ワールドカップ番組視聴質ナンバー1は、日本対ベルギー戦。「スポーツはライブで楽しむ」傾向は視聴質でも顕著に。セットプレーや得点後に注視が上がり、消極的なパス回しが続くと下がる
人体認識技術を用いて、テレビ視聴者の視聴態勢から「視聴質」*データを取得・提供するTVISION INSIGHTS株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:郡谷康士)は、2018年 FIFAワールドカップ 番組視聴質分析を発表しました。
TVISION INSIGHTSは、視聴質データとして、VI値(滞在度=Viewability Index)とAI値(注視度=Attention Index)を計測しています。今回のランキングでは、専念視聴の度合いを示す指標として、視聴質をVI値×AI値で算出し、数値が高い順に順位をつけています。VI値は、数値が高いほど、テレビの前の滞在人数が多く、滞在時間が長いことを示します。AI値は、数値が高いほど、画面を注視していた人数が多く、注視秒数が長いことを示します。
2018年 FIFAワールドカップ番組視聴質分析を発表しました
https://tvisioninsights.co.jp/ranking_vol_10/
<要点>
●番組別視聴質ランキングでは、日本対ベルギー戦の視聴質がトップに。属性別ではM2層が最も高い視聴質を獲得
●初戦のコロンビア戦はVI値(滞在度)が、決勝トーナメントのベルギー戦はAI値(注視度)が高い傾向に
●試合中のAI値は、セットプレーや得点後に高くなり、ハーフタイムや消極的なパス回しで低くなる傾向に
日本チームの活躍で幕を閉じた2018年FIFAワールドカップから約1カ月が経ちました。TVISION INSIGHTS (以下TVISION)では、独自に計測した視聴質データを基に「2018年 FIFAワールドカップ 番組視聴質分析」を行いました。
日本チームの「試合」中継番組と「ハイライト」番組を対象に、ワールドカップがどのように視聴者に見られていたか傾向や特徴を見ていきます。
VI値(滞在度)の高いコロンビア戦、AI値(注視度)の高いベルギー戦 番組別視聴質ランキング
2018年FIFAワールドカップは、6月14日~7月15日の約1カ月にわたってロシアで開催されました。日本チームの活躍や強豪国の敗退など番狂わせの要素も多く、当初の予想に反して大きな盛り上がりを見せました。ビデオリサーチによると、平均視聴率は日本チーム初戦のコロンビア戦で驚異の48.7%(※1)となりました。深夜に放映されたベルギー戦や決勝戦も高い視聴率となるなど、時間帯によらず「ライブで見たい」と考える視聴者が多かったようです。
では、番組ごとの視聴質はどうだったのでしょうか? トップ10までの視聴質ランキングをAI値(注視度)でランキングを作成し最も視聴質の高かったM2層について見てみました。
1~4位の上位は、日本戦または日本の属するグループHの試合で、トップ10のうち5番組がNHKの番組でした。放送時間帯は、7番組が22時台までのスタートですが、ベルギー戦や決勝戦など注目の高い番組は深夜帯でも高いAI値を示しました。ハイライト番組はランクインせず、リアルタイムの中継番組が上位を占めました。
日本戦の中で、最もVI値(滞在度)が高かったのは初戦のコロンビア戦で、最もAI値(注視度)が高かったのはベルギー戦でした。ゴールデンタイムに放送されたコロンビア戦は幅広い属性がチャンネルを合わせた一方で、深夜スタートのベルギー戦は、より狭い層が真剣に番組を注視していたことが見て取れます。
フランスやポルトガルなど強豪国の試合や、PK戦までもつれこんだスペイン-ロシア戦、接戦だったアルゼンチン-フランス戦も、高い数値を示しました。
注目は視聴質ランキング3位のセネガル-コロンビア戦です。この試合は、同8位の日本-ポーランド戦と同時間帯でしたが、セネガル-コロンビア戦の方が高いAI値となりました。この試合の結果が日本の決勝トーナメント進出に影響していたため、数値が高くなったものと考えられます。
試合中の注視度は? セットプレーや得点後に上がり、ハーフタイムやパス回しで下がる
<日本対ベルギー戦 VI値・AI値分計グラフ(M2)>
では、視聴質ナンバーワンのベルギー戦について、M2層の試合中の視聴質を見てみます。試合中ずっとAI値は2.00~2.50(平均の2倍近く)と高い数値を維持しており、中でも、両チームの得点が集中した後半が特に高くなっています。
後半スタート直後に、AI値が2.52となり、このワールドカップ全体で最も高い値となりました。その他AI値が高かったのは、後半2分の原口元気選手による
1点目の得点直後、後半28分のベルギーによる同点ゴールの後、そしての本田選手のコーナーキックなどでした。
<日本対ポーランド戦 VI値・AI値分計グラフ(M2)>
ベルギー戦に比べ、ポーランド戦の視聴質は全く違う折れ線を描いています。AI値はベルギー戦より低めで推移し全体的にVI値の方が高くなりました。VI値は後半ラスト10分に向けて上がり続け、試合終了時に最高値となりました。決勝トーナメント進出を期待してテレビをつけた人が増えたことでVI値は上昇したものの、消極的なパス回に徹した日本のプレーは盛り上がりに欠け、AI値が上がり切らなかったと考えられます。
両試合で共通しているのは、前・後半開始直後や、コーナーキックなどのセットプレー、得点シーンの「後」などでAI値が上がることでした。得点への期待の高まりや、歓声や実況の声につられて画面を注視することなどが、AI値の上昇につながったと考えられます。
一方、ハームタイムやパス回しで試合が停滞する時は、AI値も下がっています。この間に、スマートフォンでネットニュースやSNSをチェックしている人も多そうです。
データについて
■視聴質を示す数値
・VI値(滞在度=Viewability Index)
テレビの前に人が滞在している度合いを示す。数値が高いほど、テレビの前の滞在人数が多く、滞在時間が長い。
・AI値(注視度=Attention Index)
テレビ画面に人の顔が向いているかを示す。数値が高いほど、画面を注視した人数が多く、注視秒数が長い。
■データの収集方法
関東800世帯の一般視聴者宅に人体認識アルゴリズムを組み込んだセンサーを設置し、顔認証システムを用いてテレビの前に人がいるか、視聴者の表情、番組のどこで画面に注目したかといった視聴態勢を判断・計測しています。2015年6月より計測スタートし、2018年8月現在、地上波6局7チャンネルの全番組について、毎秒レベルで視聴質の計測を行っています。
■注釈
・2018年6月13日(水)~2018年7月17日(火)に放映された番組の中から、「W杯」「ワールドカップ」という単語の入った番組の中から、「試合」と「ハイライト」を抽出
・延べ接触人数が、個人全体では50人未満の番組、属性別では30人未満の番組については除外しています。
・小数点3位以下は四捨五入しています。
・AI値が同じ場合、小数点3位以下の数値の高いほうが上位にランキングされています。
・番組名はTVISIONのデータベースの登録名称であり、正式名称と異なる場合があります。
※1 出典 [視聴率データ]週間高世帯視聴率番組10
Vol.25/2018年6月18日(月)~6月24日(日)
https://www.videor.co.jp/tvrating/2018/06/11792.html
TVISIONでは、視聴質に関するニュースを様々な角度から発信していきますので、次回もご期待下さい。
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