一橋大学と日本デザイン振興会、デザイン組織KPI調査の第5回調査を実施

公益財団法人日本デザイン振興会

2026年5月20日
公益財団法人日本デザイン振興会
国立大学法人一橋大学
 
国立大学法人一橋大学(所在地:東京都国立市、以下:一橋大学)と、公益財団法人日本デザイン振興会(所在地:東京都港区、以下:JDP)は共同で、日本の大企業の社内デザイン組織の活動や成果を共通の視点で量的に評価する、「デザイン組織KPI調査(通称:D-KPI、以下:D-KPI調査)」の第5回を実施しました。

<調査実施の背景>
日本では、大企業を中心に、社内にデザイナーを雇用する制度(インハウスデザイナーの制度)が普及していますが、そのような社内デザイン組織(デザイン部など)は、他の部門・部署と職能が大きく違うために、組織活動の成果が量的に評価しにくいという課題を抱えています。このようなインハウスデザイン組織活動評価の難しさは、デザイナー人材の雇用や処遇、あるいは企業経営に対するデザイン機能の事業貢献の計測評価という観点とも深く関係しています。このような課題を解決しデザイン経営を促進していくためには、企業を横断する形で、デザイン組織の活動を共通の視点で量的に評価する手法の開発が求められます。
一橋大学は、「データ・デザイン研究センター(DDRC)」において、この問題を解決するために、これまで6年にわたり研究を重ね、D-KPI調査を実施し公表してきました。2024年度からはJDPと協働連携に係る覚書を締結し、D-KPI調査を共同で推進しています。

<調査の概要>
D-KPI調査では、社内デザイン部門・組織(インハウスデザイン組織)をもつ国内企業を対象に、同組織の貢献を可視化することで、企業間で量的に比較検討するための主要指標(Key Performance Indicators: KPI)として特定することを目指しています。
具体的な手法としては、インハウスデザイン組織のパフォーマンスについて、社内のステークホルダーへアンケート調査を実施し、その結果を分析します。これまで、2022年から2025年にかけて4回実施し、延べ80社が参加しました。

<企業のデザイン部門のステークホルダー(例)>
 
 

<これまでの調査結果について>
これまでのD-KPI調査を通じて、デザイン組織KPIの候補として「対応力、スピード、信頼、コスト」「ブランド力の向上」「提案力、情報提供」「商品価値向上」「知財」「インナーブランディング」「ユーザーコミュニケーション」の7つの成分を安定的に導出し、それを用いた重回帰分析でも有意に総合満足度を予測することが確認されています。

※過去3回の分析結果をまとめた論文は以下のリンクにあります。
https://www.rieti.go.jp/jp/publications/summary/24110006.html

<第5回調査について>
1. スケジュール

2026年1〜6月   アンケート調査の実施
2026年春頃   速報の取りまとめと参加企業へのフィードバック
2026年夏〜秋頃 総合分析結果と個社分析結果の取りまとめと参加企業へのフィードバック

2. アンケート調査の内容
参加企業が社内のステークホルダーを調査対象者として選定し、インハウスデザイン組織の直近1年間の活動に関して総合的な満足度のアンケート調査を実施。その調査結果を多変量解析(※)や人工知能による分析などの量的手法で分析します。(設問数は全20問)。
(※)複数のデータの関連性を明らかにし、データの要約や予測を行う統計的手法。

3. 参加費用
無料

第5回調査では、国内大手企業23社が参加を表明し、現時点では17社が調査を実施。この17社の結果をもとに「速報」をまとめました。今回も例年同様のKPI成分が統計的に導出され、経年的な変化が計測可能な環境が整いました。またデザイン組織の「提案力・情報提供」の重要性が際立つ傾向が見られております。
また、過去4回のデータを詳細に分析した結果、その企業の財務パフォーマンスと相関があることが判明し、すでに論文で公表もしました。デザイン組織の「提案力・情報提供」成分が高水準である企業ほどその企業の翌年の自己資本利益率(ROE)が高水準になることが統計的に示されました。
(Washida, Y., & Higo, A. (2026). How In-House Design Organizations’ KPIs Affect ROE in Japanese Large Corporations. Quarterly Journal of Marketing. Vol.46. No.4.)
https://doi.org/10.7222/marketing.2026.031

両者は、社内デザイン組織を持つ企業にとって、新たな量的経営指標として広く活用可能なデータを蓄積していくことを今後も目指していきます。

 
一橋大学「データ・デザイン研究センター」について
⼀橋⼤学(東京都国⽴市)が、2019年に経営管理研究科内に設置した研究組織であり、デザイン経営やデータ・サイエンスを含む情報学に関する教育プログラムの開発並びに当該分野に関する研究活動を⾏っています。
https://hddrc.net/

公益財団法人日本デザイン振興会(JDP)について
日本デザイン振興会(JDP)は、1969年の設立以来、50年以上にわたり日本のデザイン振興活動を行う国内唯一の組織です。世界有数のデザイン賞である「グッドデザイン賞」の運営を通して、社会におけるデザインへの理解を促進するとともに、新しい領域における「よいデザイン」を探求し続けています。さらに、さまざまな人や組織、機関と連携し、国内外の幅広い分野にデザインの力を届けることで、よりよい社会への変革を目指しています。
パーパス「デザインを、一人ひとりの力に。」(2023年策定)を社会に実現するために、2030年までに実行する目標の一つとして「DESIGN INSTITUTE(デザインを探求する)」を掲げ、それを構成する取り組みとして、デザイン分野の人材の育成や調査研究の実施・支援を行っています。
https://www.jidp.or.jp/

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