関西大学システム理工学部の谷 弘詞教授は、住友ゴム工業株式会社と共同して、タイヤの内面に取り付け可能な摩擦発電機の開発に取り組んでいます。このたびタイヤの回転に伴う振動を利用して、ワイヤレス信号を送ることが可能な電力を生み出す摩擦発電機の開発に成功しました。
【本件のポイント】
・ゴム、フィルムをベースにした柔軟で軽量な摩擦発電機をタイヤの内面に取り付ける
・タイヤの回転に伴う接地面の変形により、発電素子が効率よく電力を発生させる
・発電した電力を蓄えて、センサ類やワイヤレス回路を駆動可能
谷教授らの研究グループは、摩擦により発生する静電気を利用した発電やセンサの開発に取り組んでいます。この研究成果は、靴に入れる発電インソールや種々の機械に使用されている転がり軸受の運転状態モニタリングを行うための自己発電型摩擦帯電センサなどの開発にフィードバックされています。このような摩擦帯電を活用した発電機やセンサが実用化されれば、世界的にも新規な事例となります。
開発した摩擦発電機は、ゴム、帯電フィルム、電極から成り、柔軟かつ軽量のため、大きな変形あるいは大きな衝撃を受ける場所で発電が可能であることから、タイヤの内面に取り付けてタイヤの回転によって発電する摩擦発電機の開発を目指しました。その結果、回転中のタイヤが地面と接地するタイミングで発電が行われ、ワイヤレス信号を送信可能な電力を蓄電出来ることが確認されました。
今回の開発は、タイヤ内側に取り付けるTPMS(Tire Pressure Monitoring System:タイヤ空気圧監視システム)などのセンサ類の電源供給用として応用が期待でき、将来的に電池不要で空気圧や温度、摩耗状態などをモニタ可能なタイヤの開発に貢献できるものです。
なお、本テーマは2018年10月に国立研究開発法人科学技術振興機構の研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)シーズ育成タイプFSに採択され、同機構の支援を受けながら開発を進めています。
▼本件の詳細▼
●関西大学プレスリリース
http://www.kansai-u.ac.jp/global/guide/pressrelease/2019/No28.pdf
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