【ニュースレター】 女性デザイナーは、過酷と向き合う「週末アスリート」
~オフロード版トライアスロンの世界選手権に出場。オンもオフも「諦めない」元気社員~
初出場の世界選手権は、女子年代別12位でゴール
「得意のランでは、女子選手を20人くらい抜けたと思います。でもゴールした時は自分の順位がまったく分かりませんでした」
イタリア北部、スイス国境にも近いモルヴェーノ。9月23日、この山岳地帯の町でオフロード版トライアスロン「エクステラ世界選手権2023」が開かれました。国内大会を勝ち抜き、この過酷な大会に出場したのは当社プロダクトデザイン部の伊澤佳奈さん。初出場でアマチュア女子総合49位、女子年代別12位、男子を含む日本人8選手中2位という好成績でゴールゲートをくぐりました。初の国際大会でしたが、「イメージしていた以上の成績」と、大きな手応えをつかんだようです。
「エクステラ」は、1990年代に生まれた比較的新しい競技です。オープンウォータースイミングとマウンテンバイク、さらにトレイルランニングを一人の競技者が連続して行います。大自然と触れ合いながらレースを行うという点で、トライアスロンとは異なる魅力を持ち、近年、世界中で競技人口を増やしています。
伊澤さんも、その魅力にとりつかれた一人。幼少期から水泳に励み、中高では陸上・長距離、さらに大学時代はトライアスロンでインカレに出場するなど、競技者としてのベースも備えていました。
「技術的にはまだ未熟」と、週末には会社の仲間と近隣のコースで練習に励む
仕事でも活きる「ゴールまで絶対諦めない」気持ち
入社後は「SR400」の40周年記念モデル等、主に二輪車製品のデザイン企画として活躍。当社自転車クラブにも所属していますが、「競技志向ではなく、楽しみが中心。それよりも仕事に夢中でした」と話します。
その心境に変化が起こったのは、eBike(スポーツタイプの電動アシスト自転車)のデザインに関わったことがきっかけでした。入社後に始めたマウンテンバイクがより身近な存在となり、一念発起。「エクステラ」の国内大会出場を目指してトレーニングを積み上げていきました。
「メニューは自己流」というそのトレーニングが、実にハードです。仮眠を挟んでの36時間・600kmの連続ライドや、自転車とトレイルランの組み合わせによる自宅から富士山頂までの往復350km、さらにはキャンプ道具をウェイト代わりにした北海道や九州へのロングライドなど、週末や長期連休のほとんどをアスリートとして過ごしています。
「エクステラの難しさの一つに、トレーニングがあります」と伊澤さん。「バイク一つとっても、脚力を鍛えるロード、テクニックを磨くマウンテンバイクという感じで、3競技×各2パターンのトレーニングが必要です。平日は仕事が中心なので、その前後に筋トレと心肺系トレをしています」
とは言え、ストイックな様子は微塵も見られません。「競技もトレーニングも、あくまで楽しみながら。でも、諦めない気持ちは、仕事のシーンでも活きているかもしれません」と、明るい笑顔で話してくれました。
■広報担当者より
伊澤さんの現在のお仕事は、モビリティ製品のデジタルモデリング。生み出したい造形をモニター上で表現し、あらゆる角度から検証を行って製品のスタイリングを確定していきます。「考えても正解は分からない。コツコツと形にし、じっくりと検討する。私の性格には合っている」。その忍耐強さが、もしかしたら競技にも活きているのかもしれません。