【注意喚起】早めの点検・試運転で、エアコンの有効活用を
熱中症「警戒アラート」「救急搬送」2年で2倍
夏、特に気を付けなければいけないのが命にも関わる熱中症ですが、その対策のひとつとしてエアコンの有効活用があげられます。メンテナンス不足などで肝心な時にエアコンが使用できなくなることがないよう、独立行政法人製品評価技術基盤機構[NITE(ナイト)、理事長:長谷川 史彦、本所:東京都渋谷区西原]は、本格的な夏を迎える前の早めのエアコン点検・試運転をお勧めします。早めのエアコン点検・試運転は、事故の未然防止にも有効です。
熱中症で救急搬送される半数以上が高齢者です。また、熱中症の4割が住居で発生しています(詳細は後述の図3、図4を参照)。熱中症でお亡くなりになった方の中には、エアコンを使用していなかったケースも多数確認されています(※3)。
エアコンの点検・修理・工事依頼は夏場に集中します。お持ちのエアコンが正常に動作することを早めに確認し、比較的空いているこの時期に、必要に応じた修理などを済ませておきましょう。エアコンを有効に活用して熱中症のリスクを低減し、安全で快適な夏を迎えましょう。
【エアコン点検・試運転時の5つのポイント】(※4)
●点検・試運転前の確認ポイント
①電源プラグや室内機のフィルターにほこりがたまっていないか。
②室外機の上や前後など周辺に物を置いていないか、汚れがないか、ドレンホースの排出口がふさがれていないか。
●点検・試運転の際の確認ポイント
③(設定可能な)最低温度に設定し、冷房運転で冷風が出るかどうかを10分間試運転して確認。
④さらに30分ほど運転し、以下のような異常がないかを確認。
☑室内機から水漏れがないか。
☑異音・異臭がないか(室内機及び室外機)。
☑エラー表示がないか、運転が意図せず停止しないか。
⑤異常が確認された場合には、販売店やメーカーに相談し、必要に応じて点検を受けましょう。
(※1)気象庁発表 気候変動監視レポート
https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/monitor/index.html
(※2)気象庁発表 3か月予報(6月~8月)
https://www.data.jma.go.jp/cpd/longfcst/kaisetsu/?region=010000&term=P3M
(※3)大阪府 健康医療部 監察医事務所
https://www.pref.osaka.lg.jp/kansatsui/nettyuusyo-kannkei/index.html
(※4)一般社団法人日本冷凍空調工業会
https://www.jraia.or.jp/file/A_air_conditioner_maintenance_01.pdf
一般財団法人家電製品協会
https://www.aeha.or.jp/safety/pdf/air_conditioner_maintenance.pdf
■熱中症警戒アラートの発表状況
2021年から2023年までの3年間に発表された熱中症警戒アラート(※5)の「月別の発表回数」を図1に示します。また、表に「2023年の地域別の熱中症警戒アラート発表回数」を示します。
4月から10月までの間に、2021年は613回、2022年は889回、2023年は1232回、アラートが発表されており、近年の猛暑の影響で増加傾向にあり注意が必要です。アラートは7月から急激に増え、8月にピークを迎えています。
(図1、表:環境省HP「熱中症予防情報サイト 熱中症警戒アラートの発表履歴」よりNITEが作成)
https://www.wbgt.env.go.jp/alert_record.php
■熱中症による救急搬送人数
2019年から2023年までの5年間(各年の対象月は6月から9月までの期間)の熱中症による救急搬送人数について、図2に「年別の救急搬送人数」、図3に「年代別の割合」、図4に「発生場所の割合」を示します。
ここ数年、救急搬送人数が増加傾向にあり、2023年は2021年の約2倍に増加、過去5年間で最も多い人数になっています。また、熱中症警戒アラートの傾向と同様、7月、8月に救急搬送人数が多くなっています。
熱中症は高齢者の方に多く起きており、また、熱中症の発生場所は4割が住居となっています。高齢者の方は加齢により、暑さに対する感覚機能や体の調節機能が低下してしまうため特に熱中症に注意が必要です(※7)。熱中症警戒アラートなどを参考に、できるだけ外出を控えるとともに、部屋の温度が高くならないようエアコンを上手に活用しましょう。こまめな水分補給も心がけるようにしてください。さらに、周りの家族がエアコンの使用を促してあげるなど積極的な声かけをすることも重要です。
(※7)環境省 熱中症予防情報サイト「高齢者のための熱中症対策」
https://www.wbgt.env.go.jp/pdf/pr/20230530_leaflet_for_elderly.pdf
(図2、図3、図4:総務省消防庁HP「熱中症情報」よりNITEが作成)
https://www.fdma.go.jp/disaster/heatstroke/post4.html
▌独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE)製品安全センターの概要