~参加者の交流により「廃棄野菜ピクルス」販売や家業マルシェ開催などを実現~
エヌエヌ生命保険株式会社においてイノベーションに取り組む「SparkLab(以下、スパークラボ)」は、家業に関わる人のためのオンラインコミュニティ「家業エイド」を創設・運営しています。本ニュースレターでは、本コミュニティの特長や活動を通じて生まれた事例についてご紹介いたします。
「家業を継ぐ/継ぐか未定/継がない」家業持ちが助け合うコミュニティ「家業エイド」
「家業エイド」は、家業に関わる人のオンラインコミュニティです。
スパークラボの試算によると、約1000万人いる家業持ちのうち、実際に家業を継ぐ人は100万人程度。家業というと継ぐ・継がないの二択に焦点が当たりがちですが、「継がないけれども家業を支えたい」など、事業承継の枠組みにおさまらない多様な考えやニーズが家業持ちの中に存在しています。
●「家業に関わる人」ならだれでも入れるコミュニティ
事業承継に関するコミュニティは、商工会議所などでも運営されていますが、対象は「家業を継ぐ」人のみです。エヌエヌ生命のスパークラボは、「家業を継ぐ」人はもちろん、「継ぐか迷っている」人や「継がないけれども関わりたい」人、「そもそも継ぐ立場にないが家業を応援したい」人など「家業に関わる」すべての人のポテンシャルを活かせるコミュニティとして、家業エイドを立ち上げました。
●メインユーザーは「20~30代」の「継ぐか迷っている」人
現在、約500人がコミュニティに参加しており、ユーザーの6割が20~30代で、残りの4割が40~50代です。はっきりと「家業を継ぐ」と決めている人は少なく、多くの方は、「家業を継ぐか迷っている」人になります。
●ユーザーの悩みをユーザーが解決 ― 「家業」の空気感がわかるこそ
家業に関する悩みがあった際、ユーザーが投稿し、別ユーザーが答えるシステムとなっています。業種や地域が異なる場合でも家業持ちの悩みや先代(親)など周囲の方との付き合い方などは、変わらないもの。いまは家業と関わりがないユーザーも、自身の知見を活かしたアドバイスやサポートができる場として活用しています。
中には、ユーザー投稿をきっかけにイベント実施や異業種コラボレーションといった協業、事業の新展開などにつながることもあります。
ユーザー事例:高田馬場にある創業93年・日本茶店の4代目になることを決意
家業エイドでの交流が、家業を継ぐ決断に繋がったユーザーもいます。東京・高田馬場にある老舗の日本茶店を家業に持つ清水真由さんもその1人です。清水さんは長らく悩んでいましたが、今年の6月に家業を継ぐことを決意しました。実は20歳の頃に、父親から家業を継いで欲しいと言われたことがあったものの、その時は継ぐ決心ができなかったとのこと。
継ぐかどうか悩んでいるときに、同じように悩んでいる人と気軽に話し合えるコミュニティがないか探した結果、「家業エイド」に辿り着きました。
「家業エイドでは、同世代で私と同じように家業を継ぐかどうかで悩んでいる人がいたし、家業を継いだ人や家業を支援する人たちがいて、それを見ているうちに、私も継ぐことを考えました。各ユーザーが関わる家業への距離感も様々で、家業への関わり方を知ることもでき、将来を決める上でとても参考になりました」と言います。
ユーザー事例:家業エイドでの交流を通じて生まれた取り組み
●廃棄野菜で作ったピクルス【栃木県・農家】
栃木県でキュウリを主に栽培する農家の後継者である若松靖幸さんは、廃棄野菜問題を解決するためにピクルスを開発。イベントで出会ったカレー屋さんとコラボレーションし、スパイスを効かせたり、廃棄予定の香りの良い野菜を使ったりとこだわりの味を作り出しました。
●家業の一角に併設したクラフトビール工場とBar【愛媛県・アパレル×食品】
家業を継いでいないものの、間接的に家業に貢献した事例もあります。
愛媛県松山市のアパレルセレクトショップを家業に持つ山之内圭太さんは、お店の一角にクラフトビールの工場とBarを併設。家業のセレクトショップが、ビールが飲める異色のお店に変身しました。
●家業マルシェ【東京都・イベント】
京都府祇園の旅館を家業に持つ影山直毅さんは、ご自身が運営している下北沢のコワーキングスペースで、出店者を家業持ちの方に限定したイベント「家業マルシェ」を開催。開放感溢れる環境で、オンライン・オフラインの垣根を超えた交流が行われました。
●参加者・運営メンバーの知見を借り、クラウドファンディングに挑戦【山口県/愛知県・食品】
山口県の老舗の漬物屋を家業に持つ中野百合子さんは、新事業として考案した家庭でぬか漬けが作れる有機素材を使った「ぬか床キット」のクラウドファンディング(CF)に挑戦。CFのコンサルテーションができる運営スタッフや愛知県豊橋市で室町時代から続く種麹メーカーを家業に持つ村井裕一郎さんにアドバイスをもらいながら、内容をブラッシュアップしました。結果、目標金額の500%超の額を集めることができました。
●家業クロストーク【東京都・食品】
東京都高田馬場にあるお茶屋さんを家業に持つ清水真由さんと東京都府中市のお米屋さんを家業に持つ小澤佳奈さんは、イベントで出会い、どちらの家業も専門店でお互いの父親が3代目で同世代であることから意気投合。お互いのお店を訪問し合い、ご両親にお話を聞きました。父と娘の関係では深く聞けなかったことや、これまで当たり前だと感じ違和感を持っていなかったことを第三者から聞いてもらうことができ、家業の歴史や家業が属している業界ならではの商流について知るきっかけにもなったそうです。
運営者コメント:家業を継ぐ予定の方はもちろん、継ぐかわからない・継がない人もぜひ参加を
私も家業持ちなのですが、家業エイドの「継がなくてもできることがある」というコンセプトに触れたことが、家業について考え直すきっかけになりました。ユーザーからもそういった声をいただくことも少なくありません。
家業に対して多様な“距離感”を持った人たちと意見を交わす交流の中から、家業に魅力を感じてくれる人が1人でも増えれば嬉しいです。
「家業エイド」運営 稲木元昭
家業エイドURL: https://www.nnlife.co.jp/sparklab/kagyo-aid
【エヌエヌ生命とは】
オランダにルーツを持ち、175年におよぶ伝統を誇るNNグループの一員です。エヌエヌ生命は、1986年に日本で初めてのヨーロッパ生まれの生命保険会社として営業を開始して以来、30年以上にわたり、中小企業の”大切なもの”を共に守る商品やサービスをご提供しています。