」「eDM」「eLIONモーター」)

市場ニーズに合わせたモビリティ ソリューションズ事業の体制変更
自動車開発の概念が急速に進化し、自動車業界が100年に一度の変革期を迎える中、市場環境ならびにお客様からの要求の変化も加速しています。「ボッシュはこの変化に対応するため、自動車関連事業を再編しています。これにより、カスタマイズしたテクノロジーとソリューションをワンストップで提供することで、顧客ニーズに対して、より良く、より迅速に対応することが可能となります」と、ボッシュ株式会社取締役副社長を務めるクリスチャン・メッカーは語っています。現在のモビリティ ソリューションズ事業セクターは今後、世界66カ国の300以上の拠点に約23万人の従業員を擁する、「ボッシュ モビリティ」事業セクターとなります。ボッシュは、テクノロジーのリーディングサプライヤー、そしてモビリティ産業におけるお客様に選ばれるパートナーとして、お客様の進化する要求を実現するために、モビリティ ソリューションズ事業の体制変更を進めています。

日本においては、モビリティ ソリューションズ事業の体制変更に加え、2024年に竣工予定の新研究開発施設の開設で事業部間の協業・連携が進み、国内の開発体制をさらに強化します。東京横浜エリアに点在していたオフィスの従業員は、この新社屋と横浜市都筑区牛久保にある既存の研究開発施設の2か所に集約されます。新社屋には、これまで複数拠点に点在していたエキスパートが集まり、各業務フロアに設置されている共有のラボで他の事業部と密にコミュニケーションを取りながら研究開発を進めます。新研究開発拠点の開設と体制変更を通じて、日本のお客様の要求にさらに迅速に対応できるようになります。

新研究開発施設および都筑区民文化センターの建設は、現在順調に進んでいます。ボッシュ新社屋の構造体全体はすでに完成し、外観ファサードおよび内装工事の一部を進めています。さらに都筑区民文化センターに関しては、ボッシュがネーミングライツの優先交渉権者に選ばれました。ボッシュは、「ボッシュホール」という愛称を提案し、現在契約に向けた最終調整を進めています。今後、横浜市の公募を通じて決定される予定の指定管理者との密接な協業を通じ、全天候型広場やボッシュの新社屋と連携したイベントの開催、文化イベント・プログラムの企画・実施したいと考えています。ボッシュは新社屋と都筑区民文化センターと共に、都筑区民における地域の賑わい醸成に貢献していきます。

 
 
(左:新本社兼研究開発施設の完成イメージ図、右:現在建設中の新本社兼研究開発施設)

選ばれる会社になるために、持続可能な働き方を推進
ボッシュでは以前より従業員の柔軟で多様な働き方を推進する施策を講じています。昨年導入した「Smart Work」は、チーム単位で出社とリモート勤務の割合を、上限を決めずに柔軟に決めることのできるハイブリッドな働き方として、新たなスタンダードとなっています。さらに2023年4月より、フレックス勤務で働いている従業員向けに、コアタイムを廃止する「コアレスフレックス勤務」制度を導入しました。これにより、月間所定労働時間を満たせば、業務と個人の都合のバランスを取りながら、稼働日の勤務時間をフレキシブルに設定することが可能になりました。例えば週4日は毎日の勤務時間を所定労働時間より2時間ずつ長くし、週1日は業務をしないことも選択できるため、フルタイム勤務でありながらも週休3日(週4日勤務)にすることも可能です。また2022年11月から副業に関するガイドラインを改訂し、会社に申請して許可を得れば、月30時間以内の条件で個人事業主・フリーランスとして働くことが可能になりました。ボッシュはこれからも、従業員が持続可能な働き方を実現できるよう、柔軟で多様な働き方や働きやすい環境づくりを推進していきます。

世界のボッシュ・グループ:2023年の展望と長期的な戦略の方向性
課題の多い年にもかかわらず、ボッシュは2022年度の事業目標を上回りました。グローバル規模で革新的なテクノロジーとサービスを提供するボッシュの売上高は882億ユーロへと増加し、支払金利前税引前利益率は、前年の4.0%に対して4.3%に上昇しました。「ボッシュは2022年の課題にうまく立ち向かい、売上高と利益率の両方で予想を上回りました」と、ロバート・ボッシュ GmbH 取締役会会長のシュテファン・ハルトゥングは述べています。新型コロナウイルスのパンデミックの余波があるにもかかわらず、ボッシュ・グループの2023年の第1四半期の売上高は、前年同期比3.5%増となりました。控えめな経済見通しにもかかわらず、ボッシュは2023年に6~9%の売上成長を目指しています。また、支払金利前税引前利益率は約5%を目標にしています。たとえ経済的・社会的環境が厳しいままであっても、私たちは大幅に成長を促進させたいと考えています。「私たちの目標は、世界のすべての地域で成長し、関連する市場で3大サプライヤーの一角を占めることです」と、ハルトゥングは語ります。

気候変動との闘いは、事業と社会に大きな変化をもたらすとともに、テクノロジーの進化も加速しています。「この技術的変革は、既存事業および関連する新分野の両方において、私たちが捉えたい成長の機会をもたらしています」と、ハルトゥングは述べています。「こうした状況において、電動化、自動化、デジタライゼーションの主要なトレンドに限らず、これまで以上にソフトウェアやAIに関しても、当社の『Invented for life』の理念は理想的なのです」。ボッシュは自動車関連事業の再編により、ソフトウェアを主軸とした自動車開発に向かう市場トレンドに対応します。ボッシュ モビリティは将来、ロバート・ボッシュGmbH内で自らの事業に責任を負い、独自のリーダーシップチームを持つ事業セクターとして運営されます。これにより、カスタマイズしたソリューションをワンストップで提供することで、既存および新規の顧客ニーズに対して、より良く、より迅速に対応することが可能となります。ハルトゥングは、モビリティ事業は新体制において2029年までに年間平均約6%成長し、年間売上高800億ユーロ以上達成を目指すと発表しました。

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