ガザ:世界の医療団はパレスチナ市民に対する暴力を強く非難します
ナクバの日から70年。世界の医療団は16年以上にわたって活動するパレスチナ・ガザ地区のパレスチナ市民に対するイスラエルによる暴力を非難します。パレスチナ市民は自らの権利を取り戻すため、3月30日からガザ地区とイスラエルの境界線付近においてデモを行っています。
(2018年5月14日、パリ)1948年から49年にかけて、約75万人のパレスチナ人が土地を追われたナクバの日から70年、ガザ地区のパレスチナ人によるデモは毎週金曜日に行われ、すでに7回を数えました。人々は、UNRWAによって難民とみなされた530万人の帰還する権利と彼らの基本的権利の尊重を、主張しています。
イスラエル軍の武力による鎮圧行動によって、これら市民デモに参加した人々は深い悲しみに沈みました。今週月曜日の時点において、すでに80人近くのパレスチナ人が犠牲になり、8,500人以上が負傷しました。ガザ地区、ヨルダン川西岸地区において、今現在行われているこれらのデモの更なる最悪の事態が懸念されます。
人々の健康や医療インフラも同様に、イスラエルによる攻撃の標的となりました。169人の医療従事者が負傷し、19台の救急車がダメージを受けました。ガザの医療システムは必要不可欠である医薬品の不足に直面しており、負傷者を治療するための手段も十分ではありません。OCHAによると、これまでに診たケースへの治療のため148種類の医薬品を必要としていますが、現状、ガザではその3分の1も手に入れることができません。
この悲劇的な状況は、ガザで暮らすパレスチナ人にとって新しいことではありません。11年の間に彼らはイスラエルとの3度の戦争を経験し、陸、空、海からの封鎖の中で生きてきました。集団罰とも呼ばれるこの封鎖は、パレスチナ人の命や健康に直接の影響を与え、治療や医薬品、飲料水、食糧、電気、自由な移動へのアクセスの障壁となっています。
世界の医療団フランス国際事業部長ジャン・フランソワ・コルティ医師は話します。
「電気は1日に数時間しかありません。医薬品や医療機器を持ち込むこと、また、患者を適切な医療施設に紹介することは困難です。封鎖は人々の健康に悲劇的な影響をもたらします。この野外刑務所ともいえる中にあるガザの人々への非人道的な罰は、非難されなければなりません」
イスラエルによる度を越した行為を被る場所は、ガザ地区だけではありません。ヨルダン川西岸地区や東エルサレムでも1967年から占領が始まりました。現在、150の入植地に60万人の入植者がいます。2016年12月23日、安保理は国連安保理決議2334を採択、イスラエルによる占領の「即時停止」を強く求めました。
世界の医療団フランスは、ガザ地区とヨルダン川西岸地区にて、日々この壊滅的な状況にあるパレスチナ人被害者に出会い、治療し、活動しています。また、現在ガザ地区において、緊急事態に対応するための医療施設を準備しています。ナーブルス県においては、イスラエル軍と入植者の暴力によって引き起こされた精神的な苦しみやストレスからの回復を支援する活動を行っています。
世界の医療団は、イスラエル当局に対し国際人道法違反の是正を強く要求すべく、国際社会へ次のように呼びかけています。
・民間人に対する過度の武器使用の停止
・命、健康、そしてパレスチナ人のデモの権利に対する妨害を終わらせること
・東エルサレム、ヨルダン川西岸の占領を終わりにし、ガザ地区の封鎖を無条件で解くこと
最後に、ガザ地区境界線で発生した事件のすべてを明らかにするため、独立性かつ透明性のある国際的な調査を実施することを求めます。