公立病院経営強化プラン策定を支援するメディカル・データ・ビジョン株式会社(東京都千代田区、代表取締役社長:岩崎博之)が、公立病院にアンケートを実施したところ、「コロナ補助金がなくても、経常収支黒字を達成していますか?」との質問に「はい」と回答した病院は13%で、87%の公立病院が厳しい経営状態を認識していることが分かりましたので、お知らせします。
このアンケートは、総務省が持続可能な地域医療提供体制を確保するために、都道府県を通じて各公立病院に策定を求めている「公立病院経営強化プラン(以下「同プラン」)」の策定状況を聞いたもので、2022年8月24日から全国の公立病院を対象にウェブを通じて実施、10月31日までの回答数は112病院でした。
アンケートでは、「コロナ補助金がなくても、経常収支黒字を達成していますか?」との質問を「はい」または「いいえ」で聞いたところ、「いいえ」と回答した病院が87%で、9割近い病院が厳しい経営状態を認識していました。新型コロナウイルスの病床を確保した医療機関に支払われる補助金などのいわゆるコロナ補助金の見直しの可能性が高まる中、各病院がどのように黒字を達成するか、同プランの策定などを通じて、具体的に計画する必要性が高まっている状況であることが分かりました(グラフ上段)。
■同プラン策定は8割近くが”これから“
同プランの策定開始時期を聞く質問に対しては、「未定・検討中」が28%で最も多く、「すでに開始している」が22%、「2022年10月~12月」(16%)、「2023年1~3月」(同)などといった順番になりました(グラフ下段)。
各公立病院は同プランを2022年度または2023年度に策定することを求められていますが、8割近い病院がこれからプラン策定を予定していることが分かりました。
■「再編」「建て替え」「経営形態の見直し」いずれか一つでも検討している病院は42%
また、「病院の『再編』『建て替え』『経営形態の見直し』のいずれか一つでも検討していますか?」との質問に対しては、42%の病院が「はい」と回答しましたが、そのうち、プラン策定を「すてに開始している」と回答した病院は17%に留まりました。これに対し、総務省経営・財務マネジメント強化事業アドバイザーを務める、あすの監査法人パートナー・公認会計士の山岡輝之氏は、「病院の『再編』『建て替え』『経営形態の見直し』は、いずれも担当者に豊富な知識や経験が求められるもので、長期間にわたって取り組む必要があります。さらに、アフターコロナや第8次医療計画への対応を見据え、公立病院の経営は大きな転換点を迎えており、難易度が高まっています。そのような中で、これらの取り組みを検討している病院は、経営強化プラン策定に丸2年かかる場合もあるため、いち早く着手し、経営強化につながる生きたプラン策定・実行につなげてほしいです」と話しました。
山岡 輝之 氏