三が日のテレビ視聴は過去10年間で最高値 ~コロナ禍で初めて迎えた年末年始の過ごし方~
〈今回のリリースのポイント〉
- 三が日の総世帯視聴率(HUT)※1は過去10年で最高値となり、年末年始の視聴は例年と比較して高水準だった
- コロナ禍で帰省・外出を控え、年末年始は例年以上にテレビを楽しんだ。また、10代を中心にテレビの再生視聴やオンライン動画視聴も増えた
- 例年通りではない年末年始も、定番の番組を見られて安心感を覚えた人が多かった
◇年末年始~3連休のテレビ視聴行動 三が日のHUTは過去10年で最高値
<関東地区 6-24時 総世帯視聴率(HUT) 前年同日(日付基準)と比較>
- テレビ視聴率(関東地区6-24時 総世帯視聴率)を前年の同日と比較すると、通勤・通学の多いウィークデイは前年よりやや高い推移であるのに対し、多くの人が休暇に入った12/30~1/3は前年を3~4pt程度上回った。特に1/1~3の三が日は、3日間とも過去10年間での最高値を記録する高水準だった。
*(参考)2021年になった瞬間(12/31 24:00)の推計視聴人数は、全国で5531.2万人。国民の半数がテレビの前で新しい年を迎えた。 - 昨年は、三が日とそれに続く土日(4、5日)が明けると、普段のウィークデイ並みのHUTに戻った。今年は三が日と土日が重なり、暦の上では4日から平日がスタートしたが、HUTがやや高めの水準が続いており、年末年始休暇の分散が呼びかけられた影響で、休暇明けが例年より遅い時期にずれこむ人が一定数いたことが推察される(後述の調査では休暇明けが1/5以降の人は35.6%)。また、1/7に緊急事態宣言が発出された直後の3連休は、前年の3連休をやや上回る水準だった。
- 昨年は新型コロナウイルスによる社会状況の変化・それにともなう在宅状況の変化がテレビ視聴状況に影響した。コロナ禍で初めて迎えた年末年始にも、生活者とテレビ視聴の関係の強さが改めて示された。
◇生活者の行動・意識から見える今年の年末年始の特徴
※ここからは1/3-4に行ったインターネット調査の結果から、生活者の行動・意識面のデータを紹介します。
(1) この年末年始は「帰省」「人に会う」「初詣」を我慢。制約がある中でポジティブに楽しむ気持ちも
左<今年の年末年始にしたかったができなかった/あきらめたこと(上位5):インターネット調査>
右<コロナ禍で初めて迎えた年末年始の気持ち(上位5):インターネット調査>
- この年末年始に控えた行動として、「帰省」「友人や親戚と会う」「初詣」が上位に挙がった。年末には帰省や外出の自粛の呼びかけ、GoToトラベルの中止があり、飛行機・新幹線・高速道路などの利用率が異例の低さであったことが各機関から発表されており、それらを反映した結果といえそうだ。
- コロナ禍の年末年始を生活者がどのような気持ちで過ごしたのかを確認すると、「ゆっくりすごすことができる」「家でできることを楽しむ」が、「寂しい」「残念」「ひま」といったネガティブな気持ちを上回った。様々な制限のある中迎えた年末年始ではあるものの、現状を前向きにとらえ楽しんだ人も多かったことがうかがえる。
(2)テレビをはじめ動画コンテンツの視聴増。テレビの役割は「ほっとする」「気晴らしになる」
上<年末年始のすごし方で、例年より増えたこと:インターネット調査>
下<コロナ禍における年末年始のテレビの役割(上位5)※スコアは「とても・ややそう思う」計:インターネット調査>
- 「例年より増えたこと」でみると、在宅時間は6割以上、家族と過ごす時間は約4割の人が増えたと回答している。具体的に増えた行動としては「インターネット」「テレビ(リアルタイム)」「テレビ(録画再生)」が上位となっている。また、投稿動画や動画配信サービスなどの「動画視聴」も増加し、様々なコンテンツを視聴しながら年末年始を楽しんだ人が多かったことがわかる。特に10代は他の年代に比べ、インターネットの他、録画再生、動画視聴行動も増えており、多様な行動をしていることがうかがえる。
- 今年の年末年始のテレビの役割としては「例年通りの番組を見られてほっとする」がトップ。普段とは異なることが多い中、定番の番組に安心感を覚えた人が多かったようだ。また、外出やイベントを控える中で、「気晴らし」や「家族での楽しみ」とした回答も多く、このような意識がテレビ視聴につながったといえそうだ。
<コロナ禍における年末年始のテレビの役割(上位5)※スコアは「とても・ややそう思う」計:インターネット調査>
<この年末年始における各メディアの役割・特徴:インターネット調査>
※視聴・利用が増えていたメディア;テレビ、インターネット、動画配信サービスを比較
- テレビは「身近な情報源」「生活の一部」などの項目で他に差をつけて高いスコアとなっていて、この期間も変わらず生活に溶け込んだインフラのような存在であることがうかがえる。また、「家族団らんに欠かせない」もテレビの大きな特徴である。一方、能動的に自分の知りたいことを得る役割はインターネットの強みとなっている。
- また、「気分転換・ストレス解消」「楽しい」といったエンターテインメント的要素は、テレビ、動画配信サービスともに高くなっており、生活者が多様なメディアを楽しんでいることがわかる。
- 今回のテレビのスコアを昨年5月の緊急事態宣言中の調査と比較すると、「退屈しのぎ・暇つぶし」「気分転換・ストレス解消」「接していて楽しい」が3pt以上高くなっており、テレビは余暇に気楽に楽しめるものとして、年末年始かつコロナ禍の人々の気分にマッチしたものと推察される。
新型コロナウイルスが多方面にわたり影響し、日常の風景が大きく変わった2020年。昨年4月に発出された緊急事態宣言の期間を中心に社会活動が大きく制限された後は、withコロナの社会へと変化し、それにあわせて生活者の行動や価値観も揺れ動いた1年だったといえます。感染が再拡大する中で迎えた年末年始も、例年とは異なるものになりました。楽しみにしていたことが十分にできなかった一方、自宅時間・家族時間が増加し、それにともないテレビをはじめとした各種コンテンツとともに年末年始を過ごした人が多かったことがわかりました。コロナ禍を通して、働き方や学び方も大きな転換点を迎えたように、生活者のメディアへの接し方も変化していることが読み取れるのではないでしょうか。
そして2021年、お正月が明けると関東1都3県で再び緊急事態宣言発出となりました。今年もしばらくはwithコロナ時代が続くことが予想され、また社会環境も急速に変化し続けるでしょう。ビデオリサーチは今後もメディアと生活者の変化を捉えながら、社会やメディアの発展に寄与し、皆様に貢献できるよう、考えながら努めてまいります。
(参考)年末年始に関する調査概要
- 調査手法 インターネット調査
- 調査エリア 関東1都6県
- 調査サンプル数 3,000s ※居住都県・性年代構成を人口構成に合わせて調査を実施
- 調査期間 2021年1月3日(日)-4日(月)
- 調査対象者 男女15-69歳(15歳は高校生以上)