作品のテーマは、「伝統的な日本のデザインの素晴らしさを伝える」ことです。食に携わる職業として、五穀豊穣を司る稲荷神の神使「狐」を中心に、当ホテルのメインロビーにも施されている麻の葉文様を装飾に取り入れ、日本らしさを表現しました。最も苦労したのはデザインです。接着の粗が目立つと全体の美しさが損なわれるため、粗が目立たないよう工夫しつつ、崩れにくいバランスを 保ちながら流れのあるデザインを考えるのに1年を費やしました。また、狐の色合いを自然に近づけることも難しく、何度も調整を重ねましたので、その点を評価いただけたことは大変光栄です。
アントルメには柚子とホワイトチョコレートを使用しており、柚子のジュレには皮や実も加え、食感もお愉しみいただけるよう工夫しました。オークラ東京のチーム・パティシエは、常に新しいことに挑戦し、互いに磨き上げた技術を共有することで、素材の魅力を最大限に引き出すことを大切にしています。このようなチャレンジでは時に自分の力不足を感じることもありますが、今後もチーム全員で切磋琢磨し、技術を高めながら、素晴らしい作品や商品を生み出していきたいと思います。
洋食調理部製菓課 パティシエ
堀内 俊 (ほりうち しゅん)
2006年に株式会社ホテルオークラ東京入社。洋食調理部製菓課に配属。
ウェディング部門などで研鑽を積む。昨年同大会の「工芸菓子 2類ピエス・アーティスティック(ショコラ)」において銅賞を受賞し、本年、最高賞の受賞を果たした。
■オークラ東京について
再開発著しい港区虎ノ門に位置し、グループの旗艦ホテルとして世界に通じるもてなしの心はそのままに、日本の伝統文化や歴史的要素をまとうグループ最上位ラグジュアリーブランド「オークラ ヘリテージ(140室)」と、海外を中心に展開し、都市の躍動感と高機能で現代のニーズを取り込んだ「オークラ プレステージ(368室)」の2棟から構成。客室は、730㎡を有する都内最大級のメゾネットタイプなどのスイートルーム17室を含め、総客室508室。5つのレストランと2つのバー、約2,000㎡の「平安の間」を含む19の宴会場、オークラ フィットネス&スパを兼ね備えます。モダニズム建築として高い評価を得た本館を設計した建築家 谷口吉郎氏の子息である吉生氏。同氏が再現したオークラロビーは、人々の記憶に残るかつての姿を忠実に再現し、未来へと継承しています。ホスピタリティーを格付けする世界有数のトラベルガイド『フォーブス・トラベルガイド』のホテル部門において、最高評価である「5つ星」を獲得。総客室数が500室を超える国内のグランドホテルとしては唯一の5つ星ラグジュアリーホテル認定となります。また、国内初の実施となるレストラン部門の2024年の格付けにおいてフランス料理「ヌーヴェル・エポック」が国内唯一の「5つ星」を、さらにスパ部門ではオークラ フィットネス&スパが「4つ星」を獲得しました。世界80ヵ国以上、400軒以上のホテルで構成されるThe Leading Hotels of the World®に日本で初めて加盟。また、世界最大の高級旅行代理店ネットワークVirtuoso®にも2024年より加盟。