神戸市、スターバックス コーヒー ジャパン 株式会社(東京都品川区)、近畿大学(大阪府東大阪市)は、コーヒー豆かす等の店舗廃棄物や市内の剪定枝等の廃棄物をバイオコークス(バイオ・リサイクル燃料)化し、次世代型再生可能エネルギーとして循環利用する、地域資源循環モデルを構築するための実現可能性調査(実証実験)を平成28年12月7日(水)から実施する。
1.本件のポイント
●神戸市、スターバックス、近畿大学の産官学が一体となり、ごみ処理量の削減による“環境貢献都市KOBE”を実現するために、地域資源循環による持続可能な社会づくりを目指し、神戸市内の廃棄物を再生可能エネルギーへ変換し、地域で循環利用するための実証実験を開始します。
●神戸市内のスターバックス店舗から排出されるコーヒー豆かす、カップ等のすべての店舗廃棄物ならびに市内の剪定枝等を原料として、近畿大学開発の植物性廃棄物から製造できる次世代型固形燃料「バイオコークス」を製造します。さらに、効果的な資源の収集運搬システムの検討ならびにバイオコークス製造に係る課題の調査、今後の活用先確保に向けた検討などを行っていきます。
●この実証実験を契機に、地域内の資源循環を”見える化”することによって、神戸市民の環境意識の醸成を図ることを目指します。
2.概要
神戸市では、環境マスタープランにおいて、“環境貢献都市KOBE”の実現を謳い、基本方針のひとつである循環型都市の実現を掲げるとともに、事業系一般廃棄物排出量の削減に取り組んでいます。
これまで、神戸市は、食品廃棄物等について、既存の再生処理事業者に一般廃棄物処分業の許可を行い、肥料化、飼料化等による資源化を図ってきました。今後、市内で発生するバイオマス等の地域資源を循環させるモデルの構築を目指します。
このモデルを構築する手段のひとつとして、食品廃棄物や剪定枝・刈草等の植物性廃棄物を資源に変えるバイオコークス化及びその利用があります。その実現に向けて神戸市、ごみの3Rや省エネ、環境配慮型店舗の推進を進めてきたスターバックス、植物性廃棄物から製造できる世界初の次世代型固形燃料「バイオコークス」を活用して環境負荷低減社会を目指す近畿大学が共同して実証実験を実施します。
この実証実験により、バイオマスを地域資源として循環する取組みの実現可能性を検討し、将来的にごみ処理量やCO2排出量の削減を実現するだけでなく、この「地域資源循環モデル」を“見える化”することによって、市民の環境意識の醸成を図っていきたいと考えています。
なお、本事業は、環境省より平成28年度「二酸化炭素排出抑制対策事業等補助金(低炭素型廃棄物処理支援事業)」の採択を受けて実施いたします。
■期間:平成28年12月7日(水)~平成29年2月28日(火)
■実験内容:
・店舗における最適な廃棄物の分別方法、及び効率的な収集運搬システムの検討
・バイオマスにその他の廃棄物を混合した場合のバイオコークス製造に係る課題調査、性状分析・燃焼試験、ならびにそれに基づくバイオコークス活用先確保に向けた検討
・将来的なごみの削減量ならびにCO2排出抑制効果の検証 など
3.その他
<スターバックス コーヒー ジャパン 株式会社>
スターバックスでは、資源循環型社会の形成を目指して、様々な環境の取組みや環境配慮型店舗の推進を実施してきました。とりわけ店舗の廃棄物の多くを占めるコーヒー豆かすについては、関係事業者との連携により、平成26年3月、「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律(食品リサイクル法)」に基づく「再生利用事業計画(食品リサイクルループ)認定」※注1 を、関係三省(農林水産省、環境省、厚生労働省)より取得しました。店舗で抽出後に残るコーヒー豆かすを牛の飼料や野菜の堆肥へのリサイクルのほか、その飼料や堆肥で育てられたミルクや野菜を一部店舗でドリンク類やサンドイッチ等の原材料に利用するなど、リサイクルループの取り組みとして再生利用に積極的に努めてきました。この国内初の取組みが評価され、一般社団法人日本有機資源協会が主催する第2回食品産業もったいない大賞※注2 の「農林水産大臣賞」を株式会社メニコンと連名で受賞しました。
さらに、平成29年春の神戸メリケンパーク店の開店を機に、神戸市内の店舗から出る豆かす以外の食品残さ・紙コップ等の廃棄物も全て循環利用できる仕組み作りも検討していきたいと考えています。そして、店舗の廃棄物から製造されたバイオコークスを、将来的には再生可能エネルギーとして地域で広く循環利用できる可能性について模索していきます。
※注1 食品廃棄物等の排出者(食品関連事業者)、特定肥飼料等の製造業者(再生利用事業者)及びその利用者(農林漁業者等)が、共同して再生利用についての計画を作成し、認定を受ける制度。
※注2 地球温暖化・省エネルギー対策を促進する取組を推進するため、食品産業の持続可能な発展に向け、原材料・資源の有効利用、食品廃棄物・容器包装廃棄物・温室効果ガスの排出削減、省エネルギー対策等、顕著な実績を挙げている企業、団体及び個人を表彰。協賛は農林水産省。
食品リサイクルループ認定取得についてのHPのリンク:
http://www.starbucks.co.jp/press_release/pr2014-933.php
農水省・日本有機資源協会の「食品産業もったいない大賞」HPのリンク:
http://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/ondanka/mottai/mottai.html
http://www.jora.jp/mottainai/pdf/150212press-release.pdf
<近畿大学>
植物由来の廃棄物を燃料に変える「バイオコークス」の製造技術を用いて、今回初めて、スターバックス店舗から実際に排出される廃棄物をベースとしたバイオコークス製造及びその有効利用についての実証実験を開始します。
今後、ごみのない循環型社会を築くうえで重要となる食品残さや紙だけでなく、プラスチックなども含んだ「複合バイオマス廃棄物」をバイオコークス化することを目指して、都市における様々な廃棄物を燃料として使用する技術開発を進めます。
<バイオコークスとは>
稲わら、もみがら、間伐林、お茶かす、コーヒー豆かす及び食品残さなどの「バイオマス(再生可能な、生物由来の有機性資源(化石燃料は除く。)」を原料として製造する固形燃料で、近畿大学バイオコークス研究所 所長・教授 井田民男が平成17年に開発しました。光合成を行う植物資源等を100%原料にしているため、環境にやさしい(CO2排出量ゼロ)次世代エネルギーとして期待されています。
なお、本研究における「世界のエネルギー資源の礎となる近大バイオコークスのブランディング」事業が、平成28年(2016年)11月22日(火)に文部科学省が発表した「平成28年度 私立大学研究ブランディング事業※1」に選定されました。今後、事業期間である平成32年までの5年間、4つのテーマに則ったブランディングに取り組んでいきます。
※注1 優先課題として全学的な独自色を大きく打ち出す研究に取り組む私立大学・私立短期大学に対し、経常費・設備費・施設費を一体として重点的に支援する事業。
<環境省「二酸化炭素排出抑制対策事業等補助金(低炭素型廃棄物処理支援事業)」とは>
地域循環圏の形成、3R事業に取り組む自治体・民間団体を対象に、地域資源の循環利用及び低炭素化に資するモデル的な取組を進めるための実現可能性調査(F/S)及び同調査を踏まえた事業化計画の策定に要する経費を補助する事業。
▼本件に関する問い合わせ先
近畿大学 広報部
TEL: 06-4307-3007
FAX: 06-6727-5288
【リリース発信元】 大学プレスセンター
http://www.u-presscenter.jp/