PwCコンサルティング、「生成AIに関する実態調査2023 秋」を公開
PwCコンサルティング合同会社
「他社に負けないこと」が主な動機となり、過半数が今後1年以内の本格導入を予定
2024年においては、効果を引き出すための取り組みがより重要に
PwCコンサルティング合同会社(東京都千代田区、代表執行役CEO:大竹 伸明、以下「PwCコンサルティング」)は本日、「生成AIに関する実態調査2023 秋~生成AIは次のフェーズへ:勝つための人材育成/確保と導入効果の追求が最重要課題~」を公開しました。
2023年5月に「生成AIに関する実態調査2023」(※1)を発表して以来、生成AIに関する話題は絶えることなく、急速な普及とともに生成AIを取り巻く実態は大きく変化しています。前回の実態調査から半年を経て、PwCコンサルティングは、企業における生成AIに対する認知度や生成AI活用の推進度合いの変化、各社が推進・検討している生成AIのユースケース、日本企業が直面する現状課題などを明らかにすることを目的に、「生成AIに関する実態調査2023 秋」を実施しました。調査対象は前回の調査よりも絞り、日本国内の売上高500億円以上の企業・組織に所属する課長職以上で、AI導入に対して何らかの関与がある(意思決定、企画検討など)方とし、912件の有効回答を得ました。
本調査結果のハイライトは以下です。
- 回答者の87%が生成AIの社内・社外活用またはその検討に既に着手
- そのうち58%が「今後1年以内の生成AI本格導入」を目指しており、24%が数億~数十億円の予算投下を計画。生成AI活用は、2024年に「業務実装」フェーズへ入り、今後1年間が「生成AI活用による成果」が最も問われるタイミングと想定
- 生成AIの活用を「脅威」と回答した層の半数近く(47%)が「他社(者)より相対的に劣勢に晒される脅威」を感じている。具体的には「競合他社に先を越される可能性」や「新規競合の参入の可能性」を脅威として捉えており、日本企業における生成AI活用の動機は「他社に負けないこと」と推察
- 生成AI活用に必要なスキルとして、「AI技術全般に関する理解」を一番に回答した方が47%と最多。生成AI活用に求められているのは「基本的なAIリテラシー」
- 生成AI活用への関心度と推進度は業界ごとに異なるものの、幅広いユースケースが検討されている。もはや生成AI活用と無関係な業界は存在せず、「適用できるのか」ではなく「どう適用するか」の検討が重要
春の調査と比較して、日本企業における生成AI認知・活用に向けた取り組みは劇的に進捗し、企業内で生成AI技術を適用可能な業務や、得られる効果についての理解も向上しました。それに伴い、業界構造やビジネスモデルが根本から変わるかもしれないという漠然とした脅威から、活用の遅れにより既存ビジネス内の競争において他社より劣勢に立たされるかもしれない、という具体的な脅威への変化が見られます。このような状況下では、ただ技術基盤を導入するだけではなく、投資から大きな効果を引き出すための戦略が必要不可欠です。すでに多くの企業が本格的な生成AIの社内導入の目途を立てており、今後1年以内の業務実装が加速するという結果が本調査で分かりました。さらに加速する「生成AI時代」に乗り遅れないためにも、既存の業務プロセスの可視化と棚卸に加え、生成AI活用推進のための人材確保・育成がより一層重要になると考えます。既存業務の効率化にフォーカスした、他社に負けないためのモチベーションでは、ドラスティックな効果は出ないことが想定されます。生成AI特有の価値創造を実現することが、日本企業が世界で勝っていくための真の競争優位性につながるのではと期待します。
主な調査結果
1.日本企業における生成AIの認知度および生成AI活用の推進度合いは劇的に向上。ビジネスの存在意義が失われるという漠然とした脅威ではなく、「他社に負けないこと」が動機となっていることが浮き彫りに
生成AIを「全く知らない」と回答した方は4%に留まり、73%の回答者が何らかの形で「生成AIを利用した経験がある」と回答。生成AI活用の推進度合いを問う質問に対しても、87%が「生成AIの社内利用あるいは社外活用を実施・推進・検討している」と回答しており、前回調査の22%から半年間で生成AI活用に向けた具体的な取り組みが非常に進んだことが分かりました。
一方で、生成AIの活用を「脅威」と回答した層の半数(47%)近くは生成AIに対して「他社(者)より相対的に劣勢に晒される脅威」を感じており、具体的には、「競合他社に先を越される可能性」や「新規競合の参入の可能性」を特に脅威として捉えていました。既存ビジネスの領域で「他社に負けない」ために生成AI活用を検討していることが、日本国内で生成AIの認知・活用が進んだ背景にあると考えられます。
2.生成AIの社内・社外活用を実施・推進・検討中の企業のうち、58%が今後1年以内の本格導入を予定。2024年に生成AI活用は「業務実装」フェーズへ入り、生成AI活用による成果が問われるタイミングとなる
生成AIの本格導入時期を問う質問に対し、生成AIの活用を実施・推進・検討中と回答した方の43%が2024年3月末まで、また58%が今後1年以内を予定していると回答しました。前回調査から今回までの半年間は、生成AIの技術的な検証や可能性を検討する「実現性検証」フェーズでしたが、今後1年間は「業務実装」フェーズとなることが予見されます。
企業において生成AI活用に対して一定の検討予算を確保していることが明らかになっており、企業によっては数億〜数十億円規模の予算を計画しているとの回答も存在しています。今後は各社とも、これまで以上に投資対効果を求められる段階に入ることが想定され、「生成AI活用による成果創出」がこれまで以上に重視されるようになると考えられます。
3.生成AI活用に求められているのはユースケース企画やコミュニケーション、AI実装スキルなどではなく「基本的なAIリテラシー」
生成AI活用を実施・推進・検討中と回答した方に、生成AI活用で直面する(した)課題として上位3つを質問したところ、約半数が「必要なスキルを有する人材不足(52%)」「ノウハウがなく進め方が分からない(49%)」と回答。またこれらの課題は「自社だけでは解決が難しい課題」としても最上位に挙がっていることから、生成AI活用の推進に向けてこれまで以上に社内人材のリスキリングや外部人材活用の重要性が高まっていると考えられます。
また、生成AI活用に最も必要なスキルを質問したところ、従来のAI活用で重視されていた「コミュニケーションスキル」や「ユースケース企画スキル」を1位と回答したのは回答者全体の10%にも満たず、半数近47%は「AI技術全般に関する理解」を1位と回答しました。生成AI活用において国や政府に求めることについても「生成AIの技術動向の情報収集・公開」が47%と最も多く回答を得ており、技術全般の理解や動向を重要視している様子が伺えます。 生成AIの普及・民主化が進み、データサイエンティストなどの専門家だけでなく幅広い層がAIに触れるようになった一方で、ハルシネーション(生成AIが学習したデータから、流暢だが事実と全く異なるコンテンツを生成してしまうリスク)などのリスクにもさらされるようになったことを背景に、職階や役割を問わずユーザー側にはこれまで以上にAIリテラシーが求められるようになったと考えられます。これらを踏まえ、職解や役割を問わず、基礎的な技術とビジネスを理解したビジネストランスレーターを全従業員が目指すことにより、リスクコントロールを行った上での適切な生成AIの導入効果向上につながると考えます。
4.もはや生成AI活用と無関係な業界は存在しない。「適用できるのか」ではなく「どう適用するか」の検討が重要
各業界の生成AIへの向き合い方の違いを明らかにするため、「前回調査の生成AIに関する関心度」と「今回調査の生成AI活用の推進度」について業界横断で順位付けし、順位の変動を比較しました。また、生成AI活用に対する特徴を基に、業界横断で「パイオニア層」「躍進層」「期待向上層」「様子見層」の4つのグループに分類しました。
調査概要
調査目的:企業における生成AIの認知・関心・活用検討状況の実態および業務代替の可能性などを把握する
調査方法:調査会社を活用したWeb調査
調査期間:2023年10月13日~10月16日
調査対象:売上高500億円以上の日本国内の企業・組織に所属する課長職以上の従業員で、AI導入に対して何らかの関与がある方(意思決定、企画検討など)
※売上高、役職、AI導入への関与の項目は今回の調査より追加。前回調査との比較を行う際は、同じ調査対象条件で前回調査を再集計しています
有効回答:912件
ダウンロード先URL: https://www.pwc.com/jp/ja/knowledge/thoughtleadership/generative-ai-survey2023_autumn.html
※1 「生成AIに関する実態調査2023」 https://www.pwc.com/jp/ja/knowledge/thoughtleadership/generative-ai-survey2023.html
以上
PwCコンサルティング合同会社について: https://www.pwc.com/jp/consulting
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