ロールス・ロイス、アメシスト・ドロップテイルを発表 純粋さ、透明感、レジリエンスの表現

ロールス・ロイス・モーター・カーズ 日本オフィス


 
2023年8月24日、グッドウッド、ウエスト・サセックス 
  • ロールス・ロイス・モーター・カーズ、ロールス・ロイス・アメシスト・ドロップテイル(Rolls-Royce Amethyst Droptail)を初披露
  • お客様のご子息の誕生石にインスパイアされた特別なコーチビルド・プロジェクト
  • 丹念な職人技とミニマリズムへのこだわりを見事に融合
  • 単板の後部デッキは、ロールス・ロイスがこれまで製造した中で、最も大きなウッド・サーフェス
  • リア・セクションは、新型自動車で唯一空力的に機能するウッド・サーフェス
  • 貴重なジェムストーン、アメシストをインテリアとエクステリアに組み込む
  • ブラッシュとポリッシュ仕上げの両方をパンテオン・グリルに初採用
  • お客様のヴァシュロン・コンスタンタン(Vacheron Constantin)のタイムピースを参考に、オートオルロジュリー(haute horlogerie)にインスピレーションを受けた仕上げ  

「ロールス・ロイス・ドロップテイルによるこの見事な表現は、依頼主であるお客様の魂を忠実にとらえています。この卓越した国際的に活躍するお客様は、その優れた鑑識眼を実証し、さらにグローバルな視野、洗練された嗜好、深く根差した伝統は探求する喜びを広げてくれました。ロールス・ロイス・アメシスト・ドロップテイルがとらえた、そのすばらしい精神の描写は、ロールス・ロイスのコーチビルドの明確な意図の表明だといえます。それは、アプライド・アート(応用芸術)の歴史的表現を生み出す手段となる、深いコラボレーションに対する決意です。お客様一人一人の関わりが、コーチビルド製品に比類ない個性を与えています。これらの製品には、絶対的な信念のもとに実行された、非常に明確なビジョンが反映されています。アメシスト・ドロップテイルは、これらの美徳を最高の形で表現しています」
ロールス・ロイス・モーター・カーズ最高経営責任者 トルステン・ミュラー・エトヴェシュ

「ロールス・ロイスのコーチビルドは、そのアイデンティティと伝説を、お客様の偉業、感性、個性から得ています。高度に進化したデザインと融合した、この人間的な側面こそが、それを唯一無二のかけがえのないものとしているのです。このような特異性によって、コーチビルド・コミッションのひとつひとつが、時代を超越した芸術的な耐久性を感じさせるものになります。ロールス・ロイスのデザインの中でも、アメシスト・ドロップテイルは依頼主であるお客様の精神を伝えるために、私たちが文字通りの表現と非常に概念的な表現というパーソナル・ラグジュアリーの2つの表現形式を使い、創造性を発揮しながら極めて正確に対応した証として、当社の歴史に刻まれることでしょう」
ロールス・ロイス・モーター・カーズ デザイン・ディレクター アンダース・ウォーミング

「ロールス・ロイス アメシスト・ドロップテイルは、静粛な芸術性の縮図であり、そのディテールの深さに大切な意味が存在します。私たちは、その個性がコミッション全体に響き渡る、優れた見識を持つお客様とともに、深く象徴的な意味がそれぞれに込められているディテールを厳選し、彼らの感性、探究心、価値観を探求しました。アメシスト・ドロップテイルは、現代的なデザインと高級時計製造技術の細部に熱い思いを抱き、ご家族が宝石と特別なつながりを持つお客様のために制作され、鑑識眼、現代デザイン、個人の伝統を絶妙に表現しています」
ロールス・ロイス・モーター・カーズ コーチビルド・デザイン責任者 アレックス・イネス

アメシスト・ドロップテイル
ロールス・ロイス・モーター・カーズは、お客様の文化的遺産、一族のレガシー、そして個人の情熱を称えた、すばらしいコーチビルドの傑作である、ロールス・ロイス アメシスト・ドロップテイルを披露できることを光栄に思います。

ロールス・ロイス・ドロップテイルの4つの個性的な表現の1つであるアメシスト・ドロップテイルは、進化したアプライド・アート(応用芸術)の作品だといえます。オーダーされたのは、家業が宝石ブティックから多角的な事業を展開する多国籍企業へと成長されたお客様です。旅行好きで、国際的な教養と包括的なインスピレーションをお持ちのこのお客様は、芸術のパトロンとしても名高く、その貴重な宝石、魅力的な自動車、現代美術品のコレクションは、特別に設計されたプライベート・ミュージアムに収蔵されています。

お客様は、ご子息の誕生石であり、純粋さ、透明感、レジリエンスの永遠のシンボルであるのアメシストからインスピレーションを得て、ドロップテイルのエレガントな表現をコーチビルドのデザイナーに依頼しました。このテーマは、車両の全域で奥底まで掘り下げて描き出されています。静粛な芸術性とさりげない華やかさを求めるお客様の情熱が、アメシスト・ドロップテイルの特徴として現れ、魅力的なディテールの研究と見識の高さが反映されています。

 

砂漠に咲く花
ロールス・ロイス・アメシスト・ドロップテイルの依頼主と共同製作者は、故郷の文化遺産を称えたいという想いを強く示されました。ロールス・ロイスのコーチビルドのデザイナーは、ご自宅近くの砂漠に咲く野草であるグローブ・アマランサスをイメージしたエクステリア仕上げを思いつき、これをドロップテイルに施すことでその願いを叶えます。

デュオ・トーンのエクステリア塗装仕上げは、花が咲くときのいくつもの段階を表現しています。メインのボディーカラーは、繊細なシルバーを基調とした柔らかなパープルで、この花に敬意を表して「グローブ・アマランサス」と名付けています。光を反射するアルミニウム粉末の薄片によって一層際立ち、魅惑的な玉虫色の仕上げとなりました。車両上部のコーチワークに使われ、コントラストを生む深いパープルのアメシスト・ペイントには、レッド、ブルー、バイオレットのマイカ・フレークをブレンドし、繊細なメタリックの光沢を放つ独特なモーヴカラーを作り出しています。

太陽光の下では、22インチ・ホイールの内側にモーヴカラーのペイントがかすかに現れ、鏡面仕上げのアルミニウムのサーフェスと繊細で上品な対比を成しています。これは、お客様がお気に入りのピスポークのジャケットの色鮮やかな裏地のタッチを参考にしました。

エクステリアは、車体下部を構成するカーボンファイバーに、繊細で非常に複雑な処理を施した仕上げになっています。2年にわたる開発の結果、職人たちは2つの軸に沿って左右対称となるシェブロン・パターンを生み出し、ロールス・ロイス・アメシスト・ドロップテイルのテクニカルなエクステリア・サーフェスに幾何学的な装飾を加えました。カーボンファイバー自体は、アメシスト顔料で着色されたラッカーの細かい層で仕上げられ、ほとんどの光の下でボディーカラーのように見えます。この複雑で技術的に難しいディテールは、自動車を注意深く見るまで隠されており、繊細さと自制心を尊重するお客様の気持ちが表れています。

 

ディテールの奥行き
ロールス・ロイスの職人に対するお客様の信頼の高さは、最難関といえるパンテオン・グリルの装飾の処理方法にみることができます。エクステリアのグリル・サラウンドとねじれたベーン・ピースには、手作業で部分的にブラッシュとポリッシュ加工を施し、正確なラインで各仕上げを区別しています。これほどの規模でサーフェスの処理を試みたことは、これまでありませんでした。このコンセプトは、高級時計のコレクターであるお客様のご子息から提案されました。彼のアーカイブにあった、歴史的に重要な作品のブラッシュ仕上げの時計の針からインスピレーションを得ています。50時間以上の共同作業の結果、完璧に均一な仕上げ、および異なる仕上げ処理を相互にはっきり対比させることが可能になりました。

この現代的なクラフツマンシップの驚くべき表現の下には、複雑な仕組みのローワー・フロント・エア・インテークが配置されます。 非常に細かいパーツは、デジタルで設計した後に軽量複合材を使って「プリント」し、手作業による研磨とグローブ・アマランサスの色彩で慎重にハンドペイントを施した202個のステンレス製インゴットを組み込んでいます。

フロントエンドを引き締めるのは、アメシストのカボションに囲まれたスピリット・オブ・エクスタシーのフィギュアです。目立つ輝きを抑えるために、お客様はカボションカットをリクエストしました。これは、宝石をファセットカットではなく、丸みを帯びたフォルムに成形し磨き上げる手法です。このさりげないディテールは、お客様の宝石ビジネス創業初期の取り組みを想起させます。

 

素材の特性を生かす
ロールス・ロイス・アメシスト・ドロップテイルには、お客様とご家族が自ら厳選された素材と工芸品を称えるものです。素材を厳選した際、最初に検討したのはカラマンダー・ライトのオープンポア材でした。複雑な質感と長い色の帯を持つこの見事な素材のサンプルは、お客様から提供されました。

最初にお客様より提供された木材サンプルの色彩は、この車両のレザー加工のインスピレーションとなりました。サンド・デューン(砂丘)という名にふさわしい穏やかなコントラストのレザーは、カラマンダー・ライトのオープンポア材のキャラメル色のストランドと完璧に調和させるために開発されました。その後、木材のスペシャリストらは、レザーとまったく同じ色のバンドを持つ素材の調達に挑みました。この作業は解決までに6ヶ月以上を要し、完璧なピースが見つかるまで100本以上の原木を検討する必要がありました。

アメシストと名付けられたメイン・レザーの色調は、エクステリアの表面を引き立て、この製品の名の由来となった貴重な宝石の輝きを連想させる、ほのかに真珠光沢のあるラッカーで仕上げられています。

アメシスト・ドロップテイルのために、ロールス・ロイスは史上最大のウッド・サーフェス・エリアを作りました。この素材は、フェイシアやドアから、ショール・パネル、片持ち式の「台座」センター・アームレスト、そして後部デッキにまで及んでいます。
 
空力的に機能する後部デッキに木材を使用する際、ブランドのエアロダイナミクスと木材のそれぞれのスペシャリストが緊密に連携し、パネルの形状のみならず、さまざまな木目の質感や単板そのものの正確な配置角度について実験を重ねました。その結果、非常に芸術的な作品の完成と同時に、新型の走行用自動車にダウンフォースをもたらす、世界で唯一の「原木」サーフェスが誕生しました。

原木の質感を露出させるために、それぞれの単板シートを上下逆さまに配置するという、まったく新しい化粧張り工程がアメシスト・ドロップテイル向けに特別開発されました。互いを映し出すように木板を55度の角度で配置する「ブックマッチング」と、木板を順番に並べて木目模様の繰り返す「スリップマッチング」という2つの技法を組み合わせることにより、木目模様が繰り返され、一枚板のように見える、より有機的で自然な効果が得られます。

アメシスト・ドロップテイルは、お客様が世界中のさまざまな気候環境で運転できるように、インテリアの木製部分もエクステリアのパーツと同じ厳しい耐久基準を満たすようにテストされています。最終的な完成までには、150以上のサンプルを使って、8,000時間を超える実験をしました。これには、完全に日光にさらされた状態のシミュレーション、雨天に対する耐久評価、+80℃から-30℃までの温度下での耐久性テストが含まれます。アメシスト・ドロップテイルのために特別開発されたデッキのプロテクション・コーティングは、独自の特許を取得しています。

インテリアの処理の完成に向け、お客様は希少なアメシストの宝石で回転ダイヤルを飾るという、上質な要素の追加を希望しました。スピリット・オブ・エクスタシーの台座に配された宝石と同様に、これらもファセットではなく、凸型のカボションで形作られています。それぞれのストーンの美しい深みと透明度は、通常ファインジュエリーにのみ用いられる水準です。宝石はそれぞれ、お客様の組織内の専門家によって検査された後、お客様自身によって個別に承認されました。インテリア・スイートはレザーで編まれたフロアマットで仕上げられ、お客様の故郷のスークで何世紀にもわたって使用されてきた伝統的な織物工芸へのさりげないオマージュです。

 

ビスポークをさらなる高みへ
取り外し可能なハードトップは、ロールス・ロイス・ドロップテイルに2つの異なる個性を与えるためにデザインされました。ルーフを開けたドロップテイルは、しなやかなオープントップのロードスター。ルーフを取り付けると、圧倒的でドラマチックなクーペに変身します。

ルーフにはエレクトロクロミック・ガラスが組み込まれ、瞬時に表面の色や透明度を変化させることが可能です。アメシスト・ドロップテイルの色調に合わせるために、お客様は色相が変化するガラスの開発をコーチビルドのデザイナーに依頼しました。これを受けて、ロールス・ロイスのビスポーク・コレクティブは、エレクトロクロミック・ガラス向けに独自のカメレオン・エフェクトを開発しました。作動していないときには、ほのかに淡いパープルがかかった完全な不透明ガラスになり、車両エクステリアのアメシスト・フィニッシュを映し出します。ボタンを押して作動させるとガラスは半透明になり、インテリア・スイートに使われたサンド・デューンのレザーのカラーに調和する色合いになります。この類まれな華やかさを実現するために、スペシャリストは完璧にマッチするガラスを見つけるまで、60回ものガラス着色を繰り返しました。

 

唯一無二のタイムピース
ロールス・ロイス・アメシスト・ドロップテイルのフェイシアには、スイスの有名な高級時計メゾン、ヴァシュロン・コンスタンタンにオーダーした唯一無二のタイムピースが飾られています。ジュネーブでハンドメイドされ、「レ・キャビノティエ・アーミラリ・トゥールビヨン(Les Cabinotiers Armillary Tourbillon)」と名付けられたこのタイムピースには、複雑な手巻きムーブメントが搭載され、特別にデザインされたホルダーにしっかりと収められています。必要に応じて、車から取り外し、保管が可能です。この時計は、時分針が瞬時に戻るバイ・レトログラード表示およびバイ・アクシアル・トゥールビヨンを備えています。
 
ヴァシュロン・コンスタンタンとロールス・ロイス・モーター・カーズは、このタイムピースのフォルム、素材、カラーを車両に完璧に調和させるため、密接に連携しました。インストゥルメント・ダイヤルは 、アメシスト・カラーのインサートと、部分的にブラッシュとポリッシュの仕上げが施された時計針を兼ね備えています。このタイムピースは、ホワイトゴールドのベースプレートに手作業によるサンバースト・ギヨシェが施されています。
 

 

アメシスト・ドロップテイル:ロールス・ロイス史における特別な存在
ロールス・ロイス・ドロップテイルの並外れた表現は、お客様の静粛なディテールへの情熱の証であり、遊び心を持った丹念な傑作として、これまでに製造された最も歴史的に偉大なロールス・ロイス車の1つに加わります。また、このような明確なビジョンの実現のみならず、伝統と現代性、そして魂を見事に調和させるロールス・ロイスの可能性の高さを象徴しています。

以上


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