サステナブルな建物運用を実現するツール「Arc」を活用し、LEED認証取得の支援をはじめとした既存建物の環境価値を高めるコンサルティングサービスを開始
【本リリースのポイント】
- 国際環境性能評価システムLEEDは、サステナブルな建物運用を目指す企業に重要視されており、中でも、既存建物の資産価値向上のための手法としてLEED O+M認証に対する取得ニーズが高まっています。
- LEED O+M認証取得はアメリカ、インド、中国を中心に約7,500件となっていますが、日本での取得件数は27件と動きが鈍く、ESG投資が不動産の分野にも広がりを見せている現在、投資家に対して既存建物の資産価値を訴求できないため、日本の既存建物の将来的な国際競争力の低下につながる可能性があります。
- LEED O+Mの取得およびその継続のハードルとなっているのが、申請手続き上の多大な時間的・金銭的負担で、取得しても継続を断念する企業も多いのが現状です。
- 日建設計は本年LEED O+M v4.1 Recertification(再認証)のゴールド認証を取得しましたが、その取得の際に「Arc」を活用することで時間的・金銭的な負担を大幅に減らすことができました。
- 「Arc」はエネルギー消費量や水使用量、廃棄物量といった物件の環境性能を点数化し、また建物利用者の交通利用による温暖化ガス排出や滞在時の快適性などを数値化。築年数や広さで同等の世界中の物件と比較して現状の改善点を探ることができます。
- 今後ますます建物環境性能評価での利用が期待される「Arc」の活用ノウハウを活かし、LEED認証取得支援をはじめとした 既存建物の環境価値を高めるコンサルティングサービスを展開することで、国内の既存建物の環境性能の向上と国際競争力を高めます。
Arcを用いた日建設計東京ビルの環境性能評価結果
(エネルギー消費量、水使用量、廃棄物量、交通利用による温暖化ガス排出、滞在時の快適性 などを数値化)
LEEDは、非営利団体USGBC(※1)が開発、運用し、GBCI(※2)が認証の審査を行う、ビルト・エンバイロメント(建築や地域コミュニティ)の環境性能評価システムです。最高クラスのビルト・エンバイロメントを作るための戦略や施策を評価することで、コストや資源の削減を進めながら、人々の健康に良い影響を与え得ることに配慮し、また、再生可能なクリーンエネルギーを促進する建築物の普及を後押ししています。
※1: U.S. Green Building Council ※2: Green Business Certification Inc.
■Arc活用のメリット
Arc(※3)は、エネルギー、水、廃棄物、交通、人という5つの評価カテゴリを対象とした運用データを基に、建物環境性能を世界各国の建物と比較して継続的に評価するWebシステムです。評価結果がわかりやすいビジュアルで表現され、ESG情報のモニタリングとタイムリーな可視化要請に応えるためのツールとして、導入例が近年増えています。さらに、Arcの性能評価証書で、LEED O+M 評価のための提出データを9割程度カバーすることが可能です。
LEED O+Mは、既存建物の環境性能を、運用面や管理面での取組みも含めて評価するグリーンビルディング(※4)の認証システムで、サステナブルな建物運用を目指す世界中の企業に重要視される反面、定期的な認証更新では、申請者に手続き上の多大な負担がかかり、失効する事例も少なくありません。
しかし、2019年から登録が可能となったLEED O+M v4.1では、Arcを活用することで、取得時及び3年ごとの更新時の負担を大幅に低減することができるようになりました。
注)上表は期間と費用が大幅に抑えられるイメージを示しており、対象建物により期間・費用は異なります。
※3: GBCI(Green Business Certification Inc.)の100%子会社Arc Skoru Inc.が開発、運用し、不動産ESGパフォーマンスの動的スコアリングモデルをグローバルに提供するプラットフォーム。
※4:将来世代にわたって持続可能な環境と生活の質(Quality of Life)の向上の実現に寄与することを目指し、立地選定から設計、建設、運用、保守、改修、解体といったライフサイクル全体を通じて資源効率が高く環境的および社会的な責任を踏まえた、健康で豊かなビルト・エンバイロメント(建築や地域コミュニティ)を構築し運用する取り組み。
■Arc活用の実践
日建設計はArcの活用を先行的に取り入れ、2022年4月26日、自社ビルである日建設計東京ビル(2003年竣工)について、LEED O+M v4.1 Recertification(再認証)のゴールド認証を取得しました。日本国内として4件目の取得例です。
日建設計東京ビルは日建設計の本社ビルとして2012年にLEED O+M分野で国内初のゴールド認証を受けました。その後、更新時の時間・人工・費用の負担が課題となり、2017年に認証を失効していましたが、Arcを活用することで、従来よりも大幅に負担を軽減し、作業期間を1/2程度に短縮したうえで再認証を取得しました。日建設計はこのノウハウを生かし、既存建物の環境価値を高める、建物運用者の環境施策をサポートしていきます。
■LEED認証の意義と日本の状況
世界では、財務面だけでなく環境・社会・ガバナンス要素も考慮したESG投資が不動産投資の分野にも広がりを見せており、ストックの多い既存物件への展開が期待されています。その中で、建物の資産価値向上のための手法としてLEED O+M認証に対する関心が高まっており、アメリカ(5434件)、インド(358件)、中国(337件)を中心に認証取得件数は世界で約7,500件となっています。一方、日本での認証取得件数は27件と既存物件の国際的な環境性能評価の動きは鈍く、投資家に資産価値をアピールする機会を逃しており、今後国際競争力の低下につながる可能性があります。
■日建設計について
日建設計は、建築の設計監理、都市デザインおよびこれらに関連する調査・企画・コンサルティング業務を⾏うプロフェッショナル・サービス・ファームです。1900年の創業以来120年にわたって、社会の要請とクライアントの皆様の様々なご要望にお応えすべく、顕在的・潜在的な社会課題に対して解決を図る「社会環境デザイン」を通じた価値創造に取り組んできました。これまで⽇本、中国、ASEAN、中東でさまざまなプロジェクトに携わり、近年はインド、欧州にも展開しています。2021年3月には、脱炭素社会への取り組みに向けた「気候非常事態宣言」を宣言しました。
URL:https://www.nikken.jp/ja/
■本件に関するお問い合わせ先
株式会社日建設計 広報室
Tel. 03-5226-3030(代表) e-mail:webmaster@nikken.jp