- 売上高および業績目標を達成:2022年の売上高は884億ユーロ、支払金利前税引前利益(EBIT)は37億ユーロに到達
- ロバート・ボッシュGmbH取締役会会長のシュテファン・ハルトゥング:「最も重要なことは、クライメートアクションには国際協力が必要だということです」
- ロバート・ボッシュGmbH取締役会副会長のクリスティアン・フィッシャー:「エネルギーシステムの変革は手頃な価格でなければなりません」
- 財務担当取締役のマルクス・フォーシュナー:「ボッシュは厳しい環境下においても年間目標を達成しました」
- 人事労使関係担当ディレクターのフィリズ・アルブレヒト:「ボッシュのソフトウェア開発に携わる従業員数は、近いうちに5万人を超える見込みです」
シュトゥットガルト(ドイツ) – グローバル規模で革新的なテクノロジーとサービスを提供するボッシュは2022年、厳しいマクロ経済状況下においても売上高と業績を伸ばしました。暫定決算報告(※1)によると、ボッシュ・グループの総売上高は884億ユーロとなりました。売上高は前年比約12%増、為替調整後では約10%増となりました。支払金利前税引前利益(EBIT)は37億ユーロに達し、支払金利前税引前利益率は約4%となる見込みです。「2022年度は厳しい状況下にありましたが、ボッシュが驚異的な技術革新力を有すると同時に、危機に強いことが改めて証明されました」と、ロバート・ボッシュGmbH取締役会会長であるシュテファン・ハルトゥングは暫定決算報告の発表に際して述べています。「依然として厳しい環境の中で、私たちは的を絞った投資と国際的なプレゼンスの拡大により、世界中で成長の機会を確保しています。私たちは世界中の人々に『Invented for life』を体現するテクノロジーを提供し、気候に優しい暖房から省エネや持続可能なモビリティに至るまで、社会に有意義な貢献をしたいと考えています」
ボッシュは最近、中国の蘇州にあるエンジニアリング・製造センターに10年間で約9億5,000万ユーロを投資することを発表しました。同センターでは、電動化と自動化の分野で現地市場の需要に応えて特別に設計されるモビリティソリューションと製品を開発する予定です。同時に、ボッシュはハイテク拠点としての欧州の地位を高めることに貢献しています。「代表的な例は、ドレスデンとロイトリンゲンにあるウエハ製造工場の拡張です」とハルトゥングは述べています。「2026年までの数年間で、ボッシュはさらに30億ユーロを半導体事業に投資する予定です。これは、モビリティ分野における半導体不足の緩和にも貢献します」。ボッシュはまた、エジプト、インド、メキシコ、米国、ベトナムを含む各地において、グローバルな事業拡大にもさらに注力する予定です。
国際貿易:繁栄とクライメートアクションに不可欠な協力
ボッシュでは、特にネットワーク化、自動化および電動化によってもたらされる市場と技術環境の変化は、持続可能性の重要性の高まりとともに、今後数年間の成長の原動力になると捉えています。またASEAN諸国などの新興地域における需要増加は、さらなる市場の成長につながります。このような背景からハルトゥングは、ボッシュが経済およびエネルギー政策の状況において有利な立場にあると考えています。しかし、インフレを引き起こすエネルギー不足は消費に悪影響を及ぼし、ひいては長期的には通貨の安定に悪影響を及ぼす可能性があります。このため、ハルトゥングは中央銀行による金融引き締め政策の導入を歓迎しましたが、同時に世界的な経済圏の形成に対して警鐘を鳴らしました。「経済システムの断片化は、技術革新力とすべての人の繁栄を脅かします」とハルトゥングは語り、「最も重要なことは、クライメートアクションには国際協力が必要だということです」と続けました。
ハルトゥングは、再生可能エネルギーのさらなる発展が、環境と経済の持続可能性という、相反する目標を解決する方法であると考えています。「エネルギーシステムの変革においては、手頃な価格を維持する必要があり、企業や家庭への電力供給停止につながることがあってはなりません。また、化石燃料の使用は可能な限り避けるべきです」。ボッシュはその一翼を担い、燃料電池と水素技術のペースを加速していると語っています。「eモビリティに関しては、一貫して高い受注を記録しています」とハルトゥングは述べました。その結果、ボッシュは早ければ2026年までにこのセグメントで60億ユーロの売上高を記録することを見込んでいます。中国では今年、eAxleとモーターの事業が黒字化する見込みです。
クライメートニュートラル技術:需要を駆り立てるエネルギー危機
さまざまな課題があるにもかかわらず、エネルギーおよび気候危機により、クライメートニュートラル技術に対する世界的な需要が高まっています。これにより、ボッシュにもさまざまな新しい展望が開かれており、家庭向け製品の売上高はすでに200億ユーロ以上となっています。「ボッシュの製品ポートフォリオにより、家庭でのエネルギー消費の約90%にプラスの影響を与えることができます」と、ロバート・ボッシュGmbH取締役会副会長であり、消費財およびエネルギー・ビルディングテクノロジー事業セクターの責任者も務めるクリスティアン・フィッシャーは語っています。「このうち85%は暖房と給湯に関連し、15%は家電製品に関するものです」。2022年、ボッシュはドイツにおけるヒートポンプの販売台数を50%増に拡大しました。欧州のヒートポンプ市場は今後2025年にかけて年率25~35%、ボッシュでは40%近い成長が見込まれており、市場シェアを獲得する機会が潜在しています。そのために、ボッシュは欧州でのヒートポンプの製造能力を拡大しており、今年の初めからドイツのアイベルスハウゼンの生産施設の増強を進めています。ボッシュはエネルギーシステムの変革にさらなる成長の可能性があると考えています。「しかし、この変革は手頃な価格でなければなりません」と、フィッシャーは述べます。「建物では、改修と補強のコストを過小評価すべきではありません」。ボッシュがヒートポンプとガスボイラーからなるハイブリッドサーモテクノロジーに注目しているのは、このためです。フィッシャーは将来、車両と建物のエネルギーの流れを組み合わせて最適化することで、さらなる可能性が生まれると考えており、「私たちは自転車から油圧機器まで、あらゆるものを電動化しており、車両はもちろん建物にも精通しています」と述べました。
雇用主の魅力:持続可能性は熟練労働者を引きつける
ボッシュはまた、2022年度における独自の持続可能性目標と気候目標の実施においても前進を遂げ、この1年間で電力消費量に占める再生可能エネルギーの割合を89%から94%に引き上げました。「2022年には、2030年の目標として設定した1.7テラワット時の省エネ目標の半分近くを達成しました」と、ロバート・ボッシュGmbH取締役会メンバー兼人事労使関係担当ディレクターであり、持続可能性の責任者でもあるフィリズ・アルブレヒトは述べています。「同時に、持続可能性へのコミットメントにより、ボッシュはより魅力的な雇用主となっています」。アルブレヒトによれば、ボッシュの持続可能性戦略は、求職者にとってますます重要な考慮事項になっています。熟練労働者が不足している現在、世界中で優秀な人材を見つけることがボッシュにとってもより困難になっている、とアルブレヒトは語り、ソフトウェアの専門家を獲得する競争において、インドの重要性が増していることを指摘しています。ボッシュはそうした従業員をインドだけで17,000人擁し、グローバル全体では38,000人から44,000人に増加しています。ソフトウェア開発者の需要は依然として高いままで、ボッシュは2020年代半ばまでに約1万人の増員を予定しています。「ボッシュのソフトウェア開発に携わる従業員数は、近いうちに5万人を超える見込みです」とアルブレヒトは述べています。ボッシュ・グループは組み立てラインにおける従業員のデジタルスキルの開発にも取り組んでいます。たとえば今年は、モビリティ ソリューションズ事業セクターの取り組みである「LernWerk」という取り組みが開始されます。最初の目標は、ドイツのすべての拠点において「未来の工場」で働くために必要なスキルを向上させることです。
2022年の業績状況:モビリティ事業が最高の売上成長を記録
「半導体不足と景気低迷にもかかわらず、すべての事業セクターが売上高を伸ばすことができました」と、ロバート・ボッシュGmbH取締役会メンバー兼財務担当取締役であるマルクス・フォーシュナー は述べています。2022年に526億ユーロの売上高を記録したモビリティ ソリューションズは、再び最大の売上高を生み出した事業セクターとなりました。売上高は17%の増加で、為替調整後は12%増となりました。「当社の売上高が自動車生産台数を上回るペースで成長したことを、喜ばしく思います」と、フォーシュナーは述べています。しかし、ボッシュは収益力に満足しておらず、サプライチェーン全体にわたるコストの増加とモビリティ事業の変革に向けた先行投資により、利益率が圧迫されたとフォーシュナーは述べています。産業機器テクノロジー事業セクターの売上高は14%増の69億ユーロに達しました。為替調整後の成長率は11%です。フォーシュナーは、HydraForce社の買収とElmo社の取得は、ボッシュの産業機器テクノロジー事業にとって重要なマイルストーンであると述べています。消費財事業セクターは、消費者が家電製品や電動工具の買い控えが顕著だったにもかかわらず、売上高をわずかに伸ばすことができたとフォーシュナーは説明します。同セクターの売上高は2%増の215億ユーロに達し、為替調整後では3%増となりました。一方、エネルギー・ビルディングテクノロジー事業セクターの成長は、エネルギー効率の高い住宅およびビルディングテクノロジーに対する需要の高まりが継続したことを反映しています。フォーシュナーは、売上高が15%増の70億ユーロに増加したと報告しています。為替調整後は13%増となりました。
2022年の業績状況:下半期のより強い成長
「心強いことに、すべての地域で売上高を大きく伸ばしました」と、フォーシュナーは述べ、「特に2022年下半期に力強い成長が見られました」と続けました。欧州の売上高は8%増の448億ユーロに達し、為替調整後では10%増となりました。「欧州の成長はウクライナでの戦争とその影響により、他の地域よりも大きな打撃を受けました」と、フォーシュナーは述べています。北米の売上高は25%増の143億ユーロとなりました。為替調整後の売上高は11%増で、ボッシュ・グループの全地域の中で2番目に大きな売上高の伸びを見せました。フォーシュナーは、ボッシュの暖房および空調ソリューション事業の発展が特に目覚ましいと報告しています。南米の売上高は30%増の18億ユーロとなり、他のどの地域よりも速く伸び、為替調整後では21%増となりました。フォーシュナーが指摘するように「強い経済がこの成長の大きな要因」でした。アジア太平洋地域の売上高は12%増の275億ユーロで、為替調整後は8%増となりました。フォーシュナーによると、この地域はインドの力強い成長の恩恵を受けました。対照的に、中国では新型コロナウイルス政策の変更により、年末の事業の発展が鈍化しました。
2022年の従業員数の推移:従業員は約18,000人増加
2022年12月31日時点で、ボッシュ・グループの総従業員数は全世界あわせて約42万300人でした。これは前年から約18,400人、およそ4%増加したことになります。ドイツ国内の従業員数は2,600人増の133,400人でした。「この全体の増加の約半分は、研究開発に携わる従業員によるものです」と、フォーシュナーは説明します。この分野の従業員数は84,800人で、そのうち44,000人がソフトウェア開発者です。
2023年の展望:世界の景気回復の勢いが鈍化
ボッシュは景気後退を見込んでおり、今年の世界経済の成長率は2%未満になると予想しています。「世界のビジネス環境はすでに経済的負担を反映しています」と、フォーシュナーは語っています。「金利の上昇が、投資、特に建設活動と個人消費を圧迫しています」。欧州では、一旦低下したエネルギーコストが著しく上昇しているため、この傾向がさらに強まっています。一方、中国ではゼロコロナ政策の終了に伴い、大規模な感染の波が沈静化した後で回復プロセスが始まると見られています。フォーシュナーによれば、ボッシュは重要なセクターでの景気後退を感じており、バリュー チェーンにおいて継続的なコスト圧力がかかると予想しています。それと同時に、将来のテクノロジーの成長に必要な資金を調達するために、多額の資本を投入する必要があります。「ボッシュのような革新的な企業は、多額の先行投資を行う必要があります」と述べました。ボッシュは2023年を通じて売上高を増やし、収益力をさらに改善することを目指しているとフォーシュナーは続けました。「ボッシュは少なくとも長期的な目標である利益率7%以上の達成に向けて順調に進んでいます」とフォーシュナーは言いました。「こうした経済的に厳しい状況において、私たちは収益力と財務力を維持しながら、投資と買収の可能性も視野に入れ、バランスを保っていきます」
※1 内部報告に基づく。後日発表される年次報告書の外部の数値とは異なる場合があります。