【続報】大学・高校が発行するPDF形式の成績証明書や在学証明書等を“信頼できるデジタル証明”として扱う実証で成果
宇都宮大学と共同で、学校現場でも導入しやすい仕組みを確認
公益財団法人 日本英語検定協会(以下、英検協会)は、国立大学法人 宇都宮大学と共同で、大学・高校が発行するPDF形式の証明書を、改ざんを防ぐ“信頼できるデジタル証明(Verifiable Credential:VC)”として扱えるかを確認しました。今回の実証を通じ、現場の既存運用を大きく変更することなく導入できる見通しが得られ、教育機関における証明書業務のデジタル化(紙の書類のやり取りを減らしつつ、信頼性を保った安全なオンライン提出の環境づくり)が進むことが期待されます。
本件は、2025年6月2日に公表した「生涯学習プラットフォーム」開発協定※の続報です。
※参考:日本英語検定協会と宇都宮大学が「生涯学習プラットフォーム(商標登録出願中)」の開発に関する協定を締結
(https://www.eiken.or.jp/association/info/2025/pdf/20250602_info_ds.pdf)
【実証実験の内容】
英検協会と宇都宮大学の職員が大学・高校の実際の運用を想定し、学生や教職員の立場を模して次の検証を行いました。
成績証明書や卒業証明書を、紙ではなく改ざん検知機能付きのデジタル証明として発行・提出。
受け取る側がオンラインで真正性(正しいものかどうか)を確認できることを確認しました。
「非閲覧制御」とは、生徒本人が自分の調査書を見られないようにする仕組みです。
従来の紙では封印して渡していましたが、これをデジタル上で安全に再現しました。
これにより、秘匿性を保ちながらオンライン提出が可能になります。
PDFの文字を自動で読み取り、大学側での入力作業や確認作業を減らす仕組みを検証しました。
紙の調査書でもこの仕組みを使えば、スキャンだけでデータ化できます。
英検のデジタル証明と出願システム連携技術(大学入試出願連携サービス)の実績を基盤にした、公的証明の自動検証への展望を確認しました。
【実証で確認された主なメリット】
今回の実証実験で確認できたサービスを「大学入試出願」「大学の証明書の発行」へ導入することで、以下のようなメリットが見込めます。
■大学入試出願書類のデジタル化
• 非閲覧制限を保ったままデジタルで完結でき、手続き上の不安を抑えることができます。
■大学の在学生・卒業生の証明書発行の利便性向上
• 在学生が各種証明書に必要な際に即座にアクセスすることが可能となります。
• 卒業生が証明書発行のため大学へ来学したり、必要書類を郵送したりする必要がなくなります。
また今後、「生涯学習プラットフォーム」の実装が実現すれば、受験生や高校・大学関係者の方々にとっては以下のような利便性向上が見込めます。今後更なる検証を重ね、その実現を目指していきます。
■受験生・保護者のみなさま
・証明書をまとめて管理することができ、大学入試の出願準備が容易になります。
■高校・大学のみなさま(教務・進路指導・管理職の方々)
・紙出力を前提としない提出が可能になり、高校・大学で作成する書類の封緘・郵送の手順を抑制できます。
・本人への非閲覧制御をシステム側で担保するため、秘匿性を保ったまま安全に発行・提出できます。
【今後の英検協会のねらい】
英検協会は、今回の宇都宮大学との実証実験を皮切りに、全国の高校・大学・出願システム事業者と連携し、教育現場に負担をかけない導入を目指します。
それにあたり、次のような仕組みを開発・特許出願中です。
・W3C VC準拠設計:国際標準に基づく改ざん検知・真正性確認の自動化。
・ゼロ改修導入設計:既存のPDF出力運用を維持しながら最小限の変更で導入可能。
・非閲覧制御技術:本人が閲覧できない書類のアクセス制御を技術的に実装。
・OCR(文字読み取り)による自動データ化:紙・スキャンPDFから機械可読なデータを生成。
・マイウォレット連携:学習者が証明書を一元管理し、進学・就職・奨学金等で活用可能。
また、具体的には以下の活動をさらに進めてまいります。
1. 先行導入校(高校・大学)の募集・共同検討:実際の運用に近い形で、導入手順や運用ルールを整理します。
2. 出願プラットフォームとの連携拡大:大学入試や資格出願など、さまざまな手続きの一元管理化を目指します。
3. 標準化・ガイドラインの整備:教育現場で安心して利用できるよう、非閲覧制御や保管・提出・監査の標準ルールを検討します。
【コメント】
■公益財団法人 日本英語検定協会より
英検協会は、教育現場での書類手続きをより安全・効率的にするため、デジタル技術を実際の学校運営に活かす取り組みを進めています。
今回の実証は、誰にとってもわかりやすく、安全で便利な仕組みを整える第一歩です。
■宇都宮大学より
宇都宮大学は、本サービスによって本学在学生や卒業生、そして受験生の利便性が高まり、入学前、在学中、卒業後にわたる一貫したサービスの提供が実現されること、本学に入学した学生/学修者が、自らの学修履歴を必要な時に手軽に直ちに参照し証明する手段を得ることで、就職活動や卒業後のキャリアにおいて、学修成果が遺憾なく発揮され自己実現につながることを期待し、英検協会との実証実験に取り組んでおり、紙の前提と秘匿性の取り扱いという従来の課題に対し、安全性に配慮したデジタル提出という選択肢の実現に向けて検討を進めてまいります。
※ 「生涯学習プラットフォーム」、「生涯学習アカウント」、「英検」及びそのロゴは、公益財団法人 日本英語検定協会の登録商標または商標です。
本件に関するお問い合わせ先
・公益財団法人 日本英語検定協会 広報担当(kouhou21@eiken.or.jp)
・国立大学法人 宇都宮大学 企画総務部企画総務課(kkikaku@a.utsunomiya-u.ac.jp)
