【ニュースレター】原体験をつないで20年。育まれた大きな成果
本物のエンジンと向き合い、自らの手で分解・組立を体験しながら、エンジンの仕組みや原理、部品の名称やそれぞれの役割などを学ぶ「親子エンジン分解・組立教室」。当社のボランティアグループ「おもしろエンジンラボ」によって2002年に始まった体験教室では、これまでに約1万4000組※もの親子がものづくりの原体験を積み重ねてきました。
写真をご覧ください。7月上旬に開かれた同教室で小学生への指導を行っているのは、今春、当社に入社したばかりの西城直人さん(ロボティクス事業部)です。西城さんは小4時にこの教室に参加した経験を持ち、「メカへの興味を加速させてくれたこの活動に恩返しがしたい」と、入社早々、おもしろエンジンラボのメンバーに加わりました。
「子どもたちに教えるにあたって十数年ぶりにこのエンジンをバラしてみたのですが、大人になった今も学びや気づきがあり、また楽しさも感じました」と、充実感をにじませながら子どもたちと向き合っています。
「ものづくりの楽しさ」を次の世代へ
一方、入社2年目の小杉直さん(AM開発統括部)も、同教室の卒業生の一人。「4歳年上の兄と一緒に参加したのですが、もしかしたら足を引っ張っていただけかもしれません(笑)」と当時を振り返ります。小杉さんは現在、当社の学生フォーミュラ支援業務に参加して、西城さんとは異なる形で未来のエンジニアの育成に貢献しています。
「私自身も、大学時代は学生フォーミュラに夢中になっていました。その経験を活かしながら、現在は当社がサポートする静岡大学のチームに対し、さまざまな相談や助言などの支援を行っています」と小杉さん。「学生たちとリアルで会える機会は多くないのですが、9月に開催される大会に向けて毎日のように連絡を取り合っている」そうです。
二人に共通するのは、原体験がものづくりへの興味を育み、多感な成長期に「これだ」というテーマに出会っていること。やがてそれぞれの領域で専門性を磨き、エンジニアを志すようになりました。西城さんは「ロボットの全方向移動」、小杉さんは「EVモーターの制御」に学生時代から向き合って、今もその領域でものづくりを楽しんでいます。
子どもたちの「理科・機械離れ」が社会課題としてクローズアップされ始めた20年前――。「昔と今で、子どもたちの好奇心に大きな違いがあるとは思えない。違いがあるとすれば、それは体験する機会の差ではないか」。そう考えた社員有志によってスタートした「親子エンジン分解・組立教室」ですが、その思いに間違いはなかったようです。
ものづくりを楽しみ、その喜びを次の世代につなげようと取り組む若き二人のエンジニア。20年の歩みが生んだ大きな成果の一つです。
※おもしろエンジンラボが行う「エンジン分解組立教室」と「ウインドカー工作教室」の合計
■おもしろエンジンラボ 親子エンジン分解・組立教室
https://global.yamaha-motor.com/jp/showroom/kids/engine-labo/
■広報担当者より
「10歳の子どもが30歳になる」。当たり前のことですが、20年という月日の流れに思いを馳せると、つまりそういうことになります。これまで「おもしろエンジンラボ」の活動に参加した親子は約1万4,000組。今回紹介したお二人のほかにも、きっとどこかでたくさんの卒業生たちが、ものづくりの世界で活躍していることでしょう。