第三十四回伊藤園お~いお茶新俳句大賞 受賞作品発表
応募総数約192万句、応募作品数日本一の創作俳句コンテスト
文部科学大臣賞をはじめ、入賞2,000作品が決定
【文部科学大臣賞】小林 航(こばやし わたる)さん 8歳 大阪府大阪市
初日の出とても小さい駅で見た
【金 子 兜 太 賞】篠原 孝太(しのはら こうた)さん 16歳 愛媛県松山市
UFOに会いたし湖の大焚火
初日の出とても小さい駅で見た
【金 子 兜 太 賞】篠原 孝太(しのはら こうた)さん 16歳 愛媛県松山市
UFOに会いたし湖の大焚火
※受賞者の年齢は応募時のものです。
株式会社伊藤園(社長:本庄大介 本社:東京都渋谷区)は、昨年11月から今年2月までの間に国内をはじめ世界65カ国510,688名より1,921,404句の作品をご応募いただいた作品から、 2,000句の入賞作品を選考し、10月23日(月)に発表しました。
最高位の文部科学大臣賞を受賞されたのは、大阪府大阪市の小林 航(こばやし わたる)さん(8歳)の作品「初日の出とても小さい駅で見た」です。また金子兜太賞には、愛媛県松山市の篠原 孝太(しのはら こうた)さん(16歳)の作品「UFOに会いたし湖の大焚火」が選ばれました。
今回発表された文部科学大臣賞から佳作特別賞までの入賞作品は、来春発売される「お~いお茶」シリーズの製品パッケージに順次掲載されます。
今回の応募期間中は、アフターコロナへの移行期間であったことから、それまでの自粛生活が徐々に解禁となり、外出先などでの家族との行動が増加しつつありました。応募された作品の傾向について、最終審査員のいとうせいこう氏は審査会の講評で、「審査をしていく中で『家族』や『親子』に関連した作品が多いという印象を受けました」とコメントされています。
文部科学大臣賞を受賞した小林航さんの「初日の出とても小さい駅で見た」は、お父さんとお正月に出掛けた初日の出を詠んだ句であり、金子兜太賞の篠原孝太さんは、家族でのキャンプの想い出を詠んでいます。また小学生の部大賞の沙 宗馬(すな そうま)さんの句は、離れた祖母の家に出掛けた際のおばあちゃんとのやり取りから作品を創作するなど、家族との外出の中で作られた作品が多数選ばれています。
文部科学大臣賞から佳作特別賞を受賞された2,000 名の方には、製品パッケージに自分の作品が掲載された特別生産品の「お~いお茶」をプレゼントいたします。
新俳句大賞ホームページでは、表彰式同日18:00より「オンライン入賞作品発表会」をご覧いただけます。また文部科学大臣賞から佳作入選作品までの上位7,000句を掲載いたします。
尚、11月3日(金・祝)より「第三十五回伊藤園お~いお茶新俳句大賞」の募集を開始いたします。詳細は新俳句大賞ホームページをご確認ください。(https://itoen-shinhaiku.jp)
文部科学大臣賞
賞金:50万円 賞品:賞状、受賞作品掲載「お~いお茶」1ケース、受賞作品掲載額、入選作品集[自由語り]
初日の出とても小さい駅で見た
小林 航(こばやし わたる)さん 8歳 大阪府大阪市
(選評)
初日の出をとても小さい駅で見たとき、なにかいのちの誕生の場面のような不思議な感動を覚えたのでしょう。こんな小さな駅から、少しずつ顔を覗かせ、次第に大きくなってあたりを輝かせて行く初日の出。それは、小さないのちの誕生から、大きな成長へとつながる感動を呼び寄せてくれるのです。その景を、作者がお父さんと見ることが出来たのは、自分のいのちの立会人と一緒にいるようで、とても頼もしく嬉しく感じたに違いありません。
【作者コメント】
俳句をつくるときに、お父さんと一緒に行った阪堺電車の我孫子道駅のとても小さな駅で見た初日の出を思い出し、「ああ、あれはいい思い出だな」と思ったことから、この俳句をつくりました。
金子兜太賞
賞金:20万円 賞品:賞状、受賞作品掲載「お~いお茶」1ケース、受賞作品掲載額、入選作品集[自由語り]
UFOに会いたし湖の大焚火
篠原 孝太(しのはら こうた)さん 16歳 愛媛県松山市
(選評)
湖での大焚火は、何ものかへの燃え盛る合図のようにも感じられますね。そうだ、この合図でUFOに会えるのかもしれない。いや、どうしても会いたいな。ここはいかにもUFOの出そうな場所だもの。UFOだって場所を選ぶに違いない。湖の水面に大焚火が照り映えて、「会いたい」と、一緒に叫んでくれているような気がして来ます。
【作者コメント】
家族とキャンプをするために池の畔のキャンプ場に行きました。そこの池はとても透明感があり、美しさに魅了されました。焚火用に小枝に火をつけ、薪を焼べて炭火を作っていた時、ふとUFOに会ってみたいという気持ちになりました。その焚火がまるでUFOを呼ぶように大きく燃え上っていくようで、その時の情景や感じたことからこの俳句を詠みました。
大賞
賞金:20万円 賞品:賞状、受賞作品掲載「お~いお茶」1ケース、受賞作品掲載額、入選作品集[自由語り]
【小学生の部(幼児含む)】 応募総数483,111句
山ゆりの二百のラッパもう鳴るか
沙 宗馬(すな そうま)さん 12歳 富山県高岡市
(選評)
山ゆりのラッパが二百も並んで、一斉に吹き鳴らそうとしています。百のラッパでもたくさんの数を意味することになるのに、二百といえばさらに数えきれないほどの驚きになります。さて、手ぐすね引いているラッパたちは、もう吹き鳴らすのでしょうか。タクトが振られるのはいつか。待ち遠しい気持ちですね。
【中学生の部】 応募総数487,964句
テレワーク父の背中と牡丹雪
椎木 徹真(しいのき てつま)さん 13歳 広島県広島市
(選評)
テレワークで、家で仕事をしているお父さん。いつもは見かけない姿だけど、やっぱり遊んでいるときとは違って、厳しくも頼もしい。外は雪が降っていて、がっしりした父の背中が降る雪にもめげない力強さです。僕も頑張らなくちゃという気持ちにさせられます。父の背中と牡丹雪の対照が鮮やかに決まって、テレワークの夜が更けてゆきます。
【高校生の部】 応募総数789,006句
冬に飽き潮の匂いを嗅ぎに来た
中島 広大(なかじま こうた)さん 15歳 千葉県船橋市
(選評)
どんよりした雲のたれ込める長い冬。そのせいかどうか嫌なことが続いて、いつもより冬が長く感じられるのでしょう。せめて夏の間のあの晴れやかな気分を思い出したくて、潮の匂いを嗅ぎに出かけたのです。「飽き」と「嗅ぎ」の言葉の響き合いが、やりきれない気分に耐えかねているようで、潮の匂いを一層濃くするような気がして来ますね。
【一般の部A(40歳未満)】 応募総数42,565句
ぽんかんに種ことばにはしない夢
臼倉 智美(うすくら ともみ)さん 32歳 東京都足立区
(選評)
ぽんかんに種があるように、私にもそっと育てたい夢があるのです。それは、まだ言葉にはせず、誰にも言っていない秘密なのですが、ぽんかんの生命力にならって、人知れず自分の中で、大切に育てて行きたいのです。あのぽんかんの中の種のように、したたかに。
【一般の部B(40歳以上)】 応募総数83,109句
真つ直ぐで幸せさうな聖樹買ふ
平野ケプラー 晶子(ひらのけぷらー あきこ)さん 58歳 ドイツ
(選評)
年の瀬も近いクリスマスに、新しい聖樹を買うとすれば、「真つ直ぐで幸せさうな聖樹」に限ります。この気持ち、よくわかりますね。真っ直ぐな伸びやかさと、生い茂る枝葉の華やぎが、幸せそうな雰囲気をまとっているからです。それは、一家に幸せを運んでくれるに違いありません。そんな聖樹に出会える幸運もまた、格別なものといえましょう。
【英語俳句の部】 応募総数29,991句
cold night
flood light
vending machine
(訳)寒い夜街灯ひとつ自販機ひとつ
後藤 あん(ごとう あん)さん 16歳 埼玉県鴻巣市
(選評)
誰もいない光景を描こうとすると、なかなか難しい。無人のままにしたくても、描写するうちに作者自身もついどこかに現れてしまう。鏡に映りこむみたいに。寒い夜に自動販売機が街灯に照らされてポツンとあるこの大賞作品は、最低限の名詞のみで組み立てられ、人の気配を消している。ただよう空気は、アメリカの画家エドワード・ホッパーのクールな夜景に通じるものだ。自販機の中の飲み物までも「あたたかい」より「つめたい」ほうが想像される。
日々は光霞の中に書き留めて
岩崎 眞宜(いわさき まさのり)さん 19歳 東京都豊島区
(選評)
俳句と写真の重なりに無理がなく、日々の複雑が見事に作品に集約され、説得力があった。
※文部科学大臣賞~一般の部B大賞作品選評 最終審査員 安西 篤氏
※英語俳句の部大賞作品(直訳) 最終審査員 星野 恒彦氏
※英語俳句の部大賞作品(選評) 最終審査員 アーサー・ビナード氏
※新俳句フォトの部大賞作品選評 最終審査員 浅井 愼平氏
※各受賞者の年齢はすべて応募時のものです。
俳句と写真の重なりに無理がなく、日々の複雑が見事に作品に集約され、説得力があった。
※文部科学大臣賞~一般の部B大賞作品選評 最終審査員 安西 篤氏
※英語俳句の部大賞作品(直訳) 最終審査員 星野 恒彦氏
※英語俳句の部大賞作品(選評) 最終審査員 アーサー・ビナード氏
※新俳句フォトの部大賞作品選評 最終審査員 浅井 愼平氏
※各受賞者の年齢はすべて応募時のものです。
第三十四回伊藤園お~いお茶新俳句大賞 応募要項
■応募部門(7部門)
「小学生の部(幼児含む)」 「中学生の部」 「高校生の部」 「一般の部A(40歳未満)」 「一般の部B(40歳以上)」 「英語俳句の部」
「新俳句フォトの部」 ※左記の要項については他部門と一部異なるため、別途表記
■募集要項(新俳句フォトの部以外)
●主催
伊藤園新俳句大賞実行委員会
●応募方法
ハガキ、FAX(A4サイズ)、インターネットのいずれかの方法で、日本語、英語を合わせてお一人様6句までご応募いただけます。「応募部門と作品」「郵便番号」「住所」「氏名」「年齢」「電話番号」「Eメールアドレス」「句会・学校名・サークル名(所属している場合のみ)」を明記してご応募ください。
●応募宛先
ハガキ :〒102‐8553 東京都千代田区紀尾井町3‐23 「伊藤園お~いお茶新俳句大賞」係
FAX :03‐3263‐5668
インターネット:https://itoen-shinhaiku.jp
●応募締切
2023 年2月28日(火) 当日消印/送信有効
●賞(入賞2,000名様、入選5,000名様 合計7,000名様)
入賞:日本語俳句より文部科学大臣賞1名様(賞金50万円と副賞)、金子兜太賞1名様(賞金20万円と副賞)、各部門より大賞1名様・計6名様(賞金20万円と副賞)、優秀賞44名様、審査員賞10名様、後援団体賞10名様、都道府県賞240名様、佳作特別賞1,684名様の合計1,996名様の作品を「お~いお茶」のパッケージに掲載いたします。
入選(佳作):部門問わず5,000名様に、賞状を進呈いたします。
●審査員(50音順、敬称略)
日本語俳句:浅井愼平(写真家)、安西篤(俳人)、いとうせいこう(作家・クリエイター)、金田一秀穂(日本語学者)、夏井いつき(俳人)、宮部みゆき(作家)、村治佳織(ギタリスト)、吉行和子(女優)
英語俳句 :アーサー・ビナード(詩人)、星野恒彦(俳人)
●発表
伊藤園ホームページなどにて入賞作品2,000句を2023年10月23日に発表。また、応募者には審査結果を10月下旬より順次郵送またはメールにて通知いたします。なお、入賞作品2,000句を2023年冬以降に「お~いお茶」シリーズのパッケージに掲載いたします。
※募集要項は応募当時のものです。
■募集要項(新俳句フォトの部)
●応募期間
第1回:2022年11月3日(木)~ 2023年12月11日(日)
第2回:2022年12月12日(月)~ 2023年1月15日(日)
第3回:2023年1月16日(月)~ 2022年2月28日(火)
※各回、締切後に月間賞5作品を決定し、発表
※受賞者には入賞通知がダイレクトメッセージで届きます。
●応募方法
・Twitterで伊藤園新俳句大賞公式アカウント(https://twitter.com/itoen_newhaiku)をフォロー
・ご自身の写真と俳句(すべて未発表に限る)を「#新俳句フォト #おーいお茶」の ハッシュタグをつけて投稿する
※1回の投稿につき1作品(1俳句+1画像のセット)のみ
●応募資格
・本キャンペーンの実施要項全てに同意された個人の方
・Twitterのアカウントをお持ちの方(18歳未満の場合は保護者の同意を得た上でご応募)
※アカウントを非公開にしている方は、応募対象外となります。
●賞
新俳句フォト賞:各回5名 計15名様 「お〜いお茶」1ケース
<新俳句フォト賞に選ばれた15作品の中から以下の賞を選出>
大賞:1名様 賞金20万円と副賞
優秀賞:3名様 賞金5万円と副賞
●審査員(敬称略)
浅井愼平(写真家)
※詳細は伊藤園新俳句大賞ホームページ(https://itoen-shinhaiku.jp)をご参照下さい。
※募集要項は応募当時のものです(「Twitter」=現「X」。)
参考資料 伊藤園お~いお茶新俳句大賞について
俳句は、独自の細かい約束ごと(季語、定型など)が重んじられます。しかし、この約束ごとを満たさなくても素晴らしい句はたくさんあります。約束ごとにとらわれない表現は初心者が取り組みやすいと同時に、ベテランと同じ土俵で「表現力」を競い合うことが出来ます。「伊藤園お~いお茶新俳句大賞」は、創作上の制限をできるだけ省き、五・七・五のリズムで自由に表現することが可能です。
また、伊藤園の「お~いお茶」は、全国で多くの方々に愛飲されており、そのパッケージは、メディアとしても活用できます。1989(平成元)年に誕生した「お~いお茶」は、いつでもどこでもおいしい緑茶を飲んでいただこうと開発した伊藤園の日本茶飲料ブランドであり、創作上の制限を設けない「新俳句」は「お~いお茶」にふさわしいものだと考えました。短文表現の発表の場として、自社製品のパッケージを開放することは現代にマッチした新しい文化活動であると考えております。
第一回に41,373句であった応募作品数は、今回で累計応募総数が約4,350万句になりました。
最近では、俳句を取り上げたテレビ番組が人気になるなど、これまで俳句との接点が少なかった中高生や、若い世代の俳句への関心が高まっているほか、教育現場でも日本文化の継承として俳句創作が定着しつつあります。第三十四回は、国内の小学校992校、中学校967校、高校1,081校、合わせて3,040校からご応募を頂きました。ちなみに、全国の高校のうち、4校に1校程度の学校が新俳句大賞に取り組んでいただいていることになります。