【サステナビリティ×酪農】 NZ政府公認プロジェクト主催放牧 酪農WEBセミナー Vol.4 開催報告

フォンテラ ジャパン株式会社

生態系の営み、生物多様性と循環に根差すオーガニック酪農を目指す

ニュージーランド乳業最大手フォンテラの日本法人であるフォンテラジャパン株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:斎藤 康博)は、ニュージーランド北海道酪農協力プロジェクト主催のオンラインセミナー「放牧酪農WEBセミナーVol.4」を2022年2月21日(月)11:00‐12:30に開催致しましたことをご案内いたします。
 

 
4回目となる今回のセミナーのテーマは「オーガニック酪農と未来の畜産」。今回も業界関係者、酪農家、新規就農者等約40名に参加いただきました。フォンテラのオーガニック酪農への取組みの紹介に加え、ニュージーランドのオーガニック酪農家「BIO FARM」のキャシーさんをお迎えし、日々の農場経営から製品販売に至るまで、また、持続可能な畜産の形、現在のグローバルトレンドとなっている植物由来製品への考え、消費者や市場、若い方たちへ残せる畜産とはどういったものか等をテーマに実施しました。


■オーガニック酪農家に求められる経験に基づく「直感」と「判断」
オーガニック(有機)と聞いて何を思い浮かべるでしょうか。「安全」や「おいしい」というような言葉が思い浮かぶ方も少なくないと思います。国際的に有機農業推進活動を行っているIFOAM(国際有機農業運動連盟)は、有機農業を以下のように定義しています。

“有機農業は、土壌・自然生態系・人々の健康を持続させる農業生産システムである。それは、地域の自然生態系の営み、生物多様性と循環に根差すものであり、これに悪影響を及ぼす投入物の使用を避けて行われる。有機農業は、伝統と革新と科学を結び付け、自然環境と共生してその恵みを分かち合い、そして、関係するすべての生物と人間の間に公正な関係を築くと共に生命(いのち)・生活(くらし)の質を高める。“

日本人の多くがオーガニック食品の購入動機として重視している「安全性」や「健康」といったものは有機農業の結果に過ぎず、根底には健全な食物連鎖を目指す循環型の農法があります。

キャシーさんと夫のジェイミーさんが経営する「BIO FARM」は、1986年にオーガニック認証を受けました。
通常の酪農とオーガニック酪農の違いの一つは管理方法にあるとキャシーさんは言います。
「土壌の生物学、家畜の栄養学、気候対策や、家畜・植物の再生周期のみでならず、天体の動きまでもが複合的に影響するので、決められた方法やルールでこれらすべての要因をカバーすることは難しく、オーガニック酪農家はさまざまな判断を行う際に直感が必要となることが多い」と説明しました。
酪農場は日々変化しており、そのスピードも速いため、オーガニック酪農家は自分の足で農場内を牛と一緒に歩き、牛や、牛が草を食べた後の草地を実際に見たりして変化を感じ取り、その農場の変化にあわせて、自分たちの酪農方法をその都度変えていくとのこと。牛や環境との対話型のような酪農が、循環型のオーガニック酪農には求められるとのことです。


■どうしてオーガニック酪農なのかを自信を持って説明できることが重要
動物福祉や環境問題に関心が高まる昨今、グローバルトレンドとなっている植物由来の製品への人気に対して、畜産関係者としてどのような思いを持っているかという参加者からの質問に、「植物性由来、オーガニック酪農お互いに特長がある中で、消費者の質問に全て答えることができるように心がけている」とキャシーさんは言います。
ニュージーランドの小さな町の家族経営の「BIO FARM」には世界のトレンドを変えることはできないし、変えようとしているわけでもないが、キャシーさんのようなオーガニック酪農家にできることは、自分たちの志す循環型酪農にベストを尽くし、消費者の疑問・質問に答えることができるよう、消費者の観点を持つことも忘れないようにすることだと言います。
消費者の食への関心が高まる中、自分たちがどうしてこの方法で酪農を営むのかを消費者に自信を持って説明できることが、自分たちの製品が良いものだという証明にもなるとキャシーさんは言います。


■今年の取組みは大きく3つ
ニュージーランド北海道酪農協力プロジェクトでは、今年は大きく分けて以下の3つを目標とし、実践的な学びの場の提供や最新のニュージーランドの酪農ノウハウの紹介、持続可能な地域社会の実現への貢献に取り組んでいきます。
  • 新規モニターファームの支援(現在選定中)
  • 新規就農者向けオンライン交流会(2月実施済)
  • セミナー開催 (次回は4月開催予定)

【ニュージーランド北海道酪農協力プロジェクトとは】
日本の酪農の収益性と持続可能性に貢献することを目標に、ニュージーランドの放牧酪農のノウハウを活かし北海道内での放牧酪農の可能性を調査するプロジェクト。
2014年にスタートしたこのプロジェクトは、ニュージーランド政府、ファームエイジ株式会社、フォンテラジャパン株式会社3者の官民共同プロジェクトで、北海道庁およびホクレン農業協同組合連合会の協力のもとで行われています。


【ニュージーランドの酪農がサステナブルな理由】
ニュージーランドでは「放牧酪農」が主流です
― 土、草、牛の循環サイクル ―

▼放牧割合約97%
酪農といえば、牛たちが緑の牧草地でのんびりと草を食む姿をイメージする方が多いかと思います。牛たちは牧草地を移動し草を食べ、糞尿は土の中の微生物や虫が分解し土に還っていきます。そしてまた、そこから良質な牧草が育ちます。
そんな循環型の「放牧酪農」がニュージーランドのほとんどの農場で行われています。
フォンテラの農場でも、牛たちが牧草地で過ごす割合は約97%*1。他のどの国の牛よりも長い時間を牧草地で過ごしています。

▼グラスフェッド率約96%
冬の寒さや夏の暑さが厳しいところでは一年を通して放牧することは難しい場合もありますが、ニュージーランドは放牧酪農を行うことができる温暖な気候に恵まれた数少ない国の一つです。また、ニュージーランドの肥沃な大地や十分な日照時間、降水量のおかげで、他の国に比べて少ない肥料で良質な牧草を育てることができます。穀物飼料を輸入し酪農業を行う国に比べると少ないカーボンフットプリントでの酪農が可能です。
放牧酪農で育てられた牛からとれる生乳(グラスフェッドミルク)は、一般的に穀物飼料で生育した乳牛からとれる生乳に比べ、より多くの共役リノール酸(CLA)やβ-カロテン、ビタミンDが含まれていると言われています。フォンテラの農場でのグラスフェッド率は96%*2です。

▼GHG排出量は世界平均の約1/3
主要生乳生産国18か国を対象にした調査によると、ニュージーランドの酪農場での温室効果ガス(GHG)排出量が一番少なく、世界平均の約1/3だという調査結果が出ています*3
ニュージーランドには気候や放牧主体の酪農システムといった自然の優位性がありますが、生産性と効率性を可能な限り高めることは、酪農家の懸命な努力が大きく作用します。ニュージーランドの酪農家は、少ない資源からより多くのものを生産するために精度を高めた放牧酪農を行っており、その結果、過去25年ほどの間に農場における生物由来のGHG排出量を約20%削減しました*4

※「グラスフェッド」の定義には国際的な統一規格はありません。このため、フォンテラは独自の基準「The Fonterra Grass and Pasture Fed Standard」を設け、グラスフェッドの水準を管理しています。この基準は第三者機関(AsureQuality)の認証を受けています。(AsureQualityはニュージーランド政府が保有する、独立の適合性評価機関です。)

*1 搾乳時間を除いた時間のうち、牧草地で過ごす割合。年間平均97%を牧草地で過ごします。残りの3%の時間は、給餌や休息エリアで過ごします。
*2 消費量ベースでの牧草飼料割合の平均値。一部補助飼料を与えることがあります。牧草は、牧草サイレージ、乾草、飼料作物(主にマメ科およびアブラナ科植物)を含みます。
牧草以外の飼料は、乳濃縮物、コーンサイレージ、パーム核搾りかすを含みます。
*3 Dairy NZ  New research shows New Zealand dairy farmers have the world’s lowest carbon footprint – at half the emissions of other international producers.
*4 Fonterra Sustainability Report 2020  P.45



【フォンテラとは】
フォンテラはニュージーランドを本拠地とする約10,000戸の酪農家による協同組合で、世界各国に約20,000名の従業員がいます。ニュージーランドの生乳の約80%を収集し、29の国内製造拠点を通して130カ国以上の国々に乳製品を輸出する世界最大規模の乳製品輸出企業です。
フォンテラジャパン株式会社はフォンテラの日本法人で、年間約13万トンの乳製品を取り扱っています。
 

その他のリリース

話題のリリース

機能と特徴

お知らせ