北里大学大村智記念研究所の浅見行弘教授らの研究グループが国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の令和2年度「ウイルス等感染症対策技術開発事業」で開発した新型コロナウイルス全自動多検体処理PCR検査装置が、株式会社TRIBに導入され、2023年10月2日に実稼働が開始されました。
この検査装置は、国産の機器・試薬・消耗品での検査体制構築を目的に開発され、大量処理を高感度に24時間稼働で行うことができるPCR測定装置です。新型コロナウイルス感染症の終息が見えない中、海外製品に頼らない検査体制を実現した本研究成果は、新型コロナウイルス感染症に留まらず、今後、新たなウイルスによる感染症の対策に大きく寄与することが期待されます。
■本検査装置の特長
・シングル法もしくはプール法による多検体検査(検体処理能力は最大13,000検体/日)
・24時間稼働可能な全自動検査システム
・国産の検査装置・試薬・消耗品での検査体制
■研究開発の経緯
2021年当時、新型コロナウイルスは世界的規模で第3波が流行し、我が国にとって大量の検体検査と処理時間の短縮を両立する検査システムの開発、さらに検体リソースを海外に依存しない体制構築は急務でした。こうした背景を元に、同年、日本医療研究開発機構(AMED)が公募した新しい検査手法やシステム等の確立を目的とする開発・実証研究支援に採択され、北里大学(設置法人:学校法人北里研究所)、東洋紡株式会社、株式会社椿本チエインの3者の技術を融合したプール法(※1)を採用した全自動の多検体検査装置が開発されました。
この装置を社会実装し検査体制構築を図るため、株式会社TRIBは、新検査棟の建築や実運用に向けた装置の改修、周辺機器の導入整備などを独自に進め、この度、実際に稼働する運びとなりました。
(※1)感染症の検査手法の一つで、特に新型コロナウイルス(COVID-19)のような感染症の大規模なスクリーニングを効率的に行う際に活用される方法。
■日本医療研究開発機構(AMED)研究開発課題
【事業名(分野)】
令和2年度 ウイルス等感染症対策技術開発事業
(早期・大量の感染症検査の実現に向けて、新しい検査手法やシステム等の確立を目的とする開発・実証研究)
【研究開発課題名】
多検体検査を可能にする次世代型オートメーション技術を利用した画期的な新型コロナウイルス検査法の確立
【研究開発代表者】
北里大学大村智記念研究所 教授 浅見行弘
【共同研究機関名】
東洋紡株式会社、株式会社椿本チエイン
【研究開発実施期間】
2020年12月~2021年8月
■株式会社TRIBについて
2020年4月に設立された株式会社TRIB 生命情報医学研究所(東京都中央区、代表取締役社長:高部忠雄)は、所沢labを拠点とし遺伝子検査を中心とした衛生検査所で、人々の健康を目指すために「疾病の早期発見、早期治療を可能にする」「今の身体の状態を知る事で症状の重症化を防ぐ」臨床検査事業や検査キット開発などの領域で医療支援を推進し、新たな生命情報医学の研究開発に挑戦しています。(URL:
https://trh-trib.co.jp/)
■問い合わせ先
【研究に関すること】
北里大学大村智記念研究所
教授 浅見行弘
e-mail:yasami@lisci.kitasato-u.ac.jp
【取材に関すること】
学校法人北里研究所 総務部広報課
〒108-8641東京都港区白金5-9-1 TEL:03-5791-6422 FAX:03-3444-2530
e-mail:kohoh@kitasato-u.ac.jp
【リリース発信元】 大学プレスセンター
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