日本製鉄 第69回大河内賞にて「大河内記念生産賞」を受賞
大河内賞は、故大河内正敏博士の功績を記念し、公益財団法人大河内記念会が生産工学、生産技術、生産システムの研究開発、並びに実施等に関するわが国の業績で、学術の進歩と産業の発展に大きく貢献した個人、グループまたは事業体を表彰する伝統と権威のある賞です。贈賞式は3 月22 日に日本工業倶楽部会館(東京都千代田区)で実施されます。今回受賞した賞の概要は以下のとおりです。
チタン薄板の製造過程にて発生する結晶組織由来の欠陥を低減して品質と生産性を向上させることを目的に、上工程である製錬・溶解を行う東邦チタニウムと、下工程である圧延を行う日本製鉄が共同で「直接スラブ鋳造と表層組織制御」に関わる技術開発に取り組み、スラブ形状に鋳造したチタンインゴット(直接スラブ鋳造)の表層付近の凝固結晶方位を制御することで圧延時の欠陥発生を最小化できることを見出しました。具体的には、インゴットを製造する溶解炉にて電子ビーム照射条件や引き抜き速度を調整して、鋳型内での初期凝固シェルの成長方向や厚さを最適化し、凝固結晶の方位を狙いの方向に一定程度制御することが可能となりました。さらに凝固後のインゴットの表面および表層には鋳肌欠陥等の無害化を図る表層処理を施しています。
これらの処理により、従来実施していたインゴットからスラブを製造する熱間工程の省略を可能とするとともに、圧延時の疵を低減しています。その結果、トータル歩留まりとエネルギー効率の大幅な向上等が実現でき、品質、価格ともに国際競争力のある高品位チタン薄板の生産に成功しています。更に、工程省略によるCO2 排出削減につながり、環境負荷軽減にも貢献しています。
チタン薄板はその優れた耐食性により、カーボンフリーなエネルギーとして注目されている水素製造のための水電解装置の部材としても今後の需要拡大が見込まれます。
日本製鉄は、常に世界最高の技術とものづくりの力を追求し、国連で採択された「持続可能な開発目標」(SDGs)にも合致した活動「産業と技術革新の基盤をつくろう」を通じて、これからも社会の発展に貢献していきます。
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