【美術出版社】椹木野衣による『末世の芸術』が刊行。『後美術論』『震美術論』に続く、芸術論三部作がついに完成。

美術出版社(東京都渋谷区)は、美術批評家・椹木野衣による著書『末世の芸術 来たるべき無人類のために』を2025年12月9日(火)に刊行します。日本の芸術をめぐる15年に及ぶ膨大な批評活動を「無人類のための芸術」という新たな視点で編み直した芸術論集です。


本書概要
『シミュレーショニズム』『日本・現代・美術』をはじめ、1990年代より絶えず旺盛な執筆活動をとおして、日本の現代美術を論じてきた椹木野衣氏。本書にはウェブマガジン『ART iT』での連載「美術と時評」を軸とし、様々な媒体で執筆された約50本の批評および戯曲、詩が収載されています。これは、美術のジャンル解体と新たな批評を切り拓いた2015年の『後美術論』と、3.11後に震災や災害の多い風土から「日本列島」の美術を捉え直した2017年の『震美術論』という代表的な著作に次ぐ、芸術論三部作として位置づけることができます。

手前より、『末世の芸術』『震美術論』『後美術論』。3作ともすべて吉岡秀典(セプテンバーカウボーイ)がデザインを手がけた

⚫︎末世の芸術とは
2011年以降、著者は東日本大震災と福島第一原子力発電所事故を起点に評論を行なってきました。振り返ればそれらはすべて、人類の歴史が終焉を迎えたあとの時代へ向けて投げかけられた「末世の芸術」をめぐるものであったと言います。この無人類のための芸術を見据えていた先達として、本書第0章では、美術批評家の中原佑介や石子順造、『暮らしの手帖』編集長の花森安治、そして建築界から浅田孝、磯崎新の営みを取り上げています。

⚫︎核災害と美術
ついで、核/原子力をめぐる思索と制作を行う作家として、岡本太郎、飴屋法水、Chim↑Pom from Smappa!Groupらの作品や、3.11により故郷を失い新たな制作を展開する赤城修司や、著者が企画者としても関わる“見に行くことができない展覧会”「Don’t Follow the Wind」の継続的な取り組みについて、核災害と美術との関わりという視点から考察を重ねています。

本書の中央に配された戯曲『グランギニョル未来』のページでは、黒い紙面にシルバーの文字が浮かび上がる

⚫︎ドメスティックであること
本書の中心部となる第3章では、1985年の日本航空墜落事故を扱った、筆者による初の批評的戯曲『グランギニョル未来』を全文掲載。そして映画『この空の花』を契機に交流が始まった大林宣彦をはじめ、著者による企画展「日本ゼロ年」への参加を依頼した成田亨、近年特に再評価が高まり展覧会も開かれているアーティストの三上晴子、そしてマンガ家の岡崎京子に至るまで、それぞれの作家たちと血の通った交感から立ち上がる論考には、筆者の新たな批評的展開を見ることができます。

グローバル化した世界を前提とする今日のアートに疑義を投げかけ、「真の意味でドメスティックであること」を無人類のための芸術の条件に据えた本書は、日本の芸術の営みをいま一度捉え直そうとする、絶え間ない試みの結晶であると言えます。

著者プロフィール
椹木野衣(さわらぎ・のい)
1962年埼玉県秩父市生まれ。美術批評家。最初の評論集に『シミュレーショニズム ハウス・ミュージックと盗用芸術』(洋泉社、1991年)、ほかに『日本・現代・美術』(新潮社、1998年)、『「爆心地」の芸術』(晶文社、2002年)、『黒い太陽と赤いカニ 岡本太郎の日本』(中央公論新社、2003年)、『戦争と万博』(美術出版社、2005年)、『反アート入門』(幻冬舎、2010年)、『アウトサイダー・アート入門』(幻冬舎、2015年)、『感性は感動しない』(世界思想社、2018年)、『パンデミックとアート 2020−2023』(左右社、2024年)など多数。キュレーションを手掛けた主な展覧会に「アノーマリー」(レントゲン藝術研究所、1992年)、「日本ゼロ年」(水戸芸術館現代美術ギャラリー、1999−2000年)、「平成美術:うたかたと瓦礫(デブリ) 1989−2019」(京都市京セラ美術館、2021年)など。『後美術論』(美術出版社、2015年)で第25回吉田秀和賞、『震美術論』(美術出版社、2017年)で平成29年度芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。現在、多摩美術大学教授。

書誌情報
『末世の芸術 来たるべき無人類のために』
発行|カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社
発売|美術出版社
定価|5,300円+税
仕様|四六変/728ページ
ISBN|978- 4568105933
一般発売日|2025年12月9日(火)
購入はこちら|https://www.amazon.co.jp/dp/4568105935

美術出版社
1905年の創業以来、一貫して美術図書の出版を手掛けてきました。『美術手帖』『ワイナート』などの定期刊行物、「カラー版美術史」シリーズをはじめとする美術・デザイン・建築などの芸術全般にわたる書籍の出版、美術展のカタログ制作のほか、アートと人々をつなぐ事業を行っています。
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※美術出版社はカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社が展開する出版ブランドです。

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本件に関するお問合わせ先
カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社 
CCCアートラボ事業部 広報担当:⽊下
メールアドレス:cccal.dm@ccc.co.jp

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この企業の情報

組織名
カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社
ホームページ
https://www.ccc.co.jp/
代表者
髙橋 誉則
資本金
2,456,600 万円
上場
非上場
所在地
〒220-0012 神奈川県横浜市西区みなとみらい三丁目3番3号横浜コネクトスクエア14階
連絡先
045-522-8159

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